日々(2024/5/7)

わとそん
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お久しぶりです。お元気していましたか?

終着地と大まかなルートだけ決めて、ゆるやかなひとり旅をしている。基本的に宿の予約は宿泊の前日あたりにagodaで済ませるスタイルを貫いており、まぁなんとかなるでしょうの精神で次の街へと向かうことにしている。溢れるほどの自由!なお、当然ながら帰国便の予約などは一切していない。一応、今月末あたりには帰らねばと思ってはいるのだけど…帰ったら帰ったで、考えなければならないことが(旅費の返済のバイトに加えて)沢山待ち受けている。

ところで。10日ほど前、私はベオグラードの街中でひとり夜ごはんを食べていた。海の幸パスタとラキア(東欧名産の蒸溜酒)のはちみつ割り。物価の高い国ではないのだけど、立地の良いお店だからかだいぶ値段がして、スーパーのクロワッサンで済ませてもよかったかな、なんて思う。とはいえ料理とお酒は確かに美味しくて、それから私は夜のレストランのテラス席をゆっくり見渡した。家族連れやカップルがそれぞれのテーブルで美味しそうなものを囲んでいて、賑やかな声が聞こえてくる。その片隅でただひとり黙々と食事をしている私を見出して、そういえばここ1週間ほどの間、ひとと会話をほとんどしていないことに気がついた。セカオワの好きな曲の「自由は孤独と半分ずつ」というフレーズがふと思い浮かぶ。おそらく自由と孤独は表裏一体ということが言いたいのだろうけれど、比率としては5:5ではなくて、たぶん3:7くらいだったりしないかな。孤独というのはそういうもの?そういえば、「怖いものなんてない」と歌う根拠は「僕らはもう1人じゃない」かららしい。もし本当にひとりぼっちの人間がいたとして、彼もまた海を目指して歩くことを望んだりしても良いのでしょうか。

何故この話をしたかというと、偶然にも昨日、「はちみつ」と「一人であること」を同時にふと考えたからである。訪問先の観光地でふらっと立ち寄ったはちみつの専門店は、あまりにも、あまりにも素敵な甘い香りで満ちていた。木目調の狭い店内にははちみつで作られたきれいなハンドクリームや石けんなどが並んでいて、将来の夢ははちみつ屋さんのマスターでもいいな、なんて考える。何かひとつくらい買っていこうかと思った私の視界に、中くらいの瓶に入ったミード(はちみつ由来のお酒)が入ってきた。以前から飲んでみたかったのだけど、ここで出会うとは!値札を見ると、しかし思いっきり予算オーバーの12.9ユーロ。当然ながら散財する余裕はないし、瓶一つ分のお酒は私1人で飲むのにはだいぶ多すぎる。どうしようかな。

こんなとき、誰かしらの同行者がいたらどうするのだろう(友好的な相手でさえあるのなら、旅の道連れは誰を、あるいは何人を想定してもらっても良い)。誰かと共同で一瓶のミードを買い、炭酸水か何かで少しずつ割って、たわいの無い話でもしながらゆるやかに酔うというのは、たぶんもっとも素敵な時間の過ごし方のひとつだ。ひとり旅のさなか、ふとそんなことを考える。

訪れた観光地はとても風光明媚な場所であり、もしかすると人生でもう一度くらいここに来ることがあるかもしれない。2回目の訪問がひとりかふたりかさんにんなのか、今の私にはわからないけれど、その時の私が(もし同行者がいるのなら彼らも含めて)まっすぐに生きていてくれたらいいなと思う。

@watson_art
冬の目標:雪の日に海を見に行く