54歳の5月7日から7月12日まで

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ヘーゲルが芸術は宗教に先立つと書いていて大変驚いた。どういう歴史意識なのだろうか。これって常識だったのか? ちょっと困ったねそれは。 5/8 ミシェル・レリスが読みたくなって迷った末『幻のアフリカ』を借りてくる。他にもいろいろ。某原稿はぜんぜん面白くならない。 5/9 朝、春口クリニック。問題なし。昼飯は家で、三時から歯医者。入れ歯を調整してもらって、欠けている歯を削って冠せ物する準備。10日後になるからそれまで染みるかもあんまり痛かったら連絡してとのこと。しばらくは硬いものは食べられない。帰宅後、とだに薬の予約と海の幸に食事の予約。『幻のアフリカ』前置きが多すぎて本文の前に疲れた。 5/10 ようやく少しまともな文章の作品がきた。構造があるし、文体がある。しかしまだ小説を書くこと、というか仕上げることに慣れていないのかところどころ雑な部分が目立つ。それとこれはジャンルもしくは賞(媒体)違いだろう。とはいえ、こういう作品は余程クオリティーが高くなければ新人賞のシステムでは埋もれてしまうだろうとも思うのだが。まあ、今はネットとか、文フリとかあるから根気さえあればどうにかはなるか。しかし、実は根気というのがこれがなかなか難しいのだ。椎名誠『失踪願望』を読む。コロナ繁忙期の日記。シーナさん罹っていたらしい。あいかわらず体感のある文章で読んでいて非常に心地よい。あと、日記はもうちょっと長い文章を書けよ自分とか少し反省した。もっとも、その反省は数日しかいつももたないんだが。夜に『鬼滅の刃 刀鍛冶の里・前編』を見た。結構新しく書いた部分があったような。 5/11 昼はおにぎり弁当作って有明ガーデンのテラスで食べた。どうも疲れてしまって何もやる気が起こらないというか続かない。昨日解説のゲラがきていた。私が参照した資料と違うことが書いてあってちょっと困った。うーん。『裏世界ピクニック』新刊が献本来ていて嬉しい。読みたい本が溜まっていく。そういえば丸善でいくつか新刊をチェック。お金がいくらあっても足りないが、やはりそれよりも気持ちの問題が大きい。夜、『ぼっち・ざ・ろっく』最終話まで。ライヴシーンがつまらないのと各人の好みの音楽性からこの曲になるかなあ的疑問が出てくるのでちょっとそこが微妙だったが、ダイヴ失敗は面白かった。『怪獣8号』の第一話をみる。イマイチだった。 5/12 書評再校ゲラ直し。なかなか面倒臭い。ゲラをやりながら、こういうふうに規範化される文章のスタイルが、いわば現在の商業(職業)化された修辞学なんだなという気がしてくる。文頭の一字下げとかから繰り返し表現を避けるとかまで。フーコーの古典主義時代以前とは異なる十九世紀以降の「文学」の特徴というか出現の素地に、修辞学の消滅という事態を挙げられていたが、現在の「文学」の無効化とでも言える事態はこの新たな修辞学と幾らか関連させて考えることができるだろう。椎名誠の日記を読み継ぐ。老年にさしかかって反省しきりの文章といつもの自分のありようを誇る(というか、他ではいられないという自負と自嘲)文章を読んでいると、自分の至らなさとか半生の反省とかそういったあれこれが浮かんでゴミのようにまとわりつく。こうして人は鬱になるのか。 5/13 雨が降り頻る中を猫の薬をもらいに病院帰りにバスを乗り継ぐ。時間の都合でひさしぶりに赤札堂で買い物。たまに違う店だと品揃えが少し新鮮に思えていいものだ。帰宅すると早川書房のM氏から書評の依頼メール。すぐに諾の返信。SFMは年一度あるなあ。無視はしていないという感じか。いろいろ下準備に読む。夜、椎名誠の日記読み、自身とは大違いの身分なのだが加齢による疲れ方などには共感する。まったくもって根気がなくなる。 5/14 解説のゲラ戻す。フーコー文学講義を読み継ぐ。構造主義への距離の取り方や、オデュッセウス第八とプルーストの比較から、その相似と差異を、古典的なものと現代的なものの対立として取り出す歴史意識など非常に面白い。