最近、「俺、変なやつだな!!?!?」と反省するようなことが頻発している。その行動を犯した時点ではなんの罪も裏もない完璧なルートで計算された正道!!! だと思っているが、後から考えると自分でもなんでその思考に辿り着いたのかうまく説明できない。ただそこには頭のおかしい狂人の奇行だけがある。いつからこうなってしまったのか。
思えば保育園時代から何かがズレていた気がする。元々周りのショタとロリの群れに混ざれず、一人孤独に室内で遊んでいるような子どもだった。たまに私を遊びに迎え入れようと声をかけてくれるショタがいたが、単純に気分じゃなくて断ってばかりいたら徐々に誘われなくなった。
後々気が乗って「遊ぼー」みたいな感じで近づいていくと「は???」みたいな顔で見られる。当たり前だ。全て私が悪い。しかして私の中では過去誘いを断ったことには正当な理由があるので、何を責められているかわからない。
そんなことが万事が万事であった。
小学校低学年くらいまでそうやって遠回しに「あいつ頭おかしいから関わらんとこうぜ」みたいな目で見られていた(これも今思えばである。当時はなぜ避けられているのかまるでわからなかった)が、中学年に差し掛かったあたりから状況が一変する。私が学校のテストや図工などで徐々に成果を出し始めたのである。
周囲の評価は綺麗に、「あいつ頭おかしい」から「天才だから人とは違うんだね」に塗り替えられた。何か成果を出すたびに「山田くんは天才なんだね」「僕らとは違うんだね」と言われるので、私も少しずつその気になってくる。結局周りには一人として人が寄ってこないので、私は孤独な王様として振る舞うことになった。
本当は私も、みんなに混じってドッヂボールをしたり、ケイドロをしたりして遊びたい。でもたまに気まぐれに遊びに混ざると、決まってその場の空気を悪くしてしまう。その頃には徐々に他人の目線が気になるようになり始めていたので、「山田くん、なんか変」の視線はグサグサと私の皮膚に突き刺さり、次第に内臓に至ってついには心臓に到達した。
「そうか、俺、変なんだ」
そう思ってから後天的な自閉に至るまでそれほど時間は掛からなかった。相変わらず自分の中には一本線の通った行動指針があり、ただただそれに準じて生きているだけなのだが、周りには常に奇異の目で見られる。その上で私の周りに寄ってくる人たちはみんな優しいので、ひたすら私のことを理解しようと心を砕いてくれた。ただ、私の方に彼らに歩み寄る準備ができていなかった。
結果として大量の不幸を量産することになる。
私が犯した数々の罪を、今もよく覚えているし、頻繁に思い出して悶える。ここ何年かになってようやく、自分がしてきたことの愚かさに気付かされた次第だ。それから努めてまともになろうと努力してきた、が、まだまだ妖怪が人の姿に化けたくらいの違和感があるらしい。
最近では自分のことをある程度俯瞰で見ることができるようになったので、私自身自分のおかしさを楽しめるようになってきた。それが自分の態度をかなり軟化させたらしく、周囲の人の当たり、また自分から周囲に対する当たりも目立って柔らかくなった。妖怪も妖怪なりに人里で暮らすことができている。
でも、本当は同じ妖怪の仲間が欲しい。今付き合っている人たちに何人か似たような妖怪がいるが、彼らとは本当にいい関係を築けていて、やっぱり自分、根本から人間社会に適応できないんだなあ、の思いが日々膨らんでいる。
どんなに精巧に人に化けようと、私はもはや人間にはなれない。妖怪としての矜持もある。そんなわけで今日も人外として生きていくのであった。