茶のない生活を思い出せない

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この記事は おたそ~Advent Calendar 2024 3日目の記事です。

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はじめに

 この記事ではお茶とともに過ごした今年を振り返ろうと思う。でも有益なことはほぼ書かない。お茶に関する情報がほしいなら、お茶すきーというMisskeyサーバーにいい感じのページを作ったのでそちらを参照のこと。

 予算3,000円ではじめる嗜好品としてのお茶……という切り口で紅茶と烏龍茶のオススメを紹介している。

 予算3,000円とはいうが、烏龍茶は送料込みで2,000円弱、紅茶はいいやつ選ぶと3,000円になるが数を減らせばそちらも2,000円ちょいに抑えられるし、今なら福袋買ってもいいかも。その話ちょっと最後にしましょうか。閑話休題。

駆け出し期・漫然と紅茶を飲んだ

 茶のない生活を思い出せない。それまで何を飲んで生きてきたのか、空いた時間に何をしていたのか、気分転換がなんだったのか思い出せない。

 数年前に、知り合いを通じて紅茶を飲むようになった。その人はゲームを作っていて、私はそれのファンで、なぜか同じ卓で鍋をつつくことになったときにオススメを聞いて、それだけを飲んでいた。

 フォートナムアンドメイソンのアッサムTGFOPだ。

 もちろんTGFOPが何を示すかはわからなかったが、1,000円のティーポットを買って、それを飲み続けた。

 半年せずになくなった。コロナ禍中で、125gだったから。通常ティーカップ1杯に2.5g程度の茶葉を使用するが、私は面倒なので毎回600ml/10gを使っていた。

 それで次は別の味も試そうと、ダージリンやセイロンも買ったが、結局アッサムが一番好きだった。なるほど、これは雛鳥が刷り込まれるやつなのか、アッサムが初心者ホイホイなのか。

 しかし常飲するには微妙に高いんだ、フォートナムアンドメイソンってやつは。125gで4500円とか。だから安いものを買った。クイーンアンという名前で、250gで同じ値段。実質半額だ。

 アッサムとセイロンとのブレンドなのだが、すごく塩梅がいい。ぶっちゃけこれまでどの紅茶が美味しいかなんてわからずに飲み続けてきたが、このあたりでようやくどんなお茶がどのように美味しいかわかりはじめた。アッサムTGFOPとクイーンアンは結構風味が似ているんだが、ある日その味わいの違いがわかったんだ。クイーンアンは少しスッキリしすぎている。アッサムは上品に香るし、コクも味わいもまったり奥深く続く。

 話が長くなった。つまり、私の舌は2年くらいかけてフォートナムアンドメイソンで育てられた。

 それで、今年の1月ごろに例の人が新作を出した。めっちゃ良かった。なので聖地巡礼的な意味合いで、ゲーム内に出てきた紅茶を手に入る限り全て集め、飲もうとした。

 そんで3月。2024年3月。私を沼に突き落とした紅茶に出会う。ニルギリだ。

脱初心者期・紅茶が美味すぎる

 その紅茶は「ニルギリのカイラベッタ農園」という名前だけでゲームに出てきていた。欲しいと思ってから一番すぐに手に入ったのが冬摘みの商品だった。この頃はクオリティシーズンといった概念も持っておらず、それがニルギリ紅茶の中で一番美味しい時期の紅茶であるとは知らなかった。

 店頭で試飲したニルギリは、私の紅茶の常識をひっくり返した。なんだこの紅茶は!

 今まで飲んできた紅茶となにもかもが違った。そもそも茶液の色がぜんぜん違うし、香りも味わいも全く知らない紅茶があった。

 人前だというのに完全に打ちのめされた。このニルギリで知ったのだ、紅茶の自由さを、茶の世界の広さを!

