喉元にぬるいかたまりがあるような。胸の内側にもやのかかったものがあるような。そんな感じがする。
そのかたまりは、引っぱればぬるりと取り出すことができそうなくらい、案外輪郭を持っている。バッテリーみたいに予備のものと交換できたらスッキリするのかもしれない。
眠たいのは私ではなくて、内臓なのではないかという気もする。
眠気には、すぐにでも眠ってしまいたくなるような眠気と、別に眠りにつきたいわけではない眠気がある。
内臓が眠たいときは前者だ。そのまま布団に潜ればたぶん、心地よい眠りにつくことができる。
眠たいときにいつでも眠れるわけではない。身体のつくりも、社会の仕組みも、それを許してはくれない。
物心ついたときから眠たかった気がする。どんなに好きな授業でも、大好きな映画も、座ってじっとしているといつのまにか意識が遠のいていることが多かった。
「眠っている間は死んでいるのと同じ」と、学生の頃いちばん親しくしていた友達が言っていた。10代の私は、確かにそんな気がしてしまって、睡眠時間を削るようになっていた記憶がある。
今はそれが間違っていることを知っている。だから今日も昼寝をする。