三作続けてパク・フンジョン監督ニムの韓国ノワール映画だよ〜。
おんもしろかったー。
韓国ノワールの大傑作と紹介されてたり、Xでも大絶賛で、とにかく「ゴア表現をそこまでやるか」とか最初から最後まで胸糞悪くて閲覧注意…くらいまで言われていたり、俳優のファンがグロシーンはとても観られないけどそれ以外が最高でまた観たいとか言ってたりとすごいハードル上げまくってくるんだけど、そこまで面白がる人が多いなら…と期待して観たけどそのハードルを易々超えてくる面白さだった
三作観て思ったけど、この監督さんは前半丁寧に伏線を張るタイプなのかな
情報開示されて「オワー…‼︎」みたいなの結構多くて、あまり頭使わずに観てるタイプなので毎回衝撃受けてる
今回はさ、北朝鮮で金庫番と呼ばれて国のカネを取り仕切る強い力を持つ高官の息子のグァンイルってやつが物語の中心にあるんだけど、こいつがすんごいサイコパス連続殺人鬼なのね、で、ただの殺人じゃないくらい、むごいやり方で殺すんだけど、親が親だからお咎めなしなのね
ただでさえ国内での残忍すぎる大量殺人を揉み消しまくってもらってるのに、北朝鮮のカネの流れや口座を知ってるからアメリカからも身柄を狙われている上、さらに北朝鮮から出て、国から保護(?)してもらっている韓国でもその性癖をやめられずにとんでもなく惨い殺人を繰り返しているのにそんな男を捕まえることも裁くことも殺すこともできなくて、みんなでどうしよっか…ってなる映画なんだけど
しかもこのグァンイル、自分がどれだけ貴重な存在なのか、そして特権階級に守られる存在であるかを理解しているので例え両手に手錠が掛かろうとボコられようと、結局釈放されるのわかってるから周りの大人を舐め腐ってず〜っとニヤニヤしてるんだよね これが本当にねー、
憎たらしいと思うじゃん?
顔が綺麗で可愛くて憎めないんだよな〜
グァンイルがテグス糸で被害者の首を絞めるシーンがあるんだけど、窒息の苦しみと細い糸が肌に食い込む痛みでうめく若い女を見ながら恍惚とした表情演技がよかった
グァンイル役の人、すごい若く見えたけど幾つなんだろ、と思って調べたら同い年だし2017年の映画なので27?26?で演じてて「えっ!あの肌の感じで25超えてるの!?」と「えっ!あんな狡猾な演技でまだ25歳くらいなの!?」が同居してて分からん分からん分からんになりました
役抜けた普段の顔見るとハムスターみたいな顔してるけどグァンイル役の時はマジで綺麗な幼なサイコパス(幼妻みたいにいうのやめな)でした
このグァンイルが起こした事件を追って、韓国の暴力刑事イドと北朝鮮の暴力刑事デボム、CIAの金にがめつい刑事(いや違うと思うんだけど役的にグァンイルの持ってる口座情報にしか興味なさそうだったから…w/でも実際CIAはグァンイルが自国の人間に手を出してないからヘラヘラしてんだろな〜他人事なんだろな〜感はある)がゾロゾロ集まってきて、本人も罪を認めているのに自分たちの国で裁くことができないこの悔しさたるや
イド(韓国側の刑事)がもうね、本当ヤクザみたいなんだよね 違法捜査がなんなんだ、捕まえる方が大事だろって部下ぶっ飛ばしたり泥臭い捜査を這いつくばってこれでもかと追い詰めていくし、グァンイルに半殺しにさせられたことのある北朝鮮からの刑事が脱北してまでも追いかけてきて、もう正義のはずなのに二人とも言ってることややってることがヤクザすぎて笑ってしまうんだよね ただ、これ以上の殺人を止めたい、被害をなくしたいという強い気持ちが伝わってきてなんかもう…ここまで描くんだ、男の感情を……っていう
もうなんか滅茶滅茶締まってんだよね、感情が
ふみしめた雪?みたいな感じでぎゅうぎゅうに締まりに締まった感情の塊みたいな感じ、それをそれぞれの俳優さんが懸命に演じてて、グァンイルを捕まえて事件を終わらせることへの執念が、ある意味地縛霊みたいだな〜とか
でまあこの、ぎゅうぎゅうな感情に相反してずっとヘラヘラニヤニヤしてるグァンイルが、映画後半に一度だけグワァ〜!!!と感情を煮えたぎらせる、というか逆上させられるシーンがあって そのシーン本当になんだろうな、キツイんだけどでも物語の根幹というか、グァンイルの殺人衝動の根幹について暴かれる瞬間のエグさ、ここめっちゃ好きなんだよなあ
それまでの物語の積み重ねで、みんなが持つグァンイルという人間の性格に、観客がそれぞれ違う色を見る特別なシーンだろうなと思う 隠されてたヤバいとこがべろんとめくられて、見たくもない中身を見てしまったような気持ちになった
その後切り替わるとスンッとしてるから、感情のコントロールがすごいうまい子なんだと思ってたんだけど、結局……ね…そう……そうなのよ……
でなんやかんやあってグァンイル捕まえて、(多分)違法な感じで北に帰らされることになって、デボムと古い船に乗ってさ、もうデボムも「やっと裁ける」「やっと報われる」ってちょっと安堵した表情とか見せてくれてんのにさ、すでに事情が変わってデボムの報われや期待が泡のように消えてしまったことを説明するセリフに合わせてグァンイルが例のコートを着て出てくるの、本当にゾクゾクした〜!
いや本当にいい映画だった〜
てか、あと驚いたんだけど北朝鮮ネタてそんなに写真とか名前とか出していーもんなんだ?って感じ 結構初っ端からアッ…見たことある写真…みたいな感じでヒヤヒヤしてた
次は何見ようかな。