アメリカで現在進行中の不動産手数料に関する巨額訴訟 に記載した通り、不動産仲介業のあり方が各国で再定義されていく予感があります。
日本では、不動産会社はコンビニの数より多い!と言われることが多いですが、アメリカには300万人の不動産エージェントがいてrealtorは150万人いるので、宅地建物取引士数はも人口比で考えると50万人ぐらいいても良い気がしますが、現実には22万人ぐらいのようです。
最近面白かったのは、オープンハウスが内見時に婚活マッチングも行なうというサービスです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC059520V00C24A2000000/
そもそも江戸時代の不動産仲介業である「口入業者」はまさにありとあらゆる仲介をしていましたが、家を買ったり売ったり借りたりするタイミングは仕事や結婚などのライフイベントと密に絡むことが多いので、不動産仲介業の本来あるべき姿を取り戻すみたいな方向性も面白いと思います。
また、知らない地域に行くときに、最初に会うその地域の人は不動産仲介業者であることが多く、若年人口を奪い合うゼロサムゲームを展開している各地方自治体にとってはリード獲得をしてくれる営業部隊としてマーケティング予算をもう少し振り分けても良いと思います。
宅建試験の問題が中途半端なのも気になります。そもそも宅建士の免許は都道府県なので宅建試験の問題にもう少し地域経済や地域の歴史に関するものがあっても良いと思います。宅建業を開業するに辺り営業保証金をどこに供託するか、とかは宅建士が知っておくべき知識なのかな、という気もします。もう少し顧客に付加価値をもたらすような知識を問うた方が良いのではないでしょうか。
各仲介業者の具体的なパフォーマンスももっと開示したほうが良いと思います。アメリカだと「何件の購入に携わったか」「何件の売却に携わったか」「いくらでだったか」等々が開示されており、分かりやすいと思います。
https://www.zillow.com/profile/JohnBrownTeam/
https://www.redfin.com/real-estate-agents/ian-rubinstein
建設業の免許が必要な「中古リノベ」も普及してきていますが、「自分の山でキャンプしたい」とか「自宅菜園・農業」をしたいとかそうした宅建業の免許とは違う免許が必要になりそうな領域とのコラボ実績も面白そうです。
各国ごとに不動産仲介業のあり方は異なり、時代とともに変化していきます。アメリカでも「dual agency」という両手仲介みたいなことはあったりします。昨今はアメリカの不動産仲介業は「エージェント制」から(日本のように)「雇用制」になっているようです。規制が好きそうなドイツでは意外にも不動産仲介業に関しては免許は無いようです。
日本は他国と比べても物件の種類やスペック情報が多くある意味で多様な物件がある社会だと思います。そうした多様な物件を不動産流通に載せられるような多様な不動産仲介のあり方が発達すると、良いなと思います。