批評の三つの領域とか、自分の行為につなげて読むことができるし、もちろんここで分析される「現代」がすでに過ぎ去ったという認識も浮かぶ。今あるのはやはり市場の全面化だろうか。メイヤスーのXSFとSFをiPhoneで画像を撮りそれをGoogleドキュメントで文字起こししてクロードで翻訳し読む。科学の「外」という問題を提起したヒュームと、それを理解していないポパー、理解して排除したカント、という構図。時間をかけて読んでいこう。椎名日記読了。コロナ罹患記が寒々しい。電話機が届いたので設置する。 5/15 『地球へのSF』献本くる。分厚いなあ。というか今回は「へ」が入るのか。透析のあった日は特に何もする気が起こらない。そういえばクリニックで院長先生が「ちょっとこれ誰がやった?」と言った瞬間スタッフが肉食獣が現れた時のレイヨウの群れみたいにピン!ってなったので「緊張するね」って近くの技師さんに言ったら「はい、上にはへつらい下には強く出る、そういう卑しい人間なんです私は」と答えてきて笑った。『Gメン』がピッコまで全話無料だったので読んだ。これまでの部分が一番盛り上がっていて、読んだ分は後始末というか終わるための話だった。そういうものか。 5/16 応募原稿を読む。一気に半分まで読んだ。まあまあ面白いのはチラホラ出てきた。男性しか出てこないハードSFがなかなか面白かったが、ここまで情緒を排するならいっそ登場人物が全部AIでも良かった。あと、SF的設定は粗いが文章が非常に巧みな連作とか。上に上げて良いと思うが、最終には残らないかな。 5/17  何もする気が起こらない日。解説再校ゲラ。大して問題はなかった。夜ラム肉を食べた。鬼滅の刃の特別編後半をみた。 5/18 朝から応募原稿を読む。昼から少し腹が痛くなり、夜は門仲「海の幸」なので無理しないようにしてたがやはりあまり食べられなかった。でもまあまあ美味しかったのでよしとする。夜、鬼滅柱稽古編一話見る。なるほどそういう感じかという。 5/19 昨日夜ずっと調子が悪かったが一晩寝てもほとんど回復せずゲラをどうにか終わらせてあとは漫画を読んでぐだぐだしていた。ヒナまつり面白い。来週はどうにかなるだろうか。  5/20 朝、弁当を作っていて空えずきして酷かった。食パンの代わりにコージーコーナーのシュークリームを食べる。クリニックで治療を受けどうにか回復。朝出すのを忘れていたゲラを出す。すぐに責了の返信。待たせていたね……。『裏世界ピクニック9』読了。空魚に感情移入しながら読んだ。なんというか他人に「私」への愛を語らせるあざといテクニック……。 5/21 応募原稿を読む。プロデビューしている人のどうしようもない感覚の古さ、書き込むのはそこじゃないだろうという「SF」への薄さ。カフカの手紙と並行しつつ日記を読む。結局私が好きなのはモダニズムから戦後の破綻を背負った実験的な作品たちなのだと思う。最近自分の読書が荒れているのでそこを読み直したい。そういえば借りてきていたフローベールの書簡集も読む。ずいぶん前にちょっとだけ読んだもので、知っていることを再確認している感じが強い。でもそれが必要な時期かも。 5/22 数日前から肩が痛く、湿布を貼っているので新しいのをクリニックで求めたら「クッションを敷くといいの」とか言って全然取り合ってくれな買った。酷。フーコー文学講義読了。ひさしぶりにフーコーの本をゆっくり読んだ。「文学」という近代の発明品、言語の限界体験と(いう)神秘主義の魅惑と、その賞味期限切れと。サド論が、というかそれに付随する訳者解説が非常に面白く、フーコーの真理論の展開に興味が湧く。特にこれまでいまいち乗れなかった性の歴史への関心がようやく強まったのでこれを機に読んでいきたい。人工知能についてふと書いたことがSNSで非常に受けたのだが途端に下らなく見える不思議。たぶんこういうところがダメなところなんだなとも思うが、あまり直そうとは思わない。人工知能が書評や解説を書いてくれるようになって仕事がなくなればそれはそれで結構なことじゃないかと思う。 5/23 歯医者。銀をかぶせて治療終了。これで全部終わった。あとは定期検診だけだそうだ。長かったねえ。応募原稿を読む。まあまあマシなのを最後に残してダメそうなのを先に読んだ。