54歳の2月3日から5月7日

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2/3の続き。帰宅してから疲れ切って寝てしまった。夜はビーフシチューを食べてアニメの『亜人』を見た。展開を丁寧に描きすぎていてちょっとまどろっこしい。 2/4 昨日の疲れが濃厚に残っている。それでも遅めに起きてナカマツゲラを終わらせる。飯食ってから昼寝して有明で買い物。台所用品をいろいろ。 2/5 今日は家人の誕生日だが、月初なので残業。しかも雪。鯛飯を作り仕事しながら待つ。クリニックで寝ながら文明と終末SFという文章を思いつく。実際に書くかどうかはわからない。ゲラ直しは受領された。新人賞下読みはサクサク進む。知っている、というか名前を覚えている人はやはりそこそこ書く。ただ、SFとしての細部の掘り下げがどうも物足りない。もっともこういうのは改稿でどうにでもなりそうな気はする。SF大賞の候補者プロフィールを書いているのだが、だんだん寒さがキツくなってきて中断。ご飯を食べてまったりしていると家人から帰宅の連絡。雪は霙まじりだが雷が鳴ってなんだか嵐の様相。 2/6 早朝に起きる。今日は一際寒い。だが雪は雨になっていて積雪も酷くはない。『最後の宇宙飛行士』読了。ファーストコンタクトホラー。ぱらっと見た印象と変わらず。『妄想感染体』を読み始めるが、どうも三部作の開幕編らしい。どうしたものか。書評メイン、普通だったらティドハーだが自分で解説書いているからなあ。 2/7 朝は寒かったがクリニックからの帰りはずいぶん暖か。バスで応募作を読む。どうもアイディアというか、奇妙な事態が起こっているのに、それがなぜ起こったのか、いかにして起こったのかを書かない人が多いのはSFとしては問題だ。また、そこで事件が起こる、で終わってしまって、事件が起こって、そこからどうして、それで事態がどう変わったのか、というところまで書いて欲しい。いかに短編とはいえ展開が足りなすぎる。雰囲気や感傷だけで物語を終わらせちゃダメなんだが、そこがちょっと気になる。ブルースカイがオープンになったのでアカウントを作って投稿をはじめる。Xに比べるとずいぶんすっきりしている。デフォルトでリポストや返信を非表示にできるのといろいろテーマごとのフィードというのを覗けるのがいい。ゲラがくる。 2/8 歯医者。ブリッジを入れてもらうがまだちょっと違和感がある。次回から歯の掃除といよいよ入れ歯の作業がはじまる。ゲラ作業。ほぼ指摘通りの直しで良さそう。ゲラ修正して戻す。ゴス怪物娘最初から読み直す。やはり面白い。『読みたい!』が来る。今回は上位と自分のベストが重なっていて良いのか悪いのか。ランキングがマニアっぽい(特に海外)のが気になる。上林俊樹を読み、ひさしぶりにブログを書く。他の献本にも目を通して早く書かなくては。玉川病院に電話するがうまく通じず。 2/9 携帯のケースが来る。ゲラがまた戻ってきたのですぐ戻す。結構物書き(哲学者・人工知能研究者)として名のある人なのに文章はめちゃめちゃ陳腐な小説で応募してきていてびっくりする。というか、他にもちらほら似た感じの人がいて、レトロなSFはいまや書くのがかなり難しいと思うのだが、好きだからしかたがないのだろうなあと。夜中まで起きてしまう。 2/10 早起きしてタオルケットの洗濯。狙い通りよく晴れた。サクサク応募作を読んでいく。後半はあまり優れたものがない。夕方、家人の美容院に合わせて待ち合わせして門仲で食事。ちょっとおしゃれな居酒屋だが、唐揚げが大きくて少し胃にきた。その後ずっと調子が悪くぐだぐだに。夜、韓国映画の『パイプライン』を見た。テンポのはやいコメディで、昔の香港映画を思わせるベタな感じでまあそこそこ面白かった。続いてシャマランの『アンブレイカブル』さすがに金はかかってるし役者はいいししっかりした演出と例によってあざとすぎるほど上手いどんでん返しでキチッと見られた。すごいとは思わないがさすがだなあと。 2/11 大賞のプロフィール作り。たぶんこれで終了。どうも昨日から胃の調子が悪い。いろいろ細かいことをやって1日を過ごした。