3週間、面接を受けていた。日程を調整して、面接の日が決まったらその日が来るまで待ち、面接を受けたらその結果を待ち、選考が通ったらまた次の日程を調整して次の面接を待ち、と何かと待つことが多かったのだが、その間、不思議なことに何をする気にもなれなかった。もし転職できたら、今の職場からの脱出という、長年夢見ていたことが叶うはずなのに、選考が進んでも特になにも感じなかった。くすぶってさえいないのに、すでに燃え尽き症候群のような感じになっているのかもしれない。
ここ1年くらい電車の中で「すぐわかるイギリスの歴史」的な、現地のベストセラー本をちょびちょび読んでいるのだが、やっと戦後まで進んだ。戦中、衣服の不足を忍ぶため、女性たちはフリルがついていない機能的な服を着ていたらしいのだが、ストッキングまで不足していたので、その代わりに脚にソースを塗っていたらしい。そこまでして地肌を隠したいのか、おしゃれがしたいのか、よくわからないけど、発想としてすごすぎると思った。
今日は1年に一度行っている健康診断のために、猫を動物病院に連れていった。病院に連れていくのは今回で5,6回目になる。うちの猫はかなり怖がりで、キャリーケースに入っているときも、病院に着いてからも、暴れたり抵抗したりしないかわりに、すべてに絶望したようにシュンとしてしまう。キャリーに入れるときは多少は逃げようとするし、入れてすぐの状態では哀愁感の漂う低い声で鳴いているが、外に運んでしまうと、何もかも諦めたように無力の存在になってしまう。ちょっと可哀想に感じる。病院から帰っても、部屋のすみっこに隠れて1日くらい落ち込んでいる。
ところが今日はちょっと様子が違って、道中キャリーケースの中のタオルに顔を突っ込んで唸っていた。少しキャリーケースに慣れてきて、自己を表現できるようになったのだろうか。病院についてからは相変わらず目をまんまるくして怯え切っていて、注射をしたり採血をしたりする間、先生から「えらいねー、おりこうだねー」と言われていたが、病院から帰るときはちょっとリラックスした表情をして外を見ていた。家に着いて開放してあげると、やっぱりすみっこに隠れていたが、なんと2時間ほどで出てきて、ご飯を食べていた。これまでに比べると恐ろしい変化だ。圧倒的成長?だ。猫を飼いはじめて4年くらいになるが、絆の深まりを感じた1日だった(まだ午後1 時だが)。