太宰治を読んだ時、確かな共通点を感じた。
それは第一の手記にて「まだこの世を知らない」事だ。
それは自分も感じており、窮屈さ、歯痒さ、何より無知さが他者と世界を分けている。
葉一は、それを"女"や"酒"によって知ることになる。
第二の手記にて、世を知る葉一は段々と破滅に向かう。
世間を知り、体を壊し、精神を病み、人間ではなくなっても、さも一般のように営みを続けていた。
それは、将来の自分のように感じる。
私もいつかは葉一のように、"人間失格"の烙印を押されるだろう。
今の時代が、"人間失格"の烙印に寛容であろうとも、人間としての資格を失ったものはただでは生きていけないのだ。
それこそ、葉一がもう人間でないように自分を語ったように。
私は"女"にも"酒"にも疎く、まだ世を知らないがこの先、どうなっていくかは分からない。
太宰治に敬意を表し、この世に、個人からなる世間に、アンチテーゼを捧げたい。