夜はずっと『亜人』を見る。第2シーズンは原作からかなり離れていて結構面白い。書評メインを何にするかまだ迷う。 2/12 朝は寒いが昼過ぎは暖かい。服装が難しい時期になってきた。クリニックでガン寝してバスで誰がいなくなったか当てろ思い出せなかったら死ね天井から怪物がという夢を見る。新人賞下読みはついに残り一桁に。夜は『薬屋のひとりごと』と『亜人』を見る。怪物娘を読む。 2/13 点数付は終わった。あとはどれを通すか。『ピュウ』を読む。南部ゴシック!アニメの『スキップとローフアー』を見る。なかなかいい感じ。でもまあ見ててちょっと恥ずかしさも。玉川病院になど電話してもつながらない。どうなっておるのか。 2/14 『対怪異アンドロイド研究室』と『国歌を作った男』を購入。書評のラインナップを決めなくては。『ピュウ』読了。いかにも南部ゴシックという感じでなかなか面白かったが、ちょい最後でテーマが露骨に出過ぎな感じもする。しかしアメリカ、コミュニティ、アイデンティティ……。 2/15 飯田橋発口クリニック。ちょっと下降気味らしい。次は三ヶ月後。昼はガン研で検査の家人と待ち合わせ東雲コメダ珈琲で昼飯。帰宅して仕事一次選考とりあえず終了。送信は少し後で。『対怪異』なかなか面白い。『裏世界ピクニック』についてどう思ってるか作者に聞いてみたい。絶対意識してるはず。書評のラインナップを決めてメール。ソレルスの『ドラマ』を読んでいてこれって『岸辺のない海』じゃんと気づく。前読んだときは全然気づかなかった。というか、誰か論文とか書いてないのかなー。 2/16 『対怪異〜』読了。よくできている。ステレオタイプなキャラにゆらぎがあって、それがストーリーの振幅を作っているのがうまい。認知されればされるほど怪異が力を持つというのは納得感が強い。きれいなまとまり方も理想的なエンタメ具合だった。まあ軽いが、それは今の時代に合致しているはず。人が優しいのも。夜、家人が寝てしまったので『クローズzero』を見た。わちゃわちゃした計画で、視点を中年になりかかったチンピラの殺される場面から始めてるのが何というか監督の年齢を感じさせる。まあそれなりに楽しく見た。 2/17 宮内『国歌を作った男』読み始める。なかなかいい。豊洲で買い物と食事。懸案だった卵焼き器を買った。疲れた。夜、『グランド・ブダペスト・ホテル』を見た。相変わらずサブカルクソ野郎っぽかったがなかなか面白かった。 2/18 下読み点数を送付。あとはずっと本を読んでいる。怪物淑女が面倒臭すぎる。 2/19 鰤しゃぶを食べた。 2/20 書評原稿を書き始める。冒頭部分だけ直し直し。SF大賞プロフィールの修正。なんとなく山田とLV999の恋をするのアニメを全話見てしまった。時間のすごいロス。まあ、終わってしまったものはしょうがない。井上究一郎の『忘れられたページ』をなんとなく再読。文章が好き。 2/21 今日は一日雨。傘がなくても気にならないくらいの雨だが、おかげで夜は少し冷える。ちょっとサボってしまった。 2/22 歯医者。歯の掃除とブリッジの調整。楽だった。今日は猫の日でカツカレーの日なんだそうで、スーパーでカツとレトルトカレーを買ってきて食べた。原稿を書く。 2/23 休日だが関係なく病院。今日もずっと静かな雨。しかし家人は休みなので待ち合わせて門仲でおでんをつつく。なかなか美味しい店だった。『国歌を作った男』読了。初読の印象通りよい作品集だった。夜はアニメ。『金の国木の国』はまあ平板な物語でつまらないというほどではなくなんとなく見た。『シング』はやはり物語はどうということもなく一個一個の場面のアイディアを楽しんで見た。オリジナルの楽曲がないのでカラオケっぽさは否めない。しかしまあどうも見る甲斐はなかった。 2/24 午前中は原稿。あまり進まない。買い物へいき、夜はラム肉を食べた。アマプラでフリーレンを見てから映画『インセプション』とにかく夢の特撮がすごい。物語は案外わかりやすくて、役者がいいので落ち着いて見られる。なかなか面白かった。 2/25 原稿。少し進む。『プライベートな星間戦争』設定と世界観を二重にデコレートするタイプのSF。