アイドルマスターミリオンライブ!。
GREEで提供されていた、よくあるソーシャルゲームだ。カードを集めてデッキを作り、スタミナを消費して発生させたレイドボスをしばいて数字を増やす、どこにでもあったゲームだ。
学生だったぼくはそりゃまぁ時間が有り余っていたわけで、相当やりこんだ。
どれくらいやりこんだかって、何回もひと桁順位をとったほどだ。二桁なんて両手じゃ数えられない。1枚取りの回数ならクラスの人数より多かった。
ただ勘違いしないでほしいのは、あのゲームにおいてこの成績は言うほどすごいモノではない、ということだ。シンデレラガールズに比べてそこまで激しい争いは起こっていなかった。時間を使えば普通に走るよりはるかに効率よく走れる環境があり、私には時間があり、それを行使しただけだ。
で。
まぁソシャゲって退屈なんですよ。だから、精一杯楽しもうとした。ラウンジチャットを盛り上げる企画だとか、さまざまな手法を用いたボーダー予測だとか(誤差±30000pt程度に収めていた)、モチベ維持のための煽りあいなどさまざまなことをやっていた。
そうしたらまぁ、知り合うことになった。
彼はミリオンライブでトップレベルのラウンジのマスターをやっており、ネット上ではマナーが良いのに通話では口が悪く、話を聞いてみるとゲーセンの、それも格ゲー→ガンダムvsガンダムの出身だった。
まぁ話があった。私も戦場の絆をやっていたから。
詳細は省くが、ゲーム内外でかなり仲良くさせてもらった。彼の周りにはいつも人が集まり、様々なゲームをやった。麻雀を打てば三味線を引くし、人狼をやれば空遠吠えを連発した。彼は姑息だったが、盛り上げ上手だった。
遊びが終わった後、夜更かし慣れしているメンバーでいつも退屈な話をした。いろんな話をしたが、表に出すのは憚られるような内容が多かった。その中で、アイドルたちの話をすることも少なくはなかった。
そこで彼はいつも言っていた。野々原茜とロコみてぇな面白い女が評価されないのはなんか世界の側が間違っているんじゃないか、と。熱弁だった。彼の愛は本物だったと思う。
今となってはミリオンも大きくなったもんだ。だって、50人全員が平等みたいな扱いを受けている。昔はそうじゃなかったんだ。映画だって7人しか出ていないし、ライブもそう。ローソンコラボなんて3人くらいだったよね。初回はエミリーだっけ。
映画(ムビマス)で動く杏奈を見た時、私は涙が出た。彼はそうじゃなかったらしい。いくらかの暴論のあと、いつか全員が動くアニメとかできたらいいな。何クールの放送になっちゃうんだよ、なんて笑っていたけど。
そんなミリオンライブがアニメになったよ。
そろそろ最終回だ。あなたのプロデュースしていた茜ちゃんも歌って踊るぞ。地上波でだ。地上波でだぞ。週刊ファン数ランキングがいつも40位台だったあの茜ちゃんがだぞ。
なんならめっちゃいい役をもらっているんだ。直立しているシーンの方が少ない。いつも前のめりで傾いていて、動作がどれをとっても面白い。その上、番組Youtubeのメインを張っている。そんなこと、想像できたか?
ロコもだ。めちゃくちゃやっているのに周りに受け入れられている姿は感涙ものだ。
あの日話した待ち望んでいたものが、夢が今目の前にあるんだ。
見てるか。なぁ、キリさん。