唐突に、誰かの自己陶酔的なエゴイズムの一部にされるのが堪らなく苦痛だ。誰だってそうだ。考えなくてもわかる。見ず知らずの誰かを、通りすがりの彼らを、生産的行為だと思い込んでいるにすぎない陳腐な収集欲のフレームに納めて、勝手に美化し、勝手に愛でて、ありふれた日常というレッテルで匿名化してしまえる無邪気さを、僕は卑劣だと思う。選択肢を与えないのは奪っている事と同じだ。虫取りと変わらない。
根拠のない全能感で走り出す時、考えもしない事が恐ろしい。振り返りもしなかった冒険が踏みにじった、誰かの尊厳を取り戻せないことが恐ろしい。身勝手な好奇心と、他人を自分と同化させる事で得た快感と罪悪感が、いつまで経っても消えない。
だから今も、誰も見てないのにずっと揺れている。
了