まあ少年小説というかライトノベル的でやはりちょっと自分にはなじめないかも。夜、やる気なく家人のオススメアニメ『ティアムーン帝国物語』というのを見る。ばかばかしくて面白かった。 2/26 背中を痛めて1日中痛い。ずっと痛い。悲しい。『シリコンバレーのドローン海賊』読み始める。結構タイトだなあ。書評について問い合わせメールを送る。メアリ・ジキルをようやく全部読了。ギリギリ間に合った感じ。まあ、いろいろ思うことはある。SFMをチェックしておくべきか。感傷ファンタズマゴリイ読む。これはもっとギリギリだが、まあ未読分は書き下ろしだけなので。 2/27 原稿を書き終える。推敲の時間がギリギリ取れたのでほっとする。ギリギリギリギリ言っている。なんだか色々とやらねばならぬことばかり。 2/28 献本が続々届く。人新世資料集める。SFM購入。書評の焦点がまったくこちらと異なっているので微妙な気持ちになる。まあ、被っていないのはいいことではあるんだが。 2/29 原稿を推敲し、いったん置いて確定申告の作業を始めるが、家人に作ってもらったエクセルファイルを読むためのナンバーズ がフリーズして再起動したりいざ読むと文字化けを起こしていたりしてやる気が削がれたので中断し、原稿を送付してからマイナンバーカードに保険証情報を紐付けする。マイナポータルがリニューアルされていてアプリをダウンロードしたり機能拡張を入れたり面倒だったがどうにかやり遂せる。その気になったので文字化けファイルをiPadで読んで(こちらだと読めるのだ)確定申告も終わらせたが、収支報告書をデータ送付するのがうまくいかず、税務署に電話したら郵送か来訪でと言われる。行く方が金がかからないし確実なのでいくことにする。やれやれ。人新世のアート本を読んでいたら序章が非常に簡潔に事態をまとめてある文章になっていて感心した。まあしかし引用がめっちゃ多い文章で、それだけ広範に「問題化」されているのだとわかる。 3/1 今日からクリニックでの保険証確認がマイナンバーカードになる。昨日ひも付けしておいたので比較的スムーズに進む。帰途、住宅供給公社の必要書類をマイナンバーカードで作る。なかなかサクサク進んで嬉しい。『闇の中をどこまで高く』見本が届く。これで私が解説を担当した本が30作目となる。海外文学セレクションは初めて担当するのではないか。しかしこれよりも初めて創元で担当したレイ・ヴクサヴィッチの方がよほど文学らしい気もするが。まあ、どうでもいいことではあるのだけれど。 3/2 何となく無料配信の竜と苺を全巻読んでしまう。忙しいのに何をやっているのか。ローソンの天下一品キャンペーンでレンジチンラーメンとチャーハンおむすびを食べる。まあまあ再現されていて旨かった。ただちょっと値段が張るよね。また食べるかは微妙。夜、『べいびーわるきゅーれ』を見た。絵に描いたような低予算のアクション映画でなかなか面白かった。女子同士のぐだぐだ会話はそんな面白くなかったけど、まあそれがウリなのはわかる。パート2がイマイチというのはまあ一発ネタだよねーという感じ。神品芳夫が亡くなったらしい。リルケ研究を探すが見つからない。検索すると詩集が出てきて、ちょっと欲しかったが今月はマッカーシーの翻訳の新刊が出るのだ。 3/3 一日ずっと原稿を読む。 3/4 クリニックで原稿を読み終える。クリニックの帰りに住宅供給公社に寄って書類提出。認められる見通し。 3/5 午前中は資料を読み、ネット記事をまとめ、そして午後に原稿を書く。サクサク進むとはいかなかったが、ある程度見通しは立ったかもしれない。しかし、いろいろありすぎてコメが切れた本を借りて来なくてはいけないなどちょっと待て待てみたいな感じに。夜、うぇぶりで『ソラニン』を読み始める。絵がうまい。 3/6 朝、竜と苺を読んで100年経っていてめっちゃ驚いた。しかも最後のコマで中学生の苺が出てきてさらに混乱する事態に。なんかすごい。このタイミングでIUGSが人新世を否決したというニュース。kindleを購入してクリニックへの行き帰り『足の間』を三編ほど読む。文章がとても端正で、それに見合ってなのか混乱する状況の中を登場人物の冷静さが際立っている。