意外とそこそこの数が揃ってくるものなのだよないつも。失踪願望2読む。いろいろ準備して知への意志講義を読みはじめる。いや最初の部分は再読か。言語表現の秩序も読むべきか。ザイオン動物病院へ電話して往診日を決める。来週の火曜日。予算はいつもタクシーを使っていることを考えればまあそれほど。 5/24 バイトの先生だったので湿布をもらえた。よかった。夜、ダラダラしながら応募原稿を読んでいく。最後に来てなかなかのものが連続して出てきて全体の印象が大きく変わった。最近週末疲れていて喫緊の仕事以外ほぼ何もできないので困ったもんだと思う。 5/25 朝のうちにコンテストの点数づけを全て見直す。明日はコメントを書かねばならない。SF大賞&カーニバルの反省会があったがそんなわけもあって欠席する。他人と対面するのがどうも気が進まないのが本当の理由な気もするが、仕事が忙しいのも本当だからと言い訳する。昼に買い物、夜はアヒージョとピザを食べるが、油が胃にくるのか食が進まず。どうもよくない。『ゴジラ-1.0』を見た。ドラマ部分がジメジメしていてどうも面白くない。やはり戦中戦後の人間をやるには現在の日本人は栄養過多すぎるし綺麗すぎる。ある程度は致し方ないが、それこそCGや特殊メイクを使ったらいいのに。画面が小さいからか、VFXもさほど面白くなかった。海のシーンが多いのが新機軸なのか。なんとなく微妙な気分になったので、家人のリクエストで『シン・ゴジラ』も見たが、やはりこちらの方が笑えるのと素直な特撮愛が楽しめるような気がする。特に前半のテンポよく進む会議とゴジラの進撃がいい。自衛隊の総攻撃が失敗に終わってゴジラが眠ってアメリカ(国連)の介入があって、の部分はやはりだれる。まあこれは作劇上の計算かもしれないがこちらはそれほど熱心/親切な観客ではないのだった。 5/26 朝、団地の草むしりだったがコメント書きを優先して昼過ぎに一応終わらせるどうにかこうにか。体調は上向かず、ずっとダメなまま。なかなか本も読めないでいるが、やはりやらなくてはと『地球へのSF』を改めて読みはじめる。なぜこんなに分厚いのか。新人に書く場を与えるためかとか思ったり。金曜に紙魚の手帖の責了成るとメールが来ていた。次も考えなければなあ。 5/27 雨が降りそうでほとんど降らなかった日。『地球へのSF』を読む。まあどれもいわゆる「いい短編」ではある。高野史緒さんが若手の新進作家さんとイベントで話して、なぜ長編を書かないのかと問うと、プロットが通らない、掲載もしくは刊行予定がないのに(仕事になっていないのに)長編を書くモチベーションはどこからくるかと追い返されて「長編を描くモチベーションは長編を買いたいと思うことだよ!」と書かれていて感心する。我が身を振り返ってやはり「読んでくれる信頼する読み手がいる」という状況はモチベーションで、それがネットとかだとやはり短編にいきやすいのだろうと思ったり。もっとも私が今書けないのはやはり書評連載の負担が大きい部分はあるなあとかも思った。でもまあ、やらないと始まらないからねえ。 5/28 猫医者の往診。朝から部屋の片付けして午前10時予定だったが、予想通り迷って迷って15分ほど遅れて訪問。猫大パニックで結構大変だったが、触診は抜きで血液検査だけしてもらう。スウェットの中に猫を入れ、袖を縛った腕に頭、首から腕を出してのばし(これは私がやる)、先生に採血してもらう。痛いというよりも怖いらしく腕を引くので針が途中でぬけ、採取量が少なくなったので貧血などは調べられないそうだがその場で血糖は問題ない、腎臓・肝臓の数値はフルセットで調べられるとのこと。結果報告は明日LINEを使うんだと。いろいろ今後のことなども聞く。補液は末期というイメージがあったが、先生の猫は週一で四年半保ち、日にちが詰まってからは半年で亡くなったそうで、まだ軽いうちにはじめたほうがいい場合もあるらしい。ちなみに注射は指導を受けて飼い主がするとか。それだと調子の悪い時に夜中でもできるとかとか。昼からは『地球へのSF』を読む。夜、オイシックスのトムヤンスープを食べたが、圧倒的に量が足りなかった。 5/29 多分昨日の夕食の物足りなさで調子が悪い朝だった。