ネパールは野良犬天国でした。
寒いからか中型以上の犬しかおらず、みんな揃いも揃ってモッフモフムッチムチ。中型モフモフ雑種が好きな自分にとっては天国でしかなかった。
とはいえ海外の野良犬なので病気が怖く、実家の犬や友人の犬に万が一でも何か持っていってはイカンと思い、近づかない、刺激しない、触らない、を徹底していた。
しかしネパールの犬はみんなのんびりしていてお行儀がよかった。
オス同士がたまに喧嘩するシーンはあったが、基本だらーんと寝そべっていて、横を通る人間にはちらりと視線をくれるだけだったりする。
トレッキングしているといつのまにかついてきたりすることもあった。エサが欲しくてついてくるので、くれないとわかるとあっさり離れていくのだが、中には村から村までまあまあ長い距離をしっかりついてくる子もいたりした。さながらパーティーのに仲間入りを果たしたかのようだった。癒やし担当の非公式シェルパである。幻想水滸伝でパーティーに空きがあるといつのまにか仲間に加わってるムササビがいたのを思い出した。
「エサをあげるとどこまでもついてきちゃって、行った先の村にいる犬と縄張り争いで喧嘩しちゃうからかわいそうよ〜」
とガイドさんに言われていたので食べ物をあげるのは避けていたが、気づいたら当のガイドが道すがらビスケットを買って犬に与えていてずっこけた。じゃあいいかとこちらも卵の切れ端とか骨とかを投げてみたら、のそのそとやってきて食べていた。もっとくれとしつこく強請るかと思いきやそんなこともなく、そしてどこまでもついてきて困ることもなく、静かにまた地面に寝そべるのであった。
ネパールの犬はクールで穏やかで強くてかわいい。