米を買ってバナナ買った。疲れた。 3/7 歯医者。入れ歯の型を作る。軽い痛みは奥歯がないから噛むときにブリッジに入る力のバランスが悪くからで、入れ歯を作れば治るだろうとのこと。原稿を書く。午前中医者だったからかちょっと進まなかった。夜は鍋。 3/8 書評ゲラ届く。目次の変更以外には目立った修正はなく、ひさしぶりにちゃんとできた感じ。夜は鍋の続き。映画『クーリエ』を観た。運び屋ものということだったが、伝説の殺し屋を探して看板をわたせという依頼で、いろいろ探っていくと命を狙われ、どうも探している殺し屋は自分ではないかというありがちな展開で、途中でだいたい予想がつくが、恋人とか息子とかが投げっぱなしで終わってしまい呆然とするなんだそりゃって感じ。 3/9 原稿を書く。概ね終わったが結語が決まらない。夜はサンドイッチ。映画「聖なる鹿殺し」を観た。酒を飲んで手術に失敗した医者が、殺してしまった患者の息子にいろいろ便宜を図ろうとするが、その息子は不穏な動きを見せ、二人いる子供が次々原因不明の病気にかかり、息子は一人殺したのだから一人失わねばならない、誰を殺すか選べ、という。ジタバタして結局選ぶという話で、たぶん聖書とかの寓話なのだろうが、演出が大仰で退屈だしリアリティレベルが微妙にブレていて観てるとこういう風に落ち着くのかとがっかり感が強い。夫人役のニコール・キッドマンがカッコ良くてミスキャストすぎる。エロティックな場面がほぼ不快で息子の母親のエピソードとかいらないだろうと思った(途中で消えてしまうのもひどい)。 3/10 原稿を完成させる。8枚とちょっとだけ。ゲラも終わらせる。ほぼ午前中に終わったので良かった。新しい薬がどうも合わないらしく腹が痛い。疲れてしまったので早くに寝た。 3/11 朝原稿とゲラを送付。ドクターに相談して薬の変更はなしに。良かった。でもずっと腹が痛かったので湯たんぽをもらう。昨日早かったからかあまり眠れない。帰宅したら痛みは引いた。良かった。原稿の参考文献を送付。オッケーオッケー。 3/12 昨日よく寝過ぎたせいか夜まったく寝られず、三時過ぎまで起きていた。おかげで1日どことなく眠い。雨。おまけに今日から食材が届くと思っていたら来週なんだそうでイオンスタイルまで雨の中か書いにいかねばならない羽目に。木曜分まで買って明日は税務署によって直帰できるように。なんかぐだぐだしてしまった。今日は何もしなかった。 3/13 病院帰りに税務署で欠けていた書類を提出。思ったよりも早く済んだので買い物して帰る。今日もそれだけで終わった。そろそろ再起動しないとなあ。それはそれとして、自分は本当に何もしてないのが好きなんだなあと思う。欲望がなくなる状態に対する憧れはずっと思っているけれど、そういう哲学的というか、瞑想的な意味合いだけじゃなくて、ただ単に本当にダラダラ時間を浪費しているのが楽しい。そのまま、何もなく何もせず消えてしまいたい、となるとまたどこか哲学的になってしまうのだけれど。 3/14 なんだか、間抜けなことが続いて今日も買い物。ようやく本をいくつか読みはじめる。小説面白いなあ。 3/15 ようやく少し暖かくなる。まだ何もしたくない気分が抜けない。夜、『亜人』を最後まで見た。どうも中途半端な感じが拭えない。まあ、難しいのだろうとは思うけども。ひさしぶりに日本酒を飲む。 3/16 朝、病院から持ち帰ったタオルケットを洗濯する。昼過ぎから銀座に出かけ、ブラブラ歩いて買い物してスペイン料理屋で飯を食べたが、どうも胃の調子が悪くなって食が進まず、帰途立ち寄った有明ガーデンで戻してしまう。イオンで買い物して帰宅。少しだけ夜食を食べ、アニメなどを見て寝る。 3/17 どうもこないだからずっと調子が悪い。『足の間』読了。面白かったが、やはり少し作品数が多いのじゃないかと思った。連作の並べ方が飛び飛びになっているのがなかなか面白かった。 3/18 『猫の上で暮らす一族の話』読みはじめる。なかなか面白い。稲垣足穂や星新一のような小さな物語。 3/19 どうも胃の調子が悪い。夜辛い鍋が食べたいとリクエストを受けたので作るけどしんどそう。とだ動物病院に薬をもらいにいく。