3月上旬の北横岳が最後の雪山ハイクになるかと思っていたけれど、意外とまだ近くの山でも雪が残っていて、運良く再びの雪山ハイクになった。
今回は久々のソロ登山で、目的は体力作り。私はとにかくスタミナがなくてすぐバテる。特に上りが遅い。なのになぜか山仲間のほとんどはものすごく登りが早くて、大抵いつも彼らを待たせることになる。なんなら人によっては頂上まで別行動になることもある。なので体力作りのために富士急行線に乗って三ツ峠駅まで繰り出した。
体力のなさについては自分はかなりこじらせていて、すれ違う無邪気な赤の他人(大抵年配の方)に、「いやーきついですねえ!辛いですねえ!」と話しかけられると、「はは……(きつい辛いってあなたの主観ですよね?主観を他の人も同じように思ってると決めつけてくるのはおかしくない?)お疲れ様です(息ゼェゼェ)」と死んだ目で答えるくらいだ。仲間内でここ辛いね〜と言われたら普通にここきついね〜と言えるのに、すれ違いの赤の他人に言われると心のひ○ゆきが出てくる。声をかけてくる人は挨拶代わりで何にも考えてないし、普通の人達はたとえ自分はきつくなくても「そうっすね!きついっすね!がんばりましょ!」って朗らかに言えるので、偏に自分の性格の悪さと心の狭さのせいなのはわかっている。
最近観ているハイキューで、星海君が「背が小さいのにすごい」って記者の人に言われてつっかかってたシーンがあって、勝手に親近感を抱いている。小さい自覚あるんじゃん!というね。疲れてる自覚あるんじゃん!です。しかし窘められてちゃんと謝れる星海君はすごい。私はあんな神対応をされても謝れない自信がある。だって辛いってわかって来ていて、辛いって思わないようになりたいんだもの。小さいってわかってるけど小さいって思われないプレイがしたい。なのに小さいってコンプレックスになりがちなところをあけすけに指摘されて、愚鈍な定型文で言われたらそりゃ嫌だよね。星海君の言ってることはひねくれてるかもしれないけど的を得ている。彼の場合は自信に満ち溢れているので、コンプレックスなんてない、あるいはとうの昔に克服してそうに見える、というはあると思うけれど。
書きながら思い出したのだけれど、すれ違いの方に、「いやーこの坂きついっすわ〜誰かエスカレーター付けてくんないかな〜」とか「いやーばてちゃいました〜つら〜」とか、あくまでその人自身の感想として投げかけられた時には、「まじきついですね〜エスカレーター必要ですね〜w」とか「私も結構足に来ちゃってて〜」とか素直に返せる。強制的に共感をさせられることが嫌なのかもしれない。
まあそんなわけで、三ツ峠駅から歩いて登山口に向かい、三ツ峠山→新倉山→下吉田駅というルートを歩いた。18.7キロ、登り1600m、下り1500m程度。
この日は快晴で、道中富士山がたくさん眺められた。ただ春の陽気で溶けた雪が木の上からひっきりなしに落ちてくるので、晴れなのにめっちゃ濡れた。
テルモスで持っていったお湯でカップ麺を食べるのも今回やってみた。ちょっとぬるかったけど普通に行けた。むしろぬるい分ささっと食べられてよかった。止まっているとさすがに寒かった。
ペースは上々。チェーンスパイクを落としたのに気づかず結構歩いてしまい、拾うために登り返すハプニングはあったものの、標準コースタイムより早く歩けたので喜んでいたら、下りるにつれて見るからに人が増えてきた。登山者じゃなくて、観光客。しかも海外の人達ばかりである。どうも様子がおかしい。
全然知らなかったのだけど、下吉田駅には富士山麓神社があって、海外観光客でごった返していた。明らかにバカンス的なお洒落をしている人たちの間を縫って汗臭い自分が歩くのはすごく居心地が悪かった。出店が出ているので何か買おうかなと思っても行列だし、美味しそうな苺が売ってるから買おうと思ったら観光地価格で近所のスーパーの2倍の値段だし、指を咥えて通り過ぎるしかない。極めつけは駅で、人が芋洗い状態。トイレも行列だし、汚れているし(使用済みのトイレットペーパーが便器の横に積み上がっていた)、急行は満席で乗れない。明らかに海外観光客に向けた注意勧告の貼り紙がいくつもあるのに、ほとんどが日本語で書かれているせいで、誰も見ていない。
下調べって大事だな、と反省しながらよれよれになって帰った。あとでスマートウォッチを見たら、駅周辺にいる時のストレスレベルがちょっと上がっていて笑った。安いスマートウォッチだが、意外と性能のいいことを知れた。収穫だと思うことにする。