昼の弁当を多めに食べたら少し上向き。図書館で福武文庫のラテンアメリカアンソロが処分本で出ていてついもらってきてしまった。「別荘」というタイトルの短編を最初のシチュエーションだけ(もちろんドノソがらみで)思いつく。果たして書くのか。ザイオンからLINEで検査結果が届く。肝機能に少し問題が出てきているが(それは前回も言われた)現状維持らしい。元気そうな見た目はわりとその通りだったようで一安心。 5/30 雨のせいなのか気圧か、朝からずっと調子が悪い。しかしどうにか『地球へのSF』を読了。まあまあ打率の高いアンソロだと思う。テーマがデカすぎてちょっとどういう風に書評するか考えねばならない感じだが。夜は鍋にしてみる。結局調子は上向かず、早々に寝る。 6/1 書評書きあぐねる。夜、『鬼滅の刃』観る。まだ準備段階な感じ。NHKドラマの岸辺露伴観る。ひさしぶりだからかなかなか面白かった。Mr.Booがアマプラにあったので見てみたがあまり面白くなかった。まあ当時小学生だからなあ。あと広川太一郎の吹き替えがすごかったのかもとか思った。早めに寝る。 6/2 書評の準備で奇想天外をザッピング。石川喬司と山野浩一の対談、伊藤紀夫と川又千秋と鏡明によるシンポジウムでの「SFと批評」のシリーズ(2回目のゲストが中島梓、3回目が小松左京)が非常に面白かった。SFにおける批評の不足を嘆くものだが、いまや批評自体がほとんど求められていないことを思えばまだしも牧歌的というかな気もするが、むしろまったく状況が変わっておらず、またもしSF作品の批評というのがジャンルとして成立するのであれば、「何がSFか」を少なくとも批評家と、その批評を受容する読者共同体が決定していなくてはならないだろうということは確かで、しかし「何がSFか」を宙吊りにしたままで進んできた日本SFに、そのようなSF批評の軸が不在であり、故に単なるSFというジャンルに属する作品の批評、もしくは評判はあり得ても、SF批評が存在し得ないのは、自明の理であるように思える。中島梓の電子版全集文芸評論編を買う。目的は『道化師と神』。評論の単著企画『SFは実験する』を構想する。一年くらいかけて書いて評論はそこで打ち止めでもいいか。やりたいことはいろいろありどうも今は無駄に忙しすぎる気がする。 6/3 『道化師と神」読了。これを15歳のときに読んだんだよなあといろいろ思い返す。今となってはこの当時としても相当時代錯誤な感じの大袈裟な身振りの中から、使えるものを拾わなくてはならない。しかしいまやSFは幻想的リアリズムの別名となりつつある。リアリズムを支えるのが唯物論(もしくは唯名論)であるのだけが「S」の謂だろう。明日は書評を書いてしまわなくてはならない。 6/4 書評書き上げる。土日に書いた分は全部破棄。熱を込めて書いたのだが、その分書評にはうまく嵌らないというのはまあ予想はできた。そのうちどこかで、とはしかし慰めとしての終末SFという観念についても思ったような気がする。機会というのは多少強引にでも作らなければあまり回ってはこないものだ。『はじめてのゾンビ生活』と『わたしは孤独な星のように』をKindleで購入。来週までに読み、書評のリストを作らなくては。椎名誠『続失踪願望』読了。なんというか老いたなと。読みながら、若い頃、森川のこと、女性のことなどを思い出す。本人が大仰なわりに「性的」な話はぜんぜん陳腐で笑ってしまった。たぶん「性」というものが文芸の主題としてはほとんど陳腐化しているのだと思う。まあこれは個人的な関心の問題かもしれないが。 6/5 猫の誕生日。16歳だ。ケーキを買ってくる。ゾンビ読む。これはなかなか穿っていて形式以上に面白いように思う。不妊SFの系譜ってあるよなあと。書評を修正する。難しい。22編全部触れるスタイルにするべきだったかもしれない。そういえば数日前に見た夢。周囲に繁茂する枝しか見えない巨大な樹木を登っている。樹木が絡みついている巨大な社みたいなのにたどり着いて中に入れるかと思ったら虚になっていてしばらく身体を休めながらこれはどこにも行けないのでいっそ降りるかなあと思いながら覗き込むとずーっとずーっと下の方に地面がチラチラ見えた。