とだでも往診はやっていると聞き、ホームページで確認したが記述はない。うーむ。今度電話で聞いてみよう。冬乃くじの作品集読了。こちらはむしろ量的に少し物足りないか。鍋はやはりしんどかった。ビール飲んで休む。 3/20 春分の日。『ここはすべての夜明けまえ』読了。前半の家族史は嫌な人間ばかり出てきて語り手も嫌なやつで苦しかったが、後半記録になってからはオセロがひっくりかえるみたいに内省が展開されてすっきりした。小ぶりだがなかなかいい小説だと思う。でも結末は宇宙に行って欲しかった。 3/21 天候が不順なせいか、いまいち体調が優れないまま数日が過ぎている。今日も休みなのにいろいろ進まない。小説が全然思いつかない。評論が書きたくなってくる。ままならない。さくらメールのサーバーがメンテナンスで使えなくなってしまった。各所(と言っても両方創元だが)に連絡。 3/22 『はじまりの青』を読みはじめる。ラノベももっと読まないとなあといういつもの反省。月島でバスが全然こなくて往生した。少し気分が良くなった。やはり天気か。今日も風は強いが快晴。夜、アニメを数本見る。フリーレンが最終回。 3/23 雨が降ったり降らなんだりで、少し止んだ夕方買い物に。日用品など。夜、『タッカーとデイル』見る。シンプルな設計で面白かった。続いて『キートンの将軍』の完全版を見た。後半見たことがなかったので思ったよりも大規模な戦争物で驚いた。ハリウッド的スペクタクルの原型という感じ。ポリーニが亡くなったという。ポリーニと言えば、その70〜80年代の演奏から「完璧」という言葉を使って語られるピアニストというイメージが強くて、実際現代はもちろん、というか現代の複雑な曲を端正に弾きこなす美しさは比類だったものの、西洋音楽の西洋音楽性という感じの「完璧さ」に通じる演奏はベートーベンのソナタやシューベルトやショパンの前奏曲集にこそ現れているようで、だからこそ年齢が増し、身体的な衰えがあるだると予想される近年の録音は意識的に避け続けてきたので、訃報には複雑な気持ちを抱く。それとこれでようやく「完璧」というようなイメージから逃れて一人のピアニストとしてポリーニを聴くことができるようになる、ということかもしれないとかも思った。 3/24 『オリクスとクレイク』を読む。すごく巧い。倒れるものすべての改稿案が浮かぶ。巧い小説を読むとこういうことが起こる。クンデラのエッセイを読んだり。 3/25 人新世ゲラくる。いろいろ端折りすぎと指摘が来てだって枚数少なかったから〜となる。次の解説の依頼。また締め切り一ヶ月で紙魚とも重なるハードな設計。雨が続き体調はしみじみ良くならない。猫の医者も考えなければならない。電話機が壊れたらしい。面倒ばかりが増えていく。 3/26 ゲラ終わらせる。電話がまた使えるようになったみたいだが、玉川病院は例によって通話中。これ、もしかすると電話機のせい……? いやでもとだには普通に繋がったしなあ。『オリクスとクレイク』読み進めるが、なんかオリクスの過去話が延々続き終末どこいったみたいな感じになってだるい。 3/27 解説用のゲラを読む。カイロが舞台の魔術的スチームパンク。とだで往診の話を聞く。提携している往診専門の医者がいるのだとか。本格的に考える。解説本をちょっと調べると元は短編から始まったシリーズらしい。どこまで読むか。 3/28 歯医者。入れ歯の土台ができてきたので噛み合わせを作る、ということで一瞬で終わる。これだったら週末でもよかったかも。帰宅してP.Djeli Clarkを調べる。シリーズの短編がウェブにあったので無料でコピーできた。ノヴェラと本編の原書もまあまあ安いのでゲットするかな……。玉川病院は例によって話し中だったが、一度携帯でかけてみると大変混み合っていますの音声が流れたのでやはり電話機の調子かと思ったが、ふと市外局番を外してかけてみたら、と思ったらそれがビンゴ。無事来月の予約が完了した。やれやれ。青山真治監督の「名前のない森」を観る。映像はクールだが物語がアレゴリカルで意味を考えるのが面倒だったがネットで考察を読んでまあどうでもいいかと思う。 