フリーのソフトウェアというものが世の中にはいろいろあって、世の中を豊かにしてきた。その中にはゲームもある。フリーゲームと呼ばれるそれらには25年以上の歴史があって、アンディーメンテのゲームとかが有名だよね。いまだにお世話になっているけどその話はまた今度。
で。その中の最高傑作を知っていますか。最高には色々な尺度があるとは思うんだけど、ことさら「ストーリー」については、もう21世紀を通してざくざくアクターズ以上のものは出てこないと思う。
だから、非難を恐れず言い切ってしまおう。
みなさん、残念なことに21世紀フリーゲームストーリー部門最高のゲームが決まってしまいました。まだ80年弱残っているというのに、もはや一位はゆらぎません。
ざくざくアクターズです。
たとえば、Googleで「面白いフリーゲーム」で検索すると一番上に「らんだむダンジョン」って提案されるんですよ。らんダンの作者の最新作がざくアクです。
この作者さん、はむすたさんっていうんですけど、まぁこの人がまたすごくって。
もともと小説書きだったんです。「小悪魔RPG」「馬鹿の墓」とかなら知っている人もいるかもしれない。18年前とかの二次創作だけど、それでもなお色褪せない面白さがある。
何がすごいって構成がすごいんです。人を引き込むような構成が。平易でわかりやすい文章で、ノリやすいギャグ展開からシームレスに激重シリアス展開につなげるのがこの人のヤバいところ。
話を戻してざくアクについてなんですけど、わかりやすくいうと逆異世界転生モノです。主人公はこの世界に(違法)召喚された労働力の少女。苛烈な労働と過酷な扱いに耐えられなくなって、違法召喚されたはぐれものたち……通称ハグレの王国を作るんだ! って感じ。
それでハグレたちを集めて国……というよりはシェアハウスみたいなところから始まってそれを大きくすることを目標にストーリーが進んでいくんですけど……突然召喚されてこの世界に来たからにはもちろん不平不満がある子もいて。
元の世界に、あいさつもできずに別れた家族に未練のある子が出てきて、その子が叫ぶんです。「私一人なんて嫌だぁ!」。知り合いがいない、どころではなく、見知った文化すらない世界で一人きり。そんな子に対して、主人公の国王様が歩み寄ります。「君の家族にはなれないけれど、友達だったら誰もがなれるでち」。ここね。このシーンね。はじめてから1時間くらいで出会えるシーンなんだけど、ここで神ゲーを確信した。
ざくざくアクターズはたくさんのキャラがいて、たくさんの思惑と意見があり、いい面も悪い面もきっちり描写する。それでいてなお面白く、笑えて、めちゃくちゃ泣ける。すげーーーーーの。
ストーリーテリングの手法が先進的とか、感情を揺さぶる文章力とかそういうのではない。ないけど、巧みすぎるの。わかっててもダメだよ。
これからやる人がいるかわからないけど、言っとくよ。「スカイドラゴン戦」、「さよならの日」、「本編ラスボス戦」のみっつはハンカチ用意しておいた方がいい。ほんとに。
でね、ざくアクがこの前ついに最終更新相当の更新を迎えたの。もう、もうね、スタンディングオベーションよ。クリアした時びゃーーーーーってつながった、シナプスが。あちこちで一番強い時の線香花火くらいの音と光を散らして。裏ボス撃破後にストーリー名がわかるんだけどね……あーーーーーーおまえおまえおまえおまえーーーーーーーー!!!!!! って、なる、なるの……。
プレイしてくれてありがとうじゃねえよこっちがありがとうだよ…………って心の底から思いました。え、これ無料なの? 信じられない……。
残念なことにスマホではプレイ不可。RPGツクールVXAceだからね。でもこのためだけにノートPC買うくらいの価値はあると思うよ。
ゲームジャンルとしてはハクスラ系ダンジョン探索RPG。ぐーたら魔王のギルドライフとかに似てる。
ダウンロードURLを貼っておくので、遊んでくれると嬉しいな。
本編で40時間、魔王タワーで30時間、水着イベントで50時間くらいは遊べるから……。