どうもSFの仕事に行き詰まっている心象がストレートに反映しているようで不気味だった。 6/6 しつこく朝修正して10時過ぎに書評原稿を送付する。ああ、ブログ書かないとと思い出した。本も読まなくては行けないしな。溜まっている献本をかたづけていく。「これは」というものはない。『進撃の巨人』のアニメを見る。子供辺が過ぎたら結構面白くなってい。池澤春菜さんの短編集は女子!すぎてノット・フォー・ミーな感じがすごい。SFMゲラがすごく戻ってきた。ぜんぜん校正の跡がなく、大丈夫なのでしょうかと思ったり。「編」と「篇」を間違うねえ。 6/7 『ゾンビ』終わりに差し掛かってこれはやはりなかなか良い。夜、『ファブル2』を見た。無駄がない作りで特にアクション場面が良かったが、役者の演技はやっぱりちょっと漫画っぽかったり下手だったりして引く。 6/8 『ゾンビ』読了。きれいにまとまっている。モザイクノベルのある意味新しい使い方だと思った。門仲で飯だったが、早い時間で家人が検診前で酒を(あまり)飲めないので店に迷い、磯丸水産で妥協したらそう不味くはなかったがちょっと腹が痛くなってしまった。夜はパンを食べる。 6/9 早朝、腹が痛くて起き、嘔吐。ずっと体調が悪く、朝飯はおかゆを作った。『特権的肉体論』読了。やはりあまり面白くはない。人間精神の闇、怪奇なものに対する興味を失っている。ずっと調子が悪いまま日が終わる。 6/10 書評問い合わせ。「刀自」が通じなくて驚く。というかやっぱりプロの校正使ってないんだなと。何度かやりとりして責了(?)。ひさしぶりに近況も書く。肩書は文筆業。小説も評論もあんまり書いてないからなあ。 6/11 歯医者の定期検診。歯磨きがぜんぜんなってないと怒られ、ほらここ虫歯になってるというのでまた治療の旅が始まるよーしくしく。新しい歯ブラシ(小さくて隅っこが重点的に磨けるやつ)も買った(買わされた)。明日はとだなのでOKで買い物しておく。『わたしは孤独な星のように』読了。悪くはないが好みと外れるというか、ぶっちゃけブルジョワだなあという感想が浮かんでしまう。特に表題作などを読むと少し寒々とする。これはむしろ私が変なのかもしれないが。GENESISの書評ラインナップ案を送る。『街とその不確かな壁』を読み始めたが、どうも読み進める気にならず放棄。夜、ラインナップ確認と作品ファイルのメールが届くがダウンロードはせず。 6/12 図書館で返して借りる。とだで薬もらう。行き帰りで『本の背骨』を半分読む。ほぼ既読なので乗ってくれば早い。帰宅して作品のダウンロード。ラインナップを決める。 6/13 何故か『進撃の巨人』をダラダラ見てしまう。『本の背骨』ほぼ読了。まあ初読の印象通り。少女損壊残酷譚とでもいえばいいか。残酷というよりも冷酷という方があっているような気もするが。夜、漫画を読んでしまった。 6/14 篦棒に暑くなってきた。梅雨前なんだが。『銀河』読み始める。記憶鮮明。夜、ダラダラ『進撃の巨人』を見る。 6/15 買い物。いろいろ読み進める。夜、『スパイの妻』見る。意外なくらいオーソドックスに陰謀活劇をやっていて普通に見られた。戦中期のいろいろな映画の記憶を喚起される部分が多く、そこはいかにも黒沢ではあった。蒼井優の演技が見事で、こういう映画を黒沢が作るようになったかという感慨は深い。『蛇の道』リメイクはどういうものになるのだろう。インタビューで、予算が少ないのでカット数を少なくして効率的に撮影するという話をしていたのからついいろいろ内幕を想像して見てしまう。なるほど彼らはこうやって映画を見ているのかという発見もあった。 6/16 原稿の準備。日曜日はわりとだるい。家人がアフタヌーンティーのあれこれを買ったりして入りいろ作ってくれたので楽な一日になったりもした。禁酒しているので体重の増えが少ない。 6/17 行き帰りでほぼ『銀河』読了。まだ書き下ろしがきていないが、このままだといかにも受賞作だけが浮いているように見えるのだが大丈夫かボーナストラック的な感じか。足りないものをいろいろ回って買う。円城塔の短編集はこれもまた結構きっちり覚えている。