イシナガキクエの二話について。(TVer視聴)
「この番組はフィクションです。」
一話では最後に表示されたお決まりの注意書きが二話では冒頭にもご丁寧に登場。この番組は虚である。しかし一方で、わたしはとても追えていないのだが、電話番号の口コミサイトに番組に使われた電話番号が載り色々と書き込まれていたようだ。さながら嘘から出たまこと。
さて番組について。
否定される前回の情報
追加取材した結果前回寄せられた情報は間違い(勘違い)でした、と冒頭に告げられる。唯一否定されなかったのは米原が亡くなった後に彼の家を映した映像だけ。では今回はまともな情報があるのかというと違う。むしろ更に胡乱さを増した情報が視聴者に与えられた。
怪しさに満ちた映像と仲介者としての番組スタッフ
前回の放送を受けて視聴者から掛けられてきた電話に応じるスタッフが紹介された後、今回は映像が二つ提示された。一つは心霊系Youtuberが廃墟を撮ったもの。もう一つは近所の池で中学生が拾ったというビデオカメラに収められていたもの。
内容については割愛。廃墟探索の映像は隅に変なものが映るんじゃないかとハラハラしながら見ていた。特に床に写真を置いて、一枚一枚チェックしていくシーン。不意によからぬものがぬっと映り込んだらどうしようと気が気でなかった。池で拾ったビデオテープの映像もそう。あの乱れた映像はもはや執念。ハラハラというかワクワクというか、一体何を見せられているんだ、わたしは。という感じ。
映像の共通点としてはイシナガキクエ(らしきもの)の写真を二つの映像は撮っていてそれが彼女を探す手がかりになるのでは……という点。
しかしその写真が曖昧。そもそも米原が持っていた写真ですら不鮮明で、AIにより補正されたものだったわけで。それを元にして似てる・似てないを断じていくのは無理があるような。なのに番組はそれが当然のように進行する。
特に中学生が拾ったという後者のビデオテープに関しては非常にぼやけており、それが写真かどうかすらわからない。前提として情報が与えられているから「あるいは遺影か……?」とも思えるのだけれど。番組内でのサーヤの言葉を借りれば、
「どこの部分を取ってキクエさんと仰っているのかちょっとわからなかったんですけど……」
ということになる。番組がここに至るまで、写真は全部イシナガキクエを写したものだという前提で進められていたからこの言葉にちょっと安心した。ところが待ってましたと言わんばかりの安東の言葉。
「実際何のために撮られたか、っていうのもわからないんですが。さあ実際にですね、あまりにもはっきりしていなかったので……どうでしょう、もう一回こう……見られますかね?」
疑ってかかりすぎているかもしれないが、「さあ実際にですね」という部分に少し引っかかった。「さあ」も「実際に」という言葉もこの流れで使うには違和感があるというか……是が非でも穴の開くほど映像を見せたいという安東の意思を感じるというか……
この言葉の後に少し間があってVTRが再び流されたのだけれど、それまでの間はサーヤと安東がVTRを待つ様子がカメラに映されていた。神崎は映されない。ここもちょっと意味深。
番組内の時間軸は前後するが、スタッフの悪意を疑っているわたしとしては映像に入る前の紹介の仕方にも引っかかった。
「(Youtuberの)キラフさんが撮影した映像を提供していただき、それをスタッフが編集したものをご覧いただきます」
映像は一見、継ぎ足された様子はないように見えた。とするとカットされた部分があるということになる。多分。隠された、と言い換えてもいいかもしれない。
それを示す一番わかり易い部分は廃墟の中の一部にモザイクがかけられていたこと。
わたしはこれがカレンダーだと思ったのだけれど、実際に何なのかはわからない。大きな護符かもしれないし引き伸ばしたイシナガキクエ(らしいもの)の写真かもわからない。映像の中でキラフがこれに反応した様子がなかったのでごくごくありふれたものだとは思うがしかし、キラフの反応をスタッフがトリミングした可能性もあるわけで……何なのだろう。
カレンダーと思ったのは、カレンダーの示す日付が約15年前から空き家、という情報と齟齬が生じるものだったからじゃないかと邪推したため。
とにかくスタッフの悪意を疑わずにはいられないわたしなのであった。
映像の不穏さは言わずもがなだけど、映像の後のスタジオの反応で更に不安さを倍増させる仕組みがとても好き。出演者たちもどこかおかしくなっていっているんですか……?
やはりどこか、イシナガキクエ探しについて米原と番組スタッフとではその意図に差異がある気がする。「意志を継いで」という言葉の白々しさ。
しかし、疑問は尽きないのに、とうとう次回でイシナガキクエについては最終回。果たして彼女は見つかるのだろうか。あるいは、見つけられるのだろうか。今からとても楽しみ。