その皮膚科は地元へ帰ってきてから数回しか通っていない。が、たまにいる女医さんが美人だし優しいし何より話しやすいのですっかり心を奪われファンになってしまった。そんな先生が今月で退職なさるという噂が職場であがり、昼休憩を使っていそいそと皮膚科へ行った。
そう、わたしは先月くらいにビタミン剤をもらったくせにまた会いに行ったのだ。そんなことで…と思うかもしれないがちゃんと治療目的で行ったのでそこは信じてください。お願いします。
物心ついた時から目の下にイボとは違う細かい脂肪の塊のようななんというかそんな感じのボツボツができていた。日常生活に支障をきたすほどでもないし、自撮りや他人撮りもズームにしない限りわかりにくいのだが気にはなっていた。いつかなんとかしようと先延ばしにしていたが今回その女医さんが退職してしまうという噂を聞き、忌まわしい目の下の奴らを焼いてもらいに行ったのだ。
と、意気込んでいる様に書いてはいるが実際のやり取りは
「やっぱり焼く…?焼くんですか?痛い?」
「少し痛いかも。今日は大きめのだけ焼いて様子見てみてみますか?」
「そうします…!え、本当に痛いの?緊張する」
「はい、ベッドに横になってください〜」
と、いう端的なものである。耳の裏にタトゥーをいれるのと目の下のボツボツを焼くのはまた別のベクトルらしい。書いていて気付いた。そしてタトゥーの時とは段違いで痛かった。それはそうだ、焼かれているのだから。
ある程度焼かれたあと、汗の事を伝え汗の薬も貰ってきた。職を変えたせいなのか元々なのかはわからないが無意識のうちに緊張し勝手に汗をかき、その汗がとても臭うのだ。勤務中は感じないのだが、ほっとひと息ついた帰りの車内で「クサ!」と大声を出すくらい臭い。
そして最後先生に
「今月辞めるという噂を聞いたんですが本当ですか?」と聞いたら
「来月中旬までいます」
と、いう嬉しい返答があったのでまた来月皮膚科に行こうと思う。残りのボツボツを焼きに。