・5/11に開催されました文学フリマ東京40におかれましては、多くの方々にイベントおよび弊社ブースまで足をお運びいただき、誠にありがとうございました。前回の文フリ東京は出店を見送ったため、今回が初めてのビッグサイト参戦となりました。その規模感と熱気は、これまでのイベントとは異なるスケールだと実感するばかりでした。

・……という感じで、楽しいね、良かったね、で話が済めば良いのですが、率直なことを言うと、今回の文フリで「挫折」という感情を抱かざるを得ませんでした。要するに、想定よりも本が売れません&人が来ませんでした!
・単純な比較はできませんが、有料本の売上金額も、ブース訪問者(購入の有無にかかわらず)に配布したフリーペーパーの枚数も、昨年5月の文フリ東京38の8割にとどまってしまいました。さらに、今回の目玉として用意した俳句本の在庫が予想以上に残り、想定よりも重い荷物を抱えて帰路につく悲しさは計り知れないものがありました。
・ということで、少なくない落胆の気持ちを抱いているわけですが、「失敗の理由」も自分なりに考えていかなければなりません。今回の文フリでうまくいかなかった理由は、「事前の反応を鵜呑みにしてしまった」こと、そして「文フリ東京が想定以上に『ジャンル』に縛られている」ことだと考えています。
・まず、「事前の反応」ですが、私は文学フリマのカタログはきっちり準備するタイプであり、かつ反応数を元に発注数を決めるタイプです。実を言うと、【気になる】の数字は前回参加時から倍以上になっていたのです。また、SNSのリアクション数も上々でした。今回は競馬本だけでなく、俳句本の新作を用意していました。後者は販売部数が読めない中、「これだけ反応があるならば、競馬本と同じくらい用意しても良いのでは?」と思い発注部数を計画以上に増やしたのです。
・もう一つの「ジャンルの壁」ですが、今回もエッセイ本のコーナーを私は選択していました。新作が俳句の本とは言え、句集と推敲ノウハウ集なので、純粋な俳句の本は1種類なわけです。メインである競馬エッセイも多数揃えている以上、「詩歌」のブースで出すことには違和感がありましたし、詩歌目当てのお客さんもエッセイブースに来るだろう……と思い込んでいました。
・が、これが全く来なかった(と言い切ります)! 推敲集にはそれなりの反応があったけど、句集はさっぱり。会場が上下の配置になっていたから、流動性がそんなに無かったのでしょうか。さらに、店頭での呼びかけでも「俳句の新作です」と言い続けたものだから、エッセイ目的のお客さんにも刺さらず悪循環に……。ブース訪問者数も2割減になってしまったのは、その要素があると感じています。
・閉店まで残り1時間半で方針を見直し、競馬エッセイをメインに販売と呼びかけを行った結果、なんとか競馬本は一定の販売数を確保することができました。とはいえ、気合を入れて制作した新作が散々な反応だったのは、やはり落ち込んでしまいます。
・一旦振り返りはここまでにして、少しばかし今後のことも記していこうと思います。少なくとも自分の中では、文学フリマ東京は「成功した本&ジャンルで勝負する場所」という定義に変わりました。かつ、「様々な文学との多様な出会いの場」では無いのでは? という疑念を抱いています。規模が大きくなり、様々な作品が用意されている一方で、一人のお客さんが購入し、把握できる本の量や心の余裕は、これまでよりも小さくなっているのではないでしょうか。多くの本を販売できる、伝えることのできる可能性がある一方、その範囲は厳選しなければなりません。
・11月の文フリ東京41は予定通り競馬エッセイの新作を頑張ろうと考えており、エッセイのジャンルでブースを出すつもりです。ただ、自分の中ではまだ「俳句も頑張ろう」という気持ちはありますし、萎えていないどころか着実に作品は増やしています。でも、俳句の本をちゃんと売る、メインで売るのであれば、本の出し方を変える(ページ数を減らす、コピー本かフリーペーパーにする)か、出店ジャンルを「詩歌」に変えるか、文フリ東京以外の場所で売るかを考えていかなければなりません。少なくとも、「新しい表現にチャレンジする場所」としての「文学フリマ東京」というのは、リスキーであり、ちゃんと戦略を立てなければいけないと痛感している次第です。
・そんなわけで、ここまで私のボヤキに付き合ってくださった皆様! 句集を買ってください(平身低頭)。では、次はコミティア153でお会いしましょう!