「ローラのオリジナル」はそういや掲載誌は持ってるが未読だった。まあしかし取り上げるのはたぶん原稿では最後なのであまり急がない。 6/18 雨。梅雨にしては大降り。気温が下がって過ごしやすいのは良い。原稿を書こうと思うが、ほぼ進まず。代わりと言ってはなんだが、対象となる本を読む。いろいろなことが思い浮かぶ。『SFは実験する』よりも、ただの「作家論ノート」の方が汎用性が高いかもしれない。というか、一冊をまとめるコンセプトとしてやや弱い。ともかく書いていくことができるようにしなくては。小説について考えることも必要だが、ともかく先に評論を。 6/19 快晴。思ったよりも湿気がなく気持ちがいい一日だった。円城塔を読む。やはりものすごく面白い。生き物が出てくる話が多いよなと気づいて、次の円城塔論の構想がパッと浮かぶ。いいかもしれない。夜、ふと気づいてアベマテレビでユーロのダイジェストをパラパラ見る。いろいろメンバーが入れ替わっていて世代交代なんだなと思うが、CR7とモドリッチは息が長いなあ。とはいえ、やはりちょっと辛そうではある。 6/20 朝から湿気が多い。しかしまあ晴れたので洗濯。ゆっくりと仕事始める。半分ほど書いた。本数では3冊。あと2日の計算か。まあどうなるかはわからないが。原田義人『反神話の季節』を古本で購入し読む。戦後ドイツ文学論考。まずは表現主義。ナチス以後の断絶から戦前・戦中との連続性の確認という問題意識の提起。 6/21 昨日の夜に書き下ろし文のゲラが来ていたのに気づき、慌ててダウンロードしてクリニックへの行き帰りで読む。なるほどそうきたか的な。やはりこの並びで収録したのは無理があるような気がするが、寡作なので仕方がないのだろう。もっとも、80年代くらいのSF短編集ではこういうのも良くあった。堀晃さんとかそうだった。宮西建礼さんはそういう部分でも堀さんっぽくいくのか。まあ、兼業作家タイプのスタイルではある。円城塔を読んでいく。とにかくややこしいので読むだけでも時間がかかる。帰途、検査で休みだった家人と有明ガーデンで待ち合わせキリンプラザでビールを飲む。酒が入ったので夜はダラダラ。 6/22 コパアメリカを見て、朝から原稿。あと2頁だが、扱う作品を一つ減らそうかと迷う。ちょっと忙しすぎるような。まあまあ書きながらね。夕方、門仲のインド料理やでビリアニとカレー食う。いまいちだった。しかし量は馬鹿みたいに多いのでナンを包んでもらって帰宅してもあまり食べられなかった。夜、黒沢の『散歩する侵略者』見る。60~70年代の日本のSFっぽい怪奇映画を思わせるシーンがどんどん出てきて展開が早いのですごく面白かったが、ラストが「愛は地球を救う(ただし主人公は除く)」みたいになっていて意外だった。トビー・フーバーとか、黒沢的なエンタメの粋を集めたような作りではあるこのの、やはりラストはちょっとどうかというか人類が滅亡しかかった地球をもっと見せて欲しかった。 6/23 円城塔を読む。ナボコフをちょっと読む。もちろんローラのオリジナル(こういう作品だったか)。漫画を読む。『もやしもん』面白いじゃないか。 6/24 『ムーンシャイン』読了。なるほど作家としての移り変わりが一望できる短編集になっている。というか「ローラのオリジナル」読みやすすぎる。いい小説を読むと何か書きたくなる。ゲラ次第だが、この原稿が上がれば少し余裕ができるかなあ。 6/25 SFMが来ていた。自分の原稿と他の書評欄とコラムをざっと読む。ナボコフを読む。ゲラが来るが、全然赤が入っていなくて思わず確認のメール書いたらすぐ返信が来て外部校正に出すのは再校の時とのこと。予算の問題か日程の問題か。充実した内容とか書いてくれてるけど本当か? まあ金は荒巻先生が出すし投げたか……。昼過ぎに原稿を書き上げる。とりあえず一旦寝かせる。『進撃の巨人』とか見てだらだらした。フライパンが届く。深いタイプで、家人が取手付きのが欲しいといって買ったのだが多分重くて使えない。まあ私は平気だからいいけども。 6/26 読むものを持たずにクリニックに行ったためずっとネットばかり見ててバカになる。まあなあ。帰宅して柞刈湯葉の新刊を電書で買うつもり。出先で買っても良かったが面倒なので。