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インプット・アウトプットバランス

山田 唄
·
公開:2026/9/28

 今日は二週間弱くらいぶりに全く絵を描かずに休みの日としている。午前中はまだ休むことにひどく抵抗があり、ラフを描き始めては結局満足いく出来にならなくてファイルごと捨て、モヤモヤを増幅させたりしていたんだが、そこから割り切ってインプットと休養に徹し、美味しいものを食ったり追っかけている漫画の最新話を読んだりしていたところ徐々に落ち着いてきた。体力も精神力もそこそこ回復したので、明日からまたお絵描きができそうだ。

 かなーり前にどこかで、「絵を描きたいが思うように描けず詰まってしまう、という人間は大体、インプットかアウトプットのどちらかが不足している」「そして多くの人間の場合、足りないのはアウトプットである」というような言説を見かけた。

 創作物とそこから受ける刺激、情報が飽和する現代社会において、確かにインプットが不足するケースというのはかなり考えづらい。ズブのオタクでなくとも多くの人間が普通に漫画を読んだり、アニメを見たり、音楽をサブスクで聴いたりということを普通にする世の中になりつつあり、つまりは「描きたいけどなんか気分が乗らない…」という絵描きの大部分は、それら創作物から得た刺激を上手く消化できなくなり胃もたれしてしまって、なんとなく調子が悪い気がしている、それでも創作物を摂取することをやめられないので無限に食傷気味になっている、という状態なのだと思う。

 そこいくと今回の俺のパターンはインプットが不足しているというレアケースにあたり、まあ言うまでもなく俺は普段から大量のアウトプット=お絵描きをしすぎている。そもそもが少量のインプットからでもその数倍のアウトプットがなせるタイプの多産人間であるため、そこまで作品の摂取に躍起にならなくとも定量の作業ができる状態だったのだが、ここんとこ一枚に描ける手数や思考量を意識して増やしており、結果イラストを生み出すコストがちょっと前までの数倍になっている。

 故に今までのインプット量では現状のアウトプット量に対応できなくなってきているんだろうなあと思う。

 しばらく前からインプットが不足してきたな、と思ったら、調教済みのXのおすすめTLで流れてくる神絵をダラダラと見流して、目が止まったものに関してはじっくり見る、みたいな方法で充電をしていたんだが、今回の不調ではそうやっていい絵をどれだけ見ても心が沸き立たなくなってしまった。これは俺にしてはかなり珍しい事態で、レベルアップが楽しくて絵をやっているお絵描きバトラーなので、自分より上手い絵描きの存在が「何くそー!」「負けるかー!」というダイレクトなやりがいにつながる向きがあり、とにかく技術でぶん殴る絵を見ると立ち所にやる気が出てくる傾向が俺にはある。

 今回その充電法がうまく働かなかったのは、まあいくつか理由は考えられるが大きなものとしては二つ。一つは負けん気が湧いてこないほど疲弊してしまっている可能性。もう一つは自分の実力がそこそこのところに達してしまい、神絵師ともそこまで大きな差を感じられなくなってしまった可能性である。

 前者に関してはただただ休むという選択肢しかないが、後者においてはこれからまともに向き合っていかないと、いずれ自分の実力が本当に一定のところに達した時、絵を描く気力が根こそぎなくなってしまう危険性を孕んでいる。

 まあ、しばらく前から言い続けているように、俺には表現したいものとかどうしても描きたいキャラ、世界観、物語などがない。そもそもが自他や社会というものにほとんど興味がなく、"絵が上手くなりたい"という巨大な一個の目的のために動く機械でしかなくて、他人に主張したいことや社会的な主義、思想などもほぼほぼ持ち得ていない。物事に対する好き嫌いの自覚すら微弱である。

 今のうちにそういうところから地道に水をやって、芽を育ててやらなければいけないんだろうな、と少し前から思っている。

 正直、思想が強い人とか強烈な性癖を持っている人とかは俺にとってはかなり異質な存在に見え、苦手だしできれば距離を置きたい存在でしかないのだが、こと創作という行為を続けていくに際して"表現したいもの"が一切ない現状は、巨大な弱点というほかない。

 表現したいものがないから、ただただ技術を誇示するだけの空っぽな絵になっている。自分の中に中身をためていかないといけないんだろうなあと思う。

 まあそんなわけで、これからインプットとアウトプットを通して、自分の思想や好き嫌いを少しずつ育てていこうと思っている。描きたいもので溢れる人間にさえなれれば、インプット不足はある程度その意欲で補えるであろう。

 頑張っていきたいですね。

@yamadauta
創作やりながらギリギリで生きているおじさん。ここには普段考えてはいるけれど表に出せないタイプの思想強めの文章を書いて出ししていこうと思います。