今月は仕事が忙しかった。転職して3ヶ月くらい経つが仕事や会社のことがいろいろわかってきて精神的にもきつかった。人前で話すことが苦手すぎて、喉が閉じて声が出なくなることがある。あとこれは前職の時からだが、プレッシャーがかかると動悸がしたり、胸が苦しくなって心臓がなくなったかのように感じることがあるのでちょっと怖い。とりあえず、自分ができることを少しずつ増やして頑張っていきたい……。
人生初の出張も経験した。猫をおいて数日家を空けるのはかなり不安で、出発の数日前は泣きそうになったが、知り合いに頼んで何回か様子を見にもらったので助かった。家を出た朝から翌日の夕方まで完全に一匹で過ごさせてしまったので、見にきてもらったときには嘔吐していた。たぶん人がいなくなって生活リズムがわからなくなり、ご飯を一気に食べすぎたのかもしれない。あと寂しかったのかもしれない。嘔吐の連絡が来た時点から帰れるまで三日ほどあったのでかなり心配だったが、なんとか乗り切ってくれてよかった。
今月はほぼ本が読めなかったが(というか今年は本当に数冊しか読めていない……)、ずっと積んでた高級本『ナターシャの踊り』(オーランドー・ファイジズ、白水社)を読めたのでよかった。「本質的な国民文化」は存在しないという視点から描いたピョートル大帝の時代(17世紀)からソ連の時代に至るまでのロシアの文化史なのだが、まず、膨大な資料を読み解いて軽やかにまとめ上げていくところが鮮やかだった。史実に則していなかったり、単純に資料を読み込めていなかったりとありえないような誤りを、訳者に何度も指摘されており(一章ごとに五箇所くらいあったように思う)、途中ちょっと萎えたが、読み進めていくにつれてロシアの掴めなさというか、よくいわれるヨーロッパとアジアに引き裂かれた土地であることから負わされたアンビバレンスというか、そういったものが丁寧に描かれていて感動した。とはいえ情報量が多すぎてあまり覚えていない。わりとシンプルなことばかり書かれていたような気もする。ソ連を扱った最後の二章でアフマートワとツヴェターエワという二人の女性詩人に焦点が当てられていたこともよかった。
あと去年見逃していたワン・ビンの青春三部作を観れたこともよかった。住み込みで働いて給料は半年後に後払い的な環境で働く、中国の貧しい田舎出身の出稼ぎ労働者のドキュメンタリーなので、ものすごく暗くて悲惨なのかと思いきや、もっとも苦しい場面を描いた「青春─苦─」にしてもそれなりに明るい雰囲気があった。春節に実家に帰る新幹線が通路までぎっしり人が詰まっていたり、山岳地帯の実家に帰る道がほとんど崖で車と車がすれ違うこともできないほど幅が狭かったりしたのは驚いた。若い労働者たちは、ミシンがあるだけの仕事場、ベッド以外何もない部屋、長すぎる労働時間、望まない妊娠や結婚など、あまりにも人間味がない環境(機械的で動物的)におかれていたけれど、仕事中も友達同士でふざけ合ったりカップルでいちゃいちゃしたりしていて本当に楽しそうだったし、感情を爆発させて喜んだり喧嘩したりと、自分よりよっぽど人間らしい生活をしているように見えた(苦笑)。監督も謝辞で、撮影に協力してくれた工場主や従業員に感謝したい、おかげで素晴らしい生活を見ることができた、というようなことを述べていた。
紀伊國屋新宿本店の二階にある公衆電話で長電話をしていたおじいさんが「WBC行くの?行くの?」と言っていてよかった。あとStereolabのチケットを取った。