(結局この日には買わなかった)土曜日に映画を見にいく予定が立てられる。おおそうか。梅雨に入ったはずだが全然雨が降らないな。 6/27 今日もわりと晴れている。洗濯。原稿を仕上げる。送付。あとは脱力して『進撃の巨人』を見ていた。夜、コパアメリカを見る。交代で入ったラウタロが決めてめちゃ盛り上がった。メッシがケガっぽくて心配。GL通過は決めたので次は休んでほしい。 6/28 『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』購入し読み始める。タイトルがあれだが、最初からなかなか面白い。オカルトとSFは親和性が高いなあ。夜、コパブラジル戦を見る。ダメな感じ。 6/29 有楽町で映画。まずチケットを取りに行ったらい意外に席が埋まっていて、そんなヒットしてるの?と思ったら上映後に黒沢清の出演するトークショーがある回だった。サイン会もあるそうでパンフレットを買う。時間潰しがてら交通会館で昼飯。喫茶店のカレー。本屋で百年の孤独の文庫版を見かけ、筒井康隆の解説を読むが、これまで何度か読んだエピソードの繰り返しだった。まあそういうものか。『蛇の道』を見る。眼鏡を忘れたので細かい部分が見えなかったが、まあ、黒沢はあまり細部を見せる方ではないのでそれほど困らなかった。リメイクなのでほぼ物語は知っている(変わっている部分も多かったけど)のだが、フランスの風景がわりと黒沢の空き地で遊んでいる感じにうまくフィットしているのが良かった。特に自転車がいい。柴咲コウが思ったよりもぜんぜん良くて、動きも早いし物体の重さが硬さを感じさせる演技や、目つきの鋭さに見入ってしまった(よく見えてないんだが)。二番目の男を別荘から運び出すときの長距離の移動がすごかった。思わず笑った。終盤銃撃戦からのラストは今回はどう見ても唐突感があって、旧作の記憶に引っ張られたが、今回付け足しになっている本当のラストが迫力があって良かった。柴咲コウに拮抗するのがほとんど通りすがりの西島秀俊だけなのも、ちょっと面白いかもしれない。フランス人俳優たちのおかげで普通の映画になっているのは、黒沢映画のファンにはたぶん物足りないのだが、これはこれで違和感があっていいかもしれないとかも思った。多分もう一度眼鏡有りで見る。トークショーは相手役が篠崎誠で、非常に和やかに勘所を押さえた質問と返し。黒沢の発言はいつものとおり現場の工夫と普通の常識。サインしてもらう時、何か言おうと思ったら緊張でありがとうございますとしか言えず。夜は居酒屋で軽く食べ、それだけでお腹が痛くなり早めに帰宅。やはりしばらくはイベントとか無理だなと。夜、『予兆 散歩する侵略者』見る。ドラマの方が面白かったように思う。鬼滅はようやく修行が終わりそう。でも放送はこのまま続くのだろうか。 6/30 朝、コパアルゼンチン×ペルー見た。メッシ他を休ませている試合で、まあ正直緩めだったがラウタロが活躍して勝利なので良かった。結局一日休息した。 7/1 今年も半年が終わった。とにかく仕事が続いた半年間だったが、ほとんどが東京創元社の仕事で、これはもう危険信号だといえよう。しかしまあ、やりたいことを気にせずできるということでもあるかもしれない。 『蛇の道』を見たので、ひさかたぶりに『フォビア』を読み直してみたが、くどくてくどくてくどい文章で、これはそりゃ一次に残らないわと笑った。しかも自分では好きなのだからどうしようもない。ある意味スッキリする。ゲラをやらなくてはならないが、技術的にちょっと迷う。コピーして書き込んでスキャンがいいのか。直接書くのはちょっと難しそう。ペンはもう使えないよなあ。大体字が下手すぎるんだよ。 7/2 歯医者。新しい医者は若い男性だが巧い人だったみたいですごく早く終わった。しかし12時半だったので疲れ気味で、イオンで買い物して帰り、『モンティエロ 終末の町で』をたらたら読んだ。ネットでヴァージニア・ウルフの話題を読んで連作小説のネタを思いつく。さて書けるものか書くものか。アニメ『進撃の巨人』を最後まで見た。テレビ版最終回前後編を15話くらいに書きなおしているのにちょっと驚くが、というかテレビ版の方がひどいのか。 