2018年1月1日に現職に転職してから丸7年が経とうとしている。7年といえばなかなかの年月で、当たり前のように毎日出社していた日々から、ほぼ出社しない日々を経て、また出社回帰の時流に戻るくらいの年月が経った。
当初はProduct Securityのチーム立ち上げに際して2人目の"セキュリティの人"として入社して、日本語をあまり喋れないタイ人の1人目のメンバーと、英語をほとんど喋れないわたしとで、なんとか最初の2ヶ月を過ごした。この時期は、生活の中での口数が減ってだいぶしんどかった気がする。人は人と喋らないとおかしくなる。
セキュリティチームの社内でのプレゼンスを上げないと何も良くできないし、一方でガチガチに何かを縛るみたいなのも明らかに向いていないカルチャーだったし、モノリスのAPIのリリーススケジュールが30分〜60分単位で一日分ぎっちり埋まっている環境でガチガチに縛るとかそもそも無理のある話で。とにかく必要そうなことを手当たり次第にやったし、新しい環境で生き残るために必死だった。
上場前の時期でまぁいろいろあったし、気に食わない仕事もしたし、タイムマシンがあれば戻ってやり直したい仕事もあるし、Fintech事業の立ち上げに伴ってそれ以外のほぼすべてを一人で見ていた時期もあったし、それでもなんとかやりきってIn-houseのセキュリティチームの立ち上げに、それなりに貢献できたんじゃないかと思う。
そこから組織が変わっていろいろ思うところもあり、開発もできた方がいいしねってことでセキュリティ機能について考え続ける開発チームの箱を作ってもらってそこに収まった。セキュリティチームとの決別ってほどではないけど、別の道を試してみたくなった。結果として残せたものもあるし、うまくいかなかったこともあるが、目指す組織の難しさみたいなのはこのあたりからすごく強く感じていた気がする。結論として、このチームとこのやり方はうまくいかなかった。
そこで転職するという選択肢も実はあったんだけど、なりゆきで今はTrust and Safetyなる部門にいる。そもそも何をやるところなのか誰もはっきり語れないので、それを定義しようとしてみたり、訳のわからないふわっとした業務を綺麗に整理しようとしてみたりしている。概して、ある特定のリスクドメインについて、事業・サービス・プロダクトのリスクマネジメントの仕事をしていると言ってよいと思う。"Engineering"はすごく遠くなった。もどかしい。
正確にいつからだったかは忘れてしまったが、以前のチームで最後に同意管理まわりの開発をしていた縁もあって、Privacy Officeも兼務でいろいろ覗かせてもらっている。氏名住所電話番号が物の売り買いの相手に知られないことだけが匿名性ではないし、もっと広く見てプライバシーというものについて考えないと、誰かにとっての気持ち悪さは消えないので、C2C Privacyと勝手に呼んでいろいろ妄想はしているが、どうやったらここにお金を投じる文化を作れるのかは未だによくわからない。
こんな感じの経歴を、直レポの偉い人には「ふわっとしてる」と言われてしまったが、わたし個人としては一貫して「安全なサービス・プロダクトを使えることを当たり前の体験にしたい」だけであり、そもそも前の職場を辞めたのも、それに近い思いからだった(あと部長と反りが合わなかった)。このあたりを改めて言語化できたのも「ふわっとしてる」と言われたおかげなので感謝している。勝手ながら、言語化できた今は少し腹も立っている。人と人が分かりあうのは難しい。
こんな具合に何をしたいのか、何ができるのか、傍から見てよくわからないのもすべてそこに起因していて、サービス提供事業者の中における、およそありとあらゆる活動がその目標に寄与する部分を内包するはずで、わたし自身、わたし個人の嗜好と大きく乖離しなければ、割と何でもやってしまうこともあって「ふわっとして」しまうのだろう。
ただ特に何の節目というわけでもないが、ここらで点と点を繋げて何かしら形にしてみたい気持ちが芽生えて、わたしのこの考え方に名前を付けたくなった。その先のことはよくわからないが、何かしらこういうことをやっていましたと、ひと言で説明できる何かが欲しくなった。
そういうわけで今のところはもう少し頑張ってみるつもりである。ただこの先何がどうなるかわからないので、来月にはあっさり辞めてるかもしれないし、今この気持ちをどこかに残しておかないとどこにも残せなくなりそうなので書き残しておく。