3/29 とだで薬をもらうのに時間がかかり、バスの乗り継ぎがうまくいかず帰宅が遅くなってバタバタした。疲れた。金井美恵子の『トワイス・トールド・テイルズとピース・オブ・ケーキ』の文庫版が出ていて初収録の文章を読んだ。小島信夫の『私の作家評伝』の新しい文庫版もあって森田草平を読んだ。やはり独特の面白さがある。元の小説も読んでみたい気はするが時間がないわなあ。なんか今日は疲れた。 3/30 昼前に買い物。ウォーキングシューズを買ってもらう。今度もホーキンス。『オリクスとクレイク』読了。とりあえず語り手がクソ野郎で真相が全然見えないのが巧いんだけどすっきりしない不満が残る感じ。続刊へ。夜は門仲の居酒屋へ。寿司居酒屋に行きたいなと思ったんだけど寿司は食わず。なかなか旨かったがちょっと注文を間違えた感じで、またきたいなと思う。日本酒に少し酔った。ダラダラ遅くまで起きていた。 3/31 いきなり馬鹿みたいに暑くなって一日調子が悪かった。 4/1 今日も暖か。クリニックに行く途中の公園では桜が咲いている。DeepLを使ってDead djinn in Cairoを読む。なかなか面白い。精霊を統べる者よりもミステリ色が強い。 4/2 Claudeを使ってみるが、こちらの方が小説を読むには良いようだ。制限があるが、私も根を詰めすぎるとしんどいのでちょうどいいかもしれない。『洪水の年』を読んでいて、これはどうもやはり私はアトウッドが好きではないかも、と思いはじめる。さてどうするか。 4/3 Dead djinn in Cairo読み終える。ジンが自殺のような死に方をしていて、操作を担当するファトマをシティが襲って、古代宗教を信奉する一団に連れて行き、天使の仕業と見当をつける。天使に会いに行き、彼が自らも贖って闇の神的なものを呼び出したのを、親譲りの時計を機械にはめ込んで防ぐ。シティとの相引きを予感させて小説は終わる。なかなか面白かったが、読んでおいてよかったという気分のほうが強いか。続いて"The Angel of Khan el-Khalili"読み始める。こちらはファトマが出てこない。『洪水の年』がつまらないのでレムを取り上げるかと考える。レボリューションも出るし、復刊は扱わないというルールも変更していいかも。 4/4 "The Angel of Khan el-Khalili"を読み終える。掌編で、寓話的。3つの願いじゃなくて告白というのが反転していて面白い。 The Haunting of Tram Car 015 について調べる。こちらもファトマは出てこず、幽霊列車ものらしい。面白そうではあるんだけど、今回の仕事的には読まななくてもいいかな。『洪水の年』読了。最後にスノーマンが現れ、『オリクスとクレイク』と合流する。アトウッドがサイエンス・フィクションは現実には起こらないことを描くが、自分は現実の科学の範疇で起きれることしか書かないので自分の作品はサイエンス・フィクションではなく、スペキュラティヴ・フィクションだと語っているという引用が訳者あとがきにあり、一般的なSFの定義とのズレが端的に差別的でなかなか面白い。ゲラをもどす。と言ってもこちらからはなし。結語を考えたが、あまり掘り下げても邪魔かなと思い直す。ブログに書くかも。安藤孝行『形而上学』を読む。一度魔術の方向から読みなおしたいと。でも疲れてしまってダメだ。 4/5 川本さんが書いた大野露井の書評を読んで、ちょっと興味を惹かれて有隣堂で立ち読みしてみる。大正昭和のモダニズム文学を今風にアップデートした感じだろうか。若者というか青春の文学……。夜は唐揚げをたらふく食べた。いつもあまり食べられないので少し胃が回復してきたらしい。 4/6 隅田川で桜見物。吾妻橋から桜橋、浅草で天ぷらと刺身を食ってカッパ橋で台所用品を見てタクシーで門仲、少しだけまた桜を見てバスで帰宅。15000歩も歩いていて疲れた。何やらSNSでいろいろ知り合いがしたらしいが無視。いちいちつきあってられん。夜はいなり寿司でブリを食った。韓国映画の『パーフェクト・ドライバー』を見た。テンポの速い映画で、無駄な説明や無駄な行動をする人物がいないのでストレスなしに見れる。