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驚きの連続だった。あなたの行動に、というのも勿論だが、それを嫌だと思わなかった自分に。今日の私を見ていたあなたは信じてくれないかもしれないが、わたしは元来この手の行為が苦手だった筈だ。露出の多い二次創作物と世間の猥談から目を逸らし続けて20年経つ。もう立派な二十歳であるのに未だ18禁の代物を嫌煙しているわたしが、あなたからの好意をこうも素直に受け止められたことに驚いている。
あなたは男の子なんだなあという当たり前のような感想を、この二日間で飽きるほど考えさせられている。私と同じで「肌色が強いものは苦手」と言っていたから、てっきり知識も興味も持ち合わせていないものだと思ってた。意外だね、と正直すぎる感想が口を滑ったところ、「男なので」と返ってきたときは一瞬思考が止まってどきどきした。ああ、あれ、そうか。男の子なんだ。というか、男の人ってみんなそうなの? 恐らくその手の見聞について、わたしの方が本当に詳しくない。おかずが云々って話も、今日の惣菜の話ですかと惚けられるほど天然ではないのだけれど、未だに実感がなくふわふわとしている。なんとなく、フィクションのお話だと思っていたから。
そして、あなたがここまで積極的だとは思いもしなかった。昨日は殆ど私に非があったが、今日余裕が無さそうだったのはあなたの方だった。暗がりの中で見上げながら至る所に触れられて、すこしだけ怖かったけれど、それと同じくらい期待もしてて。肌なんて普段幾らでも自分で触っているのに、あなたが触れたところは熱をもったようにあつかった。最中に下唇をずっと噛んでいたら傷んでしまったせいで、途中から声が抑えられなかったのが気がかりだ。ねえやっぱり、あの録音、消してはくれないだろうか。今すぐ埋もれて消えてしまいたい。
わたしの方はというと昨日の反省をまったく活かせず、性懲りもなく。腹部に触れただけで随分な様子のあなたがどうにもかわいくて、愛おしくて。BL好きの友人が「推しは受けなんだ」とよく分からないことを言っていて本気で口喧嘩をしたことがあるが、今ならちょっと分かる気もする。好きな人のあんな声を聞いて、正気が保てるわけなんてなかった。加虐心と庇護欲に溺れてあんな行動に走ったのは、人生であなた相手が初めてだ。ずっとずっと困惑している。ああもっと余裕を見せるつもりだったのになんて、毎日言っているね。もう駄目らしい。でも流石に、あなたが満更ではないことぐらい分かってきたから。共犯ということでいいですか?