ふしぎな不動産市場

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この大工場は資金の回収を考えない神秘的な生産費の上にたうちたてられ、巨大な虚無へ捧げられていた。毎朝に神秘な宣誓がとなえられているのも故あることだった。私はこんなふしぎな工場を見たことがない。近代的な経営法、多くのすぐれた頭脳の精密な合理的な思惟、それらが挙げて一つのもの、すなわち「死」へささげられているのであった。

三島由紀夫の『仮面の告白』

毎年発表される国交省の『住宅市場動向調査』を見てふしぎなのは、その「売却損」の多さでしょう。

サンプル数が少ないのですが、FRKの『不動産流通業に関する消費者動向調査』からも大体その傾向が読み取れます。

税務署の『申告所得税標本調査結果』を見ると、「分離長期譲渡所得」は約30万人で4兆円あるようです。FRKの既存住宅の取引推計量が約60万件であるときに、少なくとも半分以上の方は損失を抱えている推測されます。

なお、アメリカだと最も売却損比率が高いカリフォルニア州で12%の方が売却損があるようです。