犬の散歩に行った。
友達が某所で某人が某にいるから某某某……となり、わたしに犬の散歩チャンスが巡ってきた。
結局散歩はあんまりさせず、部屋の中で犬と遊びまわっていた。
周りの人たちが会話しているのをよそに、わたしは1人犬と真剣に遊んで、犬に話しかけている。人間って怖いよな〜と思う。だって会話してるけど、言葉の定義を全部やらないから、分かり合ってる風して全然分かり合ってないじゃん。
たしか昔養老孟司の本を読んだ。そこには、脳が26あればそれと同じ数だけの考えがあり、同じ空間に26の考えがあるということになる、みたいなことが書いてあった。めちゃくちゃ当たり前なんだけど、「うわっ分かりあうとか嘘なんですわ」と思ってしまった。そこから薄ぼんやり人間が怖い。分かり合った顔して何も分かり合っていない。そういうのがめちゃくちゃ怖い。たくさんの人がいればいるほど怖くて、疲れるようになってしまった。
それに比べて犬はどうですか。このミニオンのオモチャを投げると、見事に拾ってきますよ。めちゃくちゃ嬉しそう。この尻尾。絶対に嘘偽りない。わたしと遊んで絶対楽しんでますよ。別にわたしじゃなくていいだろうけど、少なくとも楽しんでますよ、この犬さんは。
昔から人の会話に入るのが下手だし、どうしていいか分からないからニコニコして、機を見て話すなどするけど、大抵途中で失敗してしまう。変になっちゃうんだよな。人が笑っている時、また失敗したのかなって思って、ぎこちなくなって、そこからまた変になってしまう。会話の流れ止めちゃったかなーとか、会話の量のバランス変かなとか、共感を示したくて自分の話を付け加えたけど、絶対いらないやつだよなとか、とか。
それに対して犬はどうだい。
犬は噛むし引っ掻くし痛いし傷が残るけど、その傷はすぐに治る。
人は噛まないし引っかかないし痛くないし傷は見えないけど(例外はあるけど)、心についた傷ってずっと治らないよ。