 それからしばらくはいろいろ試した。英国展があれば足を伸ばし、オススメの紅茶があると聞けばおためしセットを注文し……おかげで和紅茶以外の幅広い紅茶の知識が頭に入ったと思う。

 

 それで、そのゲームに出てきた紅茶というのが半分くらいはフレーバーティーだった。だから必然的に、この時期は様々なフレーバーティーを飲んでいた。

 茶自体と調和する香りの紅茶も、芸術作品のような完成度の紅茶も、ミルクティーにしないと飲めないような紅茶も、いろんな紅茶に出会った。

 私の好みに限った話になるが、以下がそのまとめだ。もし気になるフレーバーがあれば試してもいい。

 フレーバーティーにどハマりしていた頃は、ノンフレーバーティーのシーズンごとの味わいなんて、1年分覚えてしまえば、あとは毎年それを繰り返すだけだから、いずれ飽きると思っていた。人の手で加工されるフレーバーティーの方が幅広く、深追いするならこちらの方が建設的だと思っていた。

 でも今は違う。

 きっかけはなんだったかな。出会ったんですよ、台湾烏龍茶に。

精進期・紅茶以外の茶も美味い

 紅茶以外の茶を飲むつもりなんてなかった。でもオススメされたから試しに買ってみた。

 衝撃。一口飲んだだけでわかる、香りと味との調和。しかもそれが多段構造になっていて、飲み込んだ後の口の中の香りに移ろいがある。

 この衝撃は私だけではない。私に紅茶を教えたあの人にすら致命的な衝撃を与え、お茶会の後に5桁円の購入明細が送られてきた。やりすぎだよ。わかるけども。

 

 なるほど。思えば私は渋さを愛していないことに気がついた。ダージリンのファーストフラッシュに感激し、ニルギリやカングラを好み、アッサムはミルクティー、ルフナはロイヤルミルクティーにしてばかりだった。

 そうか。茶は、茶だけで美味いんだ。そのことに気づいたのが8月末。そして様々な中国茶に手をつけて世界の広さを思い知ったのが9月。

 それから私はほとんどフレーバーティーを飲んでいない。お茶そのものの香りが多種多様なのだから、まだ人の工夫になんて手を出している暇がない。もっともっと美味しいお茶が飲みたい。

現在、続精進期・中国茶が美味すぎる

 じゃあ美味しいお茶とはなにか。台湾の高山茶と、中国の岩茶だ。

 これは台湾高山茶。凍頂烏龍茶のようなもので、高山茶は標高2,000m以上で育ったお茶のこと。焙煎も発酵もほとんどさせないものが流行っている(清香と呼ぶ)らしく、スッキリ緑茶好きならハマりますよ。

 岩茶とは、特定区域で育ったお茶のこと。ド根性大根のように、岩に生えたチャノキから採取されていたらしい(今は違うっぽい?)。もっぱら今はこれを勉強中。

 烏龍茶と出会ってから、世界が変わった。

 まず、茶の評価の尺度が増えた。紅茶の世界は渋さをありがたがるが、中国茶の世界では渋さを嫌う。徹底的に渋さの出づらい抽出方法をする。

 簡単に言えば、紅茶は3g/150mlで3分だが、中国茶は5g/110mlで10秒だ。紅茶は1回ですべてのお茶の成分を抽出しようとするが、中国茶は繰り返し抽出することで香りや味わいの変化をも楽しむ。

 どのように茶の成分を抽出し、味わおうとするか、という話だ。茶葉ごとに適した方法がある。ダージリンのファーストフラッシュを中国茶の飲み方で試したら明確に"ハズレ"の味になって笑った。意外と茶は素直だ。

 そしてなにより、フレーバーティーを飲む機会が極端に減った。よさはわかるが、フレーバーティーには欠点がひとつある。それは、茶葉自体のクオリティが蔑ろにされがちなことだ。

 茶を楽しむというより、香りを楽しむのであればフレーバーティーは良い。わかりやすいから。茶の良さなんかよりずっっっっとわかりやすい。ただ……茶の味わいが蔑ろにされたフレーバーティーは、なんというか物足りないことが多くて。

 たとえばルピシアの白桃烏龍茶、アレはわかりやすい。

 うまい。うまかったはずなんだ。でも今飲んでも物足りないんだ。そもそもこんなに強い香りをつける必要なんてないだろう……みたいなことばかり考えてしまう。

 

