今ほどXに提言系のツイートが流れてきて、まあそれ自体は別に「またやってんなあ…」と思っただけでどうでもよかったんだが、こういう「なんか頭いいことを言ってるっぽい」発言をことさらにありがたがる界隈があるよな、という気持ちになって、若干うんざりしてしまったんだった。
彼らは結局、「自分は世界に一人しかいないオリジナリティのある思考をしている特別な人間なんだ」という意識に溺れたいだけなのである。そういう意識を保つのに、なるほどネットはちょうどいい。基本他者の存在や思考が自ら望んで観測しない限りは知覚できないし、つまり、「自分の思考だけの閉鎖空間」を作ることも「自分と他人、一対一の閉鎖空間」を作ることも容易であるから、より他者の存在を無視して特別な自分を演出しやすいアルゴリズムがすでに用意されているわけである。
今回私が見た提言系のツイートに関しても、別にあえて言う必要も拡散する意味もないようなオリジナリティのない、言うまでもなく当たり前の事実を羅列しただけのものであり、しかしこう言うものをありがたがって拡散する人たちは、私のように彼らを眺めてうんざりしている人間の存在を意識から丸ごとシャットアウトしている。
無理もない、ゾーニングを徹底するようにしている人が徐々に増え始め、彼らに直接苦言を呈する人間の数も激減している。結果、彼らは自分がSNSで見かけるただただ刺激の強い断定口調の情報を、「この情報は俺とこの人のみしか知らぬ、特別な情報なのだ!!!」と思い込み、喜んで拡散するしそうすることで自分が偉くなったような気持ちになり満足感を得ているのだ。
結果、そのツイートは何万という人の手で拡散されていた。これを拡散する人の思考は、こうだ。「この人はすごく頭のいいことを言っている…」「この頭のいい提言を真に理解できるのは自分だけだし、そういう自分はこの人にも増して頭がいい」「自分の頭の良さを開示したい。誇示したい」…こういう思考経路の元、彼らは情報の拡散に及ぶ。
しかし、そもそもこの手の思考に陥ってしまう人たちは、大体が自分に自信のない人たちである。SNSで自分の存在を誇示しなければ他には認めてくれる人がまるでいない環境で生きてきたから、まさにSNSでイキっている自分と、それにいいねをくれる人の存在だけが自らの自尊心を肯定してくれるのである。これは現代病だよなあ、という気持ちになる。
まあゆーて、私もそんなことを言いつつ、思考の癖は彼らと大差ない。自分がめちゃくちゃ頭のいい人間だと思っているし、だから彼らに対して一言物申したくなるし、その気持ちに抗えずこういう記事を書いてわざわざお出ししてしまう。
本当に能力がある人って、他人に対して自分が優っているのを体感で理解しているので、特に能力のない他者にはほとんど興味がない人が多いんですよね。わざわざ力を誇示しなくても認められる環境を手にしているので、余裕があるし煽りにも動じない。
私もゆくゆくはそういう余裕のある大人になりたいですね、という展望を書いて、今回は終わりにしておきます。
昼飯を、食おう…。