7/3 ウルフを借りてくる。『幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする』に出てくる「おあめは人の気持ちがわからないやつだよな」と言われて幼なじみと交際が途絶えるエピソードが身につまされる。私がよく言われたのが、「あなたは他人に興味がない」だったが、実のところ他人というか個々の人間には興味はむしろ尽きないほどあるのだが他人が自分をどう思っているのかにほとんど興味がないというのが本当で、それが無関心に見えたりしてなぜか相手を怒らせることがあるのだということで、近頃はとくにそれを意識するようにしているのでなんか本当に面倒くさい気分を醸しているのだと反省したりする。俺は馬鹿だから反省しないというのは確か小林秀雄の持ちネタだったがそういう居直りは自分が賢いと思ってないとできないよねえみたいな。 7/4 同人誌の依頼が来る。女性SF20をリストアップして、そのうちのいくつかを紹介するという原稿依頼。承諾する。新人賞や星雲賞などのリストを見ながらざっとリストアップしてみたが、というか女性作家自体主だったところで30人もいないんじゃないかとSF界の男女比の偏りを実感する。ファンタジーを含めれば少女小説系にたくさんいるんだけどもまあ一応ね。全泡無料で『なまいきざかり』を読了。途中からめっちゃ性交しててそれはまあそういうものかと思うんだけどやっぱりちょっと驚く。最後結婚で終わるのは大成功した連載恋愛漫画の証みたいなものですね。しかし今日は一日家にいたが暑くてエアコンをずっと稼働させていた。ヤバい。 7/5 とにかく暑い。クリニックでおじいさんがエアコンの入っていない部屋に放置していた麦茶を飲んで具合が悪いと言って何度も吐いていた。申し訳ないが笑いそうになる。それはあかんやろうという。つばさの党の選挙カーが「へいへいへいへい」とラップを刻みながら小池百合子の悪口を言っていてなんだか唖然とした。世の中ひどい有様だなあとか思わないでもない。藤本泉を読む。懐かしい感じのウェットな文章。 7/6 豊洲で選挙と食事と買い物。藤本泉を読む。あまりに暑いのでもういいだろうと夜はビールを飲む。鬼滅の刃の今シーズン最終回を見た。映画三部作で終わりらしい。いや三部作って。『ファーゴ』を見た。ほとんど覚えていたのでやはりいい映画なんだろうと思う。 7/7 ブックオフに売る本の整理。同人誌のリストをメールする。都知事選は石丸が2位につけていて、若者票がダントツに多く、まあ未来は君らの手の中ではあるよなと。ちなみに私が投票した二候補はどちらも敗北。まあ自分だって消去法で選んでいるので、それはもうしょうがないとしか。なんだか疲れる週末だったのだがそれはきっと暑さのせい。 7/8 いやいや暑い。何もする気が起こらない。そろそろやらねければならないことが増えてきている。 7/9 ブログを久々に書く、ついでにいろいろ献本を読む。特にどうこうはない。保健局へ特養の書類提出。買い物して帰る。曇りでやや暑さが緩んだものの汗だくには変わりがない。 7/10 クリニックからの帰りにとだのよって薬をもらう。朝クリニックで「いるのがわからなかった」と言われて開始が遅れたり、止血がなかなかうまく行かず帰りは遅れたり、バスに乗れなかったり間違えて違うバス停で降りたりなんだか疲れた一日だった。 7/11 ゲラをやる。紙に書き込んでスキャンしようと思ったらプリンタがパソコンにOSが古くて非対応でつながらず、アクロバットをダウンロードして書き込みの機能を使って赤入れ。なんだか疲れて半分で休憩。まあ、紙では終わっているので書き(?)写すだけなんだけども。『神のためにまとうヴェール』読んでいる。大変面白い。やはりこれは『精霊』の参考文献にするにはちょっと大きすぎるというか、著者が意識していたか怪しい。しかしこれで短いエッセイは書けるかもしれない。 7/12 帰宅してメールチェックしても創元からゲラが来ておらず、おかしいなと思ってゴミ箱のチェックしたら火曜日にきていた。慌てて内容を確認するとすぐに返すのは無理で来週まで待ってとメールしたらOKで安心した。いやー怖い怖い。これでゲラがふた