今週の仕事はそこまで心理的な負担がなくてよかった。でも色々考えると不安になる。はたらきはじめってこんなもんだったかなあ。
先週は映画が観られなかったので、2週間前に観た『ボストン市庁舎』について考えていたが、終盤に出てきた貧しい地区に住む地元住民こそが市の姿なんだよなと思っていた。映画の感想としてボストン市の行政について絶賛した上にそれを人が見るところに書いてしまったことになんとなく自分の浅はかさを感じていた。
今日は休みだったのでキリール・セレブレンニコフの『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』を観に行った。実在した人物の伝記的な作品であるところ、基本的に時間は直線的に進むが、いくつかの線が切り貼りされているところ、場面によってモノクロームとカラーが使い分けられているところ、現実と幻想の区別が意図的に曖昧にされている部分があるところなど、オッペンハイマーと共通項がありすぎて、観る前は大丈夫なのか……? と不安だったが、これがセレブレンニコフの最高傑作じゃないかと思うほどよかった(『リモノフ』は観ていないけど……)。戦後の南米にはナチスの残党が亡命していたって聞いたことはあったけど、普通に優生思想万歳!ファシスト万歳!ハイルヒトラー!って感じで驚いた。逃亡生活のすべてはモノクロで、緊張感のある感じに撮られてるのに、アウシュビッツで人体実験をやっていた時代だけカラーで、甘ったるいホームビデオのように編集されていたのは、監督によればメンゲレにとって「人生で最も輝かしい時期」だったかららしい。人間らしい描写も多かったけどあまり感情移入はできなかった。
最近時間が空いても何をしたらいいかわからなくなってきた。完全に中年の燃え尽きだ。日帰り旅行とかしたいけどエネルギーが湧かない。これからどうやって生きていくかちゃんと考えないといけない。用があるときだけでなく、日常的に連絡をする人がいたらいい気がする。
何か面白いことがあったような気もするけどなかったような気もする。古い雅楽の楽譜を読んで再現するという取り組みをはじめた友達がトークイベントをやっていたので行ってみた。雅楽は5〜9世紀くらいにかけてシルクロードを伝って日本に入ってきたアジア諸国の音楽と日本の芸能音楽が混ざりあって平安くらいに完成したそうなのだが、当時演奏されていた雅楽の再現は、アジアから伝わってきたことがすぐにわかるような感じで面白かった。琴の弦を押してシタールのように弾いていたり。雅楽はその後変化を続けていくが、江戸くらいに現在のような様式が確立され、明治でも大きく変化したらしい。明治から現代にかけても大きく変化していて、テンポが倍以上遅くなっているらしい。あとどのくらいの時代のことかは忘れたけど、中国では皇帝が変わるたびに文化が一新されるため、記譜方法も激しく変化していき、中国で発見された古い楽譜をなぜか日本人だけが読めるという変な事態もあったらしい。もしかすると現代かな。
久々に会った知り合いに転職したという話をして、「自衛隊」って嘘をついてやろうと思ったけどあまり面白くないし不謹慎な気がしたのでやめた。大人だ。
その日以来毎日YouTubeで各国の古代雅楽再現演奏を聞いている。友達が引っ越したので引越し祝いでちょっといいコーヒー豆グラインダーを送ったら自分でも欲しくなってしまった。あと実家に帰るために新幹線のチケットを購入した。無印で会社に来ていくための服を買った。全身無印みたいな日もある。ソ連の映画が出てくる本を読むと、取り上げられている作品を観ることはほとんどできないので悲しくなる。月末に観たことのないロシア映画が上映されるので観に行こうと思う。