やる気の炎がわずかだが戻ってきた

山田 唄
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 自分はイラストという世界において、大体中級者の上段くらいだと思っていた。初心者〜上級者、神絵師を1〜10の数字でランクづけするならば、6.5〜7くらいの体感だと。しかしてこの数週間、意識していろんな方の創作物をみて回るようになった肌感で、自分はまだまだ初級者クラスから抜けられていないなと判断するに至った。

 単純に、比較対象とする範囲が狭すぎて自分より何十倍、何百倍も上手い人たちの作品が目に入っていなかったのだと思う。真の神絵師のイラストを見てもなんだかすごいけれど何がすごいのか言語化できない、程度が私の実力であるし、その限り神絵師の作品からは、彼らへと続く道のりの距離感が朧げにしか掴めなかった。

 しかし、自分と比較的実力の近い、それでいて現状自分が及ぶべくもない人たちのイラストと、それに向けられている評価など諸々を俯瞰で見ると、現状の自分の立ち位置が朧げに見えてくる。やはり、私の作っているものはまだまだ、身内ウケはするけれど中堅の人たちと比べて明らかに劣っている、程度の、まあ先ほども書いたが初級者の中、もしかすると下くらいの出来でしかなかったようだ。

 それがわかって良かった。「自分は大したことない」という認識が天啓のように降りてきてから、最近ボソボソと燻っていた私の中の火がまた大きく燃え上がり始める気配を感じたのである。

 そもそも、私はライバルや目標の存在が巨大であればあるほど燃えるタチの人間だ。このところやる気をなくしてグダグダしていた原因の最たるものとは、「自分が目指していた領域に足をかけてしまった」というまあ勘違いからきており、要するに自分がそこそこ上手くなってしまって目標としていた実力が手に入ってしまった、と言う落胆からモチベーションが落ちていたのだった。

 そこにきて「自分はまだ初級者だ」と芯から思い知らされたことで、また沸々と負けん気が湧いてきているのである。

 そんなわけで、昨日から随分気分良く過ごしている。根拠のない自信に溢れていたちょっと前より、打ちのめされて周りを見上げ、途方に暮れている現在の方が元気なのだから、私は割と変な人間なのだろう。それはそれとして、昨日から絵を描くのが楽しくて仕方がない。

 「自分は下手なのだ」と言う意識で絵を描く方が、のびのびとさまざまなことを試せる体感がある。自分の立ち位置はまだ安定していない、ここからどこへだっていける、と言う感情が私にとってはひどく追い風なのだ。

 そんなわけで、現在は「俺の絵で全員倒してやる」の気持ちが蘇ってきています。俺の絵で全員倒す。ハイヤーハイヤー。

@yamadauta
創作やりながらギリギリで生きているおじさん。ここには普段考えてはいるけれど表に出せないタイプの思想強めの文章を書いて出ししていこうと思います。