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あなたが隣にいない日々が続いている。世間はゴールデンウィークだなんだと浮かれているのに、あなたと会えない毎日はちっともゴールデンじゃない。わたしでさえこんな憂鬱な気分なのだから、喉が痛くて家に篭もりきりの貴方のほうがきっと大変なんだろう。はやく抱きしめに行きたい。次まともに2人で会うのは神戸のときだったりするのかな。そう思うと、楽しみと寂しさが混在してぽっかり心に穴が空いたみたいだ。
今日は休日だというのに、いつもの癖でかけていたアラーム音が容赦なく私を叩き起した。8時前。まだ起きるには早いかなと思っていたら、きみから数通のLINEが届いていて思わず飛び起きる。「こんなときそばにいてくれたら」なんて、普段はしっかりしている君が甘えてくれたことが嬉しいと同時に、あなたの傍に居てやれないことが悔やまれた。声を送ったり日記を書いたり、わたしにはこんなことしかできないのだけれど。……いっそのこと私に移してくれたら良かったのに。そうしたらあなたの症状が少しでも軽くなって、ふたりとも苦しいかもしれないけど、自分だけのうのうと生きている今よりはずっと心が楽だったはずだ。こんなことを言っていたらまたきみに怒られてしまうかも。
寝れないと言っているきみに返事をしたらすぐに既読がついて、ちょっとだけ心配になった。きちんと寝れていますか? 病院に行くのだというきみを心の中で見送って、再び枕に頭を預ける。まだ9時前だった。
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季節外れの毛布を被って寝たからか、少しだけ蒸し暑い。軽くシャワーでも浴びようかなと思っていたのに気づけばもう夕方で、今日は一歩も外に出ていない。宅配なんて頼んだのはいつ振りだろう。ひとりで食べるピザはちょっとだけ多くて、次はあなたと食べたいなと思った。カラオケなんかでさ、ピザをいっぱいに広げて、それから一緒に『Human Fall Flat』を文句言いながらやりたい。ホラーゲームでもいいけど、カラオケから帰れなくなったら嫌だな。他のゲームも探してみたものの、わたしはシュミレーションゲームぐらいしか知らなくて。一緒にイケメンの男の子攻略したりしようよ。ギャルゲーでもいいな、もしかしたら隣でちょっぴりヤキモチ妬いちゃうかもしれないけど。
そんなことを妄想することと、あなたから届いたLINEに返信をすることぐらいしか、今日のわたしに楽しみはなかったみたい。早く会えないかな。思ってるだけに留めておくべきなのに、コロナで苦しんでいるはずのあなたに言葉にして送ってしまう。うちゅーじゃんの「おれも」のスタンプはどこか君の雰囲気と似ていてかわいい。多分きみが使ってるものだったら全部かわいいんだろうな。だいぶん盲目だ、よくない。
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昨日会った友人の話がしたい。高校で2留したくせ大学には毎日通っているのだという愉快な友人と会った。ずっと変わらない友人に安堵して食事の席に着いたら、開口一番聞かれたことは「結局好きピと付き合ったんだっけ?」だった。今までは一切色恋沙汰を共有しなかったのに、あなたのことを好きになってからというもの何度かその話題をこの子の前で出している。「好きピ」なんていう死語を今更使っている友人に笑いながら嬉しい報告を告げると、自分のことのように喜んでくれた。素敵な人間だ。どんな人かと聞かれたのでかわいい後輩だよと答えたら「天変地異?」と笑われた。近々槍が降るらしい、あなたの地方では降っていませんでしたか?