 もちろん美味しいものもある。マリアージュフレール、フォートナムアンドメイソン 、デンメアティーハウスのように、茶も香りもよく、調和が取れているものもある。あるのだが……なかなか飲まない。週一あるかないかくらいだ。

 ともかく、今はノンフレーバーのシングルオリジンに狂っている。いずれ、ノンフレーバーのブレンドやフレーバーティーに狂う日も来るだろう。

 あれからはずっと岩茶と台湾烏龍茶を、たまに気が向いたら紅茶や白茶を飲んでいる。最近は緑茶にも手を出している……けど、ちょっと緑茶は難しいね。まだよくわかってない。

 日本茶のほうがリーチしやすいしやすいし、そっちから攻めるべきなのかなぁ。中国の緑茶って高いの多いんだよねぇ。

 そう、今年はけっこ~~~~~お金使っちゃった。後悔はしてないんだけど、それにしてもやりすぎた。

今年、お茶に費やしたお金――プライスレス。

 思い出せる限りで30万円。たぶん通販で買った分の茶葉や英国菓子等のお茶請けを含めるとハーフミリオンに達するか達さないか。まぁまぁな金額をお茶に費やした。

 茶葉やお茶請けに費やした金額はぶっちゃけ覚えていないんだけど、少なくとも茶器には10万円弱の金をかけてしまったのがわかる。

 紅茶の茶器は安上がりだった。ハリオの1,000円ポットが優秀だから。たぶんもろもろ含めても5,000円で収まるだろう。

 が、中国茶の茶器が高くついた。でもまだ満足はしていない。沼だ。でも必要なんだ。

 烏龍茶はとにかく温度が命。密度の高い(保温性の高い)急須を使って、外からも熱湯をかけて温度を上げるなどをやるのだけど……。

 急須ね。茶壺というのだけど、これが高くて。周辺のものは安くあげられるけど、茶壺だけはどうしても品質にこだわる必要がある。変なものは変な素材で作られているせいでお茶に香りが移っちゃうから。だから鑑定書とかついてくるんだよね、ちゃんとした茶壺。

 そのぶん価格は青天井。なぜなら、芸術品としての価値が見出され始めたのと、良いとされている陶器用の泥が枯渇し始めたから。

 だから購入数は最低限に絞らないといけない。……いけないのだが、なんかすでに手元に2つある。水平壺と漢瓦壺(これは形の話ね)。いやどちらにも使い道があって、水平壺は口が狭いから岩茶とか入れづらくて、でも台湾烏龍茶が美味しく入るんで……。2個で6万円。で、茶盤とか蓋碗とか買ってって、8万円くらいかな。

 で、残りはぜーんぶ茶葉です。英国展とChaTeaのお菓子でさらに10万円くらい使ってるけど忘れよう。

 

 いや、違うのよ。頭抜けた高級品ばかりを買っていたわけじゃない。お茶の初心者税というか……知識欲というか……各産地の美味しいとされる紅茶を一通り飲んでみる、台湾烏龍茶を個人輸入する、人件費の塊である岩茶を鞄いっぱいに買う、みたいなことをしていたら、本当にいつの間にか。

 もう大体わかったから来年はこんな酷いことにならないと思う。

 知識が私を助ける。私の好きな茶葉は、ダージリンのファーストとセカンド、アッサムのセカンド、ニルギリの冬摘み、カングラ、ルフナ……あと高山茶と岩茶。高山茶は青心烏龍種であれば産地にはあまりこだわらないけど、梨山や大禹嶺あたりのが一番好き。阿里山も旨味たっぷりでいいよね。岩茶は勉強中だけど水仙のほうが好きかも。香りは白瑞香がナンバーワン。

 んー、買う茶葉絞ってもなんか全然安く済む感じしないな。大丈夫かな。

 茶葉は増えるもんです。今のストックですら洗濯カゴ3つ分くらいある。スペースを作るのが大変だった。

 その経験から言えば、やっぱりフレーバーティーは減らない。すごい好きなフレーバーティーですら減らない。香りがついていると常飲しづらい。

 具体的には、マリフレのアールグレイインペリアル、テドゥルヌなんかは買って半年経ったけど半分は残ってる。これはフレーバーティーランキングTOP5に入るくらい好きなのにも関わらず、だ。

 んがーーーどうしようねこれ。福袋で同じ目に遭うのがわかってるのに買うのをやめる気にならない。いいでしょ、ノンフレーバーならどうせ飲むんだから!

