朝、コーヒーを送るために仕分ける。
mazelabからコーヒーを買いたくて人を募ったら、何人か集まってくれた。このためにわざわざフォローしてくれた人もいて、本当にありがとうございます…おかげさまで豆を買うことができました…責任を持って皆さまのところまで豆をお送りします…ということで、送るための豆を仕分けた。
それを持って郵便局へ。Googleマップの口コミには、「ただの郵便局なのに一流ホテルのような接客をしてくれる」と書いてある。そんなあほな。嘘であろう。そう思い郵便局に行くと、本当に一流ホテルのような接客をされた。
「こちら、とても良い香りがいたしますね。ご自身のお店のコーヒーをお送りされているんですか?」
と問われる、礼儀正しすぎる接客に背筋が伸びてしまう。
「いいえ、こちらは海外から取り寄せた豆です。送料が高いので、インターネットで顔も知らない人たちと呼びかけあい、送料等割り勘にして購入する運びとなりました。個人情報と引換えに豆を手に入れたことになりますね」
と答えると、
「左様でございますか。さまざまな豆を楽しめるのは非常に良いことでございますね」
みたいな返事をして頂き、どうもありがとうございますと挨拶して立ち去った。プロはどこにでもいるのだな。あの人の情熱大陸はないのだろうか。荷物を送っただけなのに、お嬢になったような高揚感を得てしまった。あの人に幸あれ!
その後コンクリートの口をこじ開け、血が繋がらない家族(すなわち家族の恋人)と落ち合い、パソコンをカタカタした。
血が繋がらない家族は手作りおにぎりを持たせてもらっていたので、公園で水を吐き出し続けるトリを見ながら、お話をしておにぎりを食べた。このトリは日本の中でも相当に古い噴水らしい。近代化の夢を託されて、しかし精神は十分に近代化されなかったわたしたちを見て、嫌気がさしたお前は天に向かって唾を吐き続けているのか。そんなことはないな。そのように設計されただけ。最初からそうとしかならなかった。
ちょうど座ったのが桜の樹の側で、「桜の樹の下には」「死体でしょ」「誰だっけ、安吾?」「安吾だよ」「さっき借りた安吾の全集にもこの話入ってるね」「ほんとだね」と話す。
→こちら、「いや、安吾なのか?梶井基次郎では?でもまぁしかし安吾か……」と思っておりましたが、やはり梶井基次郎でした!どっちも死体だけどね!!
話題はうつり変わり、定まらず、イタリア人とスペイン人のカップルのこと、彼らが話す言語、わたしが知っているギリシャ語は5単語、チェコ語の乾杯とロシア語の「乾杯」ってどの程度かぶっているっけ、フジキューは楽しかったよ、オランダ語って母音が連続して変だよね、あ、このおにぎり美味しいやνόστιμο、ギリシャ語いうタイミング待ってたね、バレちゃった。
その後、鉄の骨を持ちコンクリートの肉を得たものの中に戻った。
血が繋がらない家族はもうすぐ帰ってしまうので、とても寂しくなってしまう。また日本に帰ってきたら、神道における行事としての相撲を見て、日本の伝統とネイション観について考えようね。
帰りは人の誕生日ケーキを買って、オトナリさんに寄ったけど、閉まっていた。残念だ。明日も穏やかな日だといいなぁ。嫌な予定が一つある。何事もなく終わると良いのに。
おしまい。