なかなか面白かった。 4/7 近所に買い物にでたら、今日は雨、少なくとも曇天遠いう予報だったのにピーカンで暑いくらいだった。まあ、花見には天気が良すぎたかもしれないが。そんなわけで暑くってとにかく疲れた。仕事の本を読まねばならないが気持ちが乗らない。東京創元社から多めに入金があったので気が大きくなってマッドアダムを買うことにしようかと思う。昔の日記がハードディスクに残っていてちょっと読んでみるかと思ったら自分がまじで嫌なやつで読み進められなかった。怖い怖い。 4/8 1日調子が悪かった。なかなか本が読み進められない。 4/9 1日ゲラを読み、マッカーシーを読む。とにかく読む。調べ物のための本を図書館に予約する。The Haunting of Tram Car 015の話も出てきた。うーむ。 4/10 とりあえずゲラを読了。単純明快な話なので背景を説明する解説がいいと思われる。資料をたくさん借りてくる。まず岩波講座世界史から加藤博の論文「「周縁」からみた近代エジプト」を読んだ。近代日本との比較でいろいろな意味で面白かったが、地中海世界の反映や、進歩史観と民族主義の相克やら近代エジプトのイメージはそれほど違わない。『嘘つき姫』読む。巧いなと思うが少しこのパターンはあきたかもと思わないでもない。『ソリッド〜』と比べてみないと。 4/11 歯医者。入れ歯を入れてみるが違和感がすごい。ご飯を食べるとき下を噛んだり食いにくさがひどい。辛。丸善に出て『マッドアダム』と金井姉妹の『暮らしの断片』続刊を買った。合わせてなんと1万円ですよ。午後はずっと本を読んで過ごす。 4/12 朝、障害者手帳をバスで落としたと気づき営業所に電話して取りに行く。おかげでクリニックに少し遅れた。まあしかたがない。夜、映画『ある用務員』をみた。全然つまらないと言うことはなかったが特に面白くもなかった。『ソリッドステート・オーバードライブ』読み始める。ロボットの思考形態をずっと叙述し続ける序盤でこれは面白い。 4/13 マッカーシーを読んでいく。夜、門仲で晩ご飯。いろいろイマイチの店だった。アニメをいろいろ物色する。『マッシュル』が意外と面白かった。 4/14 『通り過ぎゆく者』読了。うまくいかない男たちの物語。最初の飛行機の謎がまるでカフカのようにずっと寓話的引力を持ち続けるのがいかにもマッカーシーで、様々な対話と、別章立ての妹の妄想の対話がなんとも寂しいコントラストを作っている。どこにも答えがない。続けて『ステラ・マリス』を読み始めると、妹の「どこにも答えはない、と言うか世界は人間に興味がない」と言う認識が淡々と述べられている。他人という存在の鬱陶しさがすごい。解説原稿を書きはじめる。書評メールの返信。 4/15 足の痛みはどうやら筋肉痛もしくは筋を痛めているということらしい。メールの返信で『時空争奪』ゲット。なるほど再録傑作選か。 4/16 二子玉川・玉川病院。特に変化はなし。帰り歩きすぎたか足の所々が痛い。むーん。 4/17 駅前で選挙演説前の乙武氏をみた。やはり思ったよりも小さい。帰り、とだによって薬をもらう。なんだか接続がうまくいかず帰宅が遅くなった。仕事するつもりが何もできなかった。感想レターというのを使ってみようとしたがうまくいかず。『ソリッドステート』を読了。遅すぎるじゃないか。ロジックで固めたような小説で、そこから生まれるユーモアが絶妙だった。 4/18 原稿を書く。資料を読む。大体全体の構成が決まって安心していたら歯医者から電話がかかってきて予約をすっ飛ばしてしまっていたことを思い出す。ダメすぎる。 4/19 夜、『MEG』をみたが、案外のっぺりした映画でまったくつまらないというわけではなかったがいまいち乗り切れなかった。主人公のキャラがブレすぎだったし。ステイサムの映画って期待外れが多い。 4/20 原稿を書くがいまいち進まない。期日前投票を済ませ、豊洲のイタ飯屋でランチ。まあまあ美味しかったがローストビーフ4000円はちょっと高すぎる。夜はアニメをちらほら。家人は気に入ったみたいだが私の感覚では爆発が足りないかなー。 4/21 原稿を書く。ほぼ半分。午後はずっと本を読む。 