競馬界も秋冬のクライマックスに入っている。東京競馬場の開催も盛況で進んでいるのだが、今秋はまだ一度も足を運んでいない。忙しいとか、都合が合わないとかもあるのだが、一番の理由は「騎手の不祥事や引退が相次ぎ、競馬を見るモチベーションが下がっている」ということである。いわゆる、藤田菜七子騎手を始めとする、美浦所属の多くの若手騎手が、ルールに従わずスマートフォンを不適切に利用した件が引き金になっている。
あらかじめ記しておくが、悪法も法である以上、ルールを破ったら処分がくだるのは摂理である。「外部と連絡を取るのは、八百長のリスクを高める行為だ」とする公営競技の掟についても、何ら異論は無い。時に法律よりも就業規則が強くなるケースはあるものだ(残念ながら)。
しかし、競馬界で断続的に、かつ今後の競馬界を引っ張るべき若き有望株たちが、ルールを破っているのだ。ここまでくると「最近の若者は」という理由で片付けるのが適切なのだろうか?
故に、「人を責め、罰する」から「組織のモラルや不備を見つけ、改める」へとフェーズを変えていくべきではないだろうか。とにかく、重度の違反が短期間で続くのは組織としておかしいと考えるのが普通だ。真の原因は何か、組織は追究しているのだろうか? また、原因が仕組みで防げるものならば、身体検査やら探知機やら通信遮断やら、お金をかけるにこしたことはない(JRAがお金に苦しんでいるようには見えないし)。
そして、永野騎手の件では「厩舎関係者と連絡していた」という報道があった。今回の処分及び引退に関するJRA会見において、いわゆる関係者は退職したとしている(とスポニチのT記者がツイートしてたのだが、当該のツイート削除してますか? 引用したくても見つからない……)。そう考えるとますます、個人やグループの問題ではなく、組織や環境といった広い課題だと思わざるを得ない。
ということで、このニュースに関して色々と触れていったが、個人的には藤田菜七子の引退はかなりショックだった。引退週に関しては、馬券を買わずに抗議しようと考えたくらいだ(結局、応援し続けているコガネノソラの単複だけ買っちゃった←)。ウソをついていたことに関してはショックだったが、競馬界に新たな価値を付与し、ときに孤独な中で奮闘し続けた姿は、素直にカッコよかったし、応援しがいがあった。藤田騎手が競馬界を去るときは、多くの人に囲まれて、暖かい拍手の中で去って欲しかった。数少ない救いは、師匠の根本調教師がかばってくれたことだろうか。その愛については、いちファンにとってもありがたいものだった。
とにもかくにも、JRAの姿勢が変わらったり、具体的な対策を可視化してくれない限りは、以前のような競馬熱は自分の中に帯びてこない気がしてならない
