・ジョナサン・ゴットシャル著の『ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する』を読んだ。現在の出来事や歴史、思想、果ては陰謀論まで、口述や文章問わず、あらゆる情報は物語として伝達されていく、といった論述。
・先日、武田砂鉄著の『わかりやすさの罪』も読んだのだけれど、結構リンクするところがあるように思った。
・例えば、歴史のある出来事を「わかりやすく」述べようとすると必然的にそれは物語として語られる。何が良くて何が悪いのか、という要素を持ってしまうのが物語の性質である。そして、その物語の視点というのはある種の権威/権力/思想/党派性によって掌握されているものなのだろう。
・マーシャルマクルーハンが「メディアはメッセージ」というスローガン(?)を掲げていたことは知っているのだけれど、ここでいうメディアとは単純にマスメディアのことだと思いがちだ。しかし、ありとあらゆる情報を伝達する手段、と拡大解釈した方が良さそうではある。
・『ストーリーが〜』の方には巧妙なストーリーテラーみたいな話もあり、その物語にどっぷりとハマらせる一例としてドナルド・トランプなどがそれに挙げられたりしていたのだが、暇空茜などもそれにあたる。
・両者ともわかりやすく敵を作り上げて、自分に都合が悪いことを切断処理した物語の語り手だ。本書の引用をすると"悪と戦う大義ある聖戦の主人公として信者に協力を求める。(中略)活性化する感情を喚起し、信者に良い(あるいは悪い)知らせを伝道者の熱意を持って広めさせる"といったところだろうか。
・これはQアノンの手法と同様なのだが、彼と彼の取り巻きを暇アノン、とラベリングすることは言い得て妙なのだな。