1年に1度か2度くらい、私には無性に聴きたくなる曲がある。
globeの曲だ。
今はPrecious memoriesがだいぶ熱い。
globeは私が好きなわけではなく、兄が狂おしいほど好きだった。globeだけじゃなく、TRF、SUPER MONKEY'S、鈴木あみetc.小室哲哉全盛期、我が家はTKが作りし音楽が鳴らない日はなかった。山の中の家で、お隣とも坂の下の家とも距離があることをいいことに、隣の部屋から爆音で鳴るglobe。正直迷惑だなー、ちょっとうるさすぎませんか、と思った日もあるし、居間に避難して、母に「うるさすぎませんかね」と言ってむくれたこともある。
毎日毎日、学校から帰ってくると同じ曲が流れている。1曲ではなく色んな曲ではあったけれど、それでも毎日聴いていれば、1曲でも50曲でも同じことだ。でも不思議とうんざりせず(いや、うんざりはしていたと思うんだけど、それよりも「よっぽど好きなんだな」という感心する気持ちの方が勝っていた気がする)、段々と覚えて、好きでもないのに覚えたフレーズやサビがくると一緒に歌ったりしていた。
いやこれ、どっちかというと好きだな。
望まず好きにならされてるな。
私達はもういい大人になり、今は別々に暮らしている。私の住処で、globeが爆音で鳴り響く事はもうない。でも、ふいに思い出したように聴きたくなる時がある。KEIKOの高らかな歌声を聴いて、兄と子供時代を思い出す。
思い出の曲って、自分が好きな曲とは限らないんだな。
夫が歯磨きや寝る支度をしている中、もう用意の出来た私は布団の中でスマホからあの曲を流す。珍しい行動をしている私を不思議そうに見ながら布団に潜り込む夫に「これは呪いだよ」と笑った。