 そうだ、福袋の話。

お茶福袋オススメ

 私目線のオススメ……つまり、ちょっと高くても良いお茶が、それもフレーバーがついてない茶葉そのものがいいお茶の福袋をピックアップする。

 ルピシアの福袋はやめておこう。オトクなんだけど、多すぎるから! 常飲するにしても多いし……新茶の季節までになくならないと、その年の新茶飲めなくなっちゃうから。オトクすぎるのも困りものですね。

 で、ちょうどいい紅茶福袋がまさに今受付中の** Gclefの紅茶福袋! ** ここの紅茶は美味しい。インド・スリランカ(セイロン)紅茶のシーズナルのものを入れてくれる。この店の買い付ける茶葉はま~~~外しません。何入ってても美味しいだろうから安心していいです。

 最低価格が6,480円となかなかだけど、倍額分の内容は保証されているし、10グラム400円~1,000円みたいな高級紅茶に手を出すにはいい機会だと思いませんか? 何が入ってるかはわかりませんけど、今年のGclefさんで買ったインド紅茶は美味しかったですよ。セイロンはルフナくらいしか買ってないけどそれも良かった。

 中国茶福袋がナンバーワン人気らしいけど、わからなくはない。なかなか買える場所もないですからね。

 中国茶って入れる難易度が紅茶より高いので、ポテンシャルを引き出すのがちょいムズなんですよね。それを承知の上でならオトクなのは間違いないです。雲南毛峰の紅茶とかこの味をこの価格で!? って思ったもんね。 ただ、中国茶福袋には紅茶以外も入ってくるから……それは承知の上で。

 で、中国茶福袋のオススメは** 小梅茶荘さん **。こっちはまだ受付開始してないのでブログだけ貼っておきますね。トップ記事のタイトルがサムすぎて笑っちゃった。

 小梅茶荘さんはお安く美味しい岩茶・各種餅茶を提供してくれるのでほんっと~~~~~にお世話になっています。岩茶に限らず白茶も普洱茶もここで勉強してるようなもんです。どれも美味しいし、なによりお値段手頃で超良心的。日々飲むお茶は福袋で調達しちゃお~と思っています。

 小分けにされた様々なお茶が入っているのが通年の習わしなので、初めて中国茶飲んでみる~みたいな人は手を出しやすいとおもいます。たぶん6,000円。私は2個買う。それにプラスで小梅、日本橋、白瑞香とかお気に入りの岩茶も買っちゃおうかな。

 もいっこ、嗜好品としてのハイグレードな岩茶もほしいので、皇御茗茶葉さんにもお世話になろうと思っています。こっちは岩茶中心&結構お高め10,000円だからお試しで買うにはちょっとオススメしづらいんだけど、ここは……モノがいいから…………!

 今年も福袋あるかどうかわからないんだけど、自分で選ぶの難しいし、向こうがセット商品にしてくれるなら買いやすいから福袋っていいですよね。

じゃあいつの間にかすごい文字数。こんなに話すつもりなかったのに!

 お茶に手を出してみたい人、お茶を誰かに贈りたい人はぜひ声をかけてください。予算をふまえて一緒に考えましょう。

 そう、贈り物にいいですよ。親世代にでも、祖父母世代にも、上司や友人にも。消え物だから渡しやすいし、上品なイメージがあるし、お茶の美味しいのって明確にわかる美味しさだから!

 

 

 

 それでは、お琴かゲートボールでもはじめたら? と冗談めかして言われた私でした。ここまでありがとう。これで6,000文字。

@xa
副作用は夢を見ること