16時半頃にハマヤ着。いつも座るテーブルが埋まっていたので、一番奥の席に座る。
この日はお客さんが多かった。女性はわたし以外に一人、あとはみな男性。その女性が帰られた後で入ってこられたお客さんも、全て男性。やっぱりハマヤは日本一男性客の多い甘党喫茶だと思う。
前回、高齢の方が多いと書いたが、コワモテ層もよく来られる。
コワモテさんは、一人ではなく複数人で来られるパターンが多い。
この日もコワモテ男性二人組が喋りながら入ってきた。
「ぜんざい二つね」
話題は麻雀で、どうやら二人とも負けた様子。
「だからあいつとは勝負したらあかんて」とか言っている。
二人は同じ相手に負けたっぽい。
コワモテのお客さんは会話の内容が少々(かなり?)ハードボイルド。でも、ぜんざいを囲むと否が応でも和むのが面白い。
また、総じて長居しない。勘定も注文時にさっと済ませてしまう。
この日の二人組も滞在時間は10分そこそこで「ごっそさん」と立ち上がる。
「いつもありがとな」と言っていたので、常連さんのようだった。
ハマヤの周辺は、この国では「治安の悪い街」と呼ばれている。確かにややこしくないとは言わないけれど、そればかりが取り沙汰されて「危ないまち」と言われること対しては、憤りを感じてしまう。
「過剰に危ないって言う人ほど、実際に来たことがないんですよね。歌舞伎町でもそうです。確かに色々あるけれど、行き場がなくて来ている子もいて、救われることもあって、悪いことばかりじゃない。悪いだけじゃあんなに人が集まらない。でも、良いことはニュースにならず、事件だけがクローズアップされるんです」
お客さんが引けたので、つい語ってしまうわたし。
陽子さんが、いつものように、身体をこちらに向けて、うんうんと聞いてくれる。
「西成も過去にあった暴動の印象が大きいのかなあ。でも、暴動の時、新世界の浪速クラブのことを『あそこは俺らの歌舞伎座やから襲たらあかん』って言われたそうなんですが、このお店も、みなさんのオアシスだから、守ってくれはったんでは」と、聞いてみた。
「守ってくれたかどうかはわからへんけど、無事やったね」とマスター。
「その時暴れてた人たちも、今は高齢になってますよね」わたしが言うと、
「そうね。それに、このあたりの人たちは襲うよりも襲われる(暴力を受ける)方が多かったのと違うかな」と陽子さんが言った。
ハッとした。
その通りだと思った。
先代からお店を引き継いで40年。
お二人からもっとこの街のことを伺いたい。
【甘党・喫茶ハマヤ】1951年創業
大阪市西成区花園北2丁目8−5
(南海電鉄高野線「萩ノ茶屋」駅前)(MAP)
12時から18時 日曜・第3月曜休み