4/22 原稿を書き、本を読む。衣替えと布団の毛布を片付けたら明日から寒くなるという。ありがちすぎる。『マッドアダム』はとにかく余裕のある筆致がすごいなあと。巨匠だなあ。 4/23 原稿を書く。とりあえず11枚で初稿完成。ちょっと後から書き足すかもしれない。『マッドアダム』読了して、書評原稿も書きはじめる。忙しないことこの上なし。早川から原稿届く。36本と今年も少なめ。だんだん少なくなっていくなあ。〆切は来月27日なのでとりあえず棚上げ。 4/24 『嘘つき姫』読了。とにかく語り口とプロットの巧みさに舌を巻く。まあなんとなく嫌な感じの話が多いけども。小説がうまい人は嫌な話が好きなのか。あれとかこれとか。夜もいろいろ進める予定だったが家人が休み前でダラダラしてしまった。あかんやん。 4/25 原稿を書く。5枚中2枚。まあまあか。 4/26 SFM届く。今回は読みどころが多い。『はじまりの青』読了。ちょっと薄味すぎるか。高島さんはそういうところあるなあ。 4/27 原稿を書く。今日はSFカーニバルだが、原稿が立て込んでおり取りやめに。無理はしないのだが、どんどん出不精人見知りになっていくのは少しまずいかも。買い物に行く。明日のことがあるので今日は酒は控える。 4/28 書評初稿終わり。家人がブックオフに本を出す手伝い。本棚がいくらか空いたので床に積んでる本を詰め込んでいく。探していた本が出てくるとかこんな本持ってたのかとかありがちな。歯医者。 4/29 疲れる月曜日。 4/30 原稿二本とも修正して送付。書評の日雨は夜に受領メールがきたが解説はなし。むー。放置してあったいろいろを読む。筒井『カーテンコール』はまあ年食うとどんなんでも良くなるだなと。もらった海外ものをパラパラ読んだがどうも配信ドラマみたいだ。 5/1 雨。受領メールは来ない。もしかしてGWなのか!○○○○の原稿を読み始める。いきなりジャンプかよ!なやつ。書評の方のゲラが来て、文章がよくわからないというチェックが。すまなんだあ。 5/2 とりあえず原稿を読むが、ぜんぜんダメだなあ。鍋を食う。 5/3連休初日だが病院。夜『クリーピー』を見た。やっぱり面白かった。ちゃんとしている。 5/4 午前中はゲラ。八重洲にだらだら行き、寿司を食べて、ぶらぶらして、有明ガーデンで買い物して帰る。夜、飯食って『ぼっち・ざ・ろっく』を見た。面白かった。ちょっと演奏の場面だけ浮いている感じはしたけど。 5/5 ゲラ終了。書き直し多し。よくない。昼、近所に買いものに行く。家人が家のことをいろいろやってくれるのはありがたいがこちらの体力が持たなかった。夜はグラグラだった。『ぼっち』続きみた。 5/6 朝から疲労困憊。病院で少し回復。投稿原稿はどれもダメすぎる。透析して少し楽になった。 5/7 ゲラ戻す。原稿を読む。デューリング「風土と雰囲気」読んだ。これはすごくややこしいことがあっさり書かれていて難物。雰囲気が、主体の動きに合わせて流動的に発生し、揺れ動く情動でありつつ主観に先駆けるものとして捉えられており、それを和辻とベルクにつなげている。いろいろ読みたくなる。ヘーゲル『美学講義』を読み始め、ゲーテ。シラー・カントそしてドイツロマン派を背景に語られていく感性の学の歴史といったものから始まるわけだが、前提となる言葉の複雑さと、不意に現れるサルトルの記憶に驚く。デューリングも都市の断片と全体の関係について『弁証法的理性批判』を持ち出して論じているのだよね。ドイツ哲学をフランスの持ち込んだ偉大なるサルトル。それとフーコー文学講義を併読読している。「狂気」の部分の時代錯誤ぶり(というか時代遅れぶり)に戸惑いつつ、19世紀における文学というジャンルならざるジャンルの発生(モダニズム?)への省察の法外さとやはりその時代遅れというか現在の言説状況からの遊離に驚かされる。私は私が現在でいる必要は大して感じないのだが。津原泰水『羅刹国通信』を読んだ。なんというか才能豊かな人だったなと改めて思う。こないだまで『眠りの国』を読んでいたので、アンナ・カヴァンを仕切りに想起した。ところで、ヘーゲルが宗教に芸術が先立つと書いていてめっちゃ驚いた。