変化
20年代前半が終わるけど、藤本タツキ=Vaundy=令和ロマン的な「優秀さ」の時代だったなと感じる。 技術を高め、文法を守り、高品質なアウトプットと戦略で目標を攻略する、まるで"出来るビジネスマン"のような強者が、表現の世界ですら人気の時代。
人間臭い逸脱が好きな自分には、居心地が悪かった。
https://x.com/mogilongsleeper/status/1874055041398825466
投稿を見てどの分野でも高い次元では同じなんだと思った。
自分が持つ感覚と近い。
時代 : 2020年代のイメージと解釈する。
優秀さ (できるビジネスマン) : 計算で物事を進めた上で感性や資質をスパイスとして加えられる。80点までを安定して出せるようにして、120点を狙うイメージと解釈する。
人間臭い逸脱 : 計算さが表に出ず、奇跡的なスペクタクルや偶発的な出会いをおもしろさの根源としているイメージと解釈する。
類似した時代変化を他分野で見ていた。
サッカー
最近「従来のサッカーよりもおもしろさが減った」とコメントする元選手を何人か見た。
単純な競技性で見れば、現代サッカーの方がおもしろい。
試合展開の速さや選手個々の質、組織化された守備など、10年前と比べたら競技性の全てが向上、進化しており、見る側としても飽きにつながる要素は減ってきている。
であるにもかかわらず、「おもしろくない」とコメントする背景には、「昔はアスリート的なスピード勝負ではなく、ファンタジスタ的なプレーが多くあったが、今はほとんど見ない」という過去との競技性の違いがあるようだ。
これを先の投稿に照らし合わせてみると、 “昔はもっと人間臭いスペクタクルなプレーが多く見れたのに、今は競技性が増したことで優秀なプレーしか見られず、期待する瞬間が見られなくなってしまった” ということではないか。
長年関わりがあったとしても、変化する今をおもしろがれるわけではないのかもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=_OT_CPw0yXw&t=165s
野球
年末にイチローの情熱大陸が放送された。
その中でイチローは「現代のメジャーリーグに対して危機感がある」「あらゆることにデータが活用されて、データを軸にプレーを決定していたりするが、感性をもっと大事にした方が良い」「メジャーは退屈な野球」とコメントを残していた。
確かにセイバーメトリクスの活用により競技レベルは急速に進化しており、それに追従するようにアスリート的な資質がより重要視された結果、バッティングも向上してホームラン数が如実に増えている。
そこに因果関係があるかは正確にはわからないが、2024年に大谷は50本を超えるホームランを打ち、日本メディアを席巻した。
競技レベルが上がったこと、そして現代のスター選手が生まれたことによってエンタメ性が増した結果、ここ20年くらいでみれば一番野球への関心を集めた年だったと言える。
これを先の投稿に照らし合わせてみると、”大谷はテクノロジーを活用して技術を高め、チームに貢献し、最高の結果とチーム移籍の戦略で目標 (ワールドシリーズ制覇) を攻略する、まるで “出来るビジネスマン” の強者” ということではないか。
イチローが伝えたいことも理解できる。それでも時代の流れには抗えないのかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ffb5c3d0c80503ffab133108c4cd4f54d70678e7
適応する
エンタメとしてサッカーと野球をよく見るので、2つの競技に出ている話題を挙げたが、これに限らず音楽や芸能、お笑いなどの分野でも同じようにあらゆる物事が向上して、5年前とは比べ物にならないくらいの質が生まれている。
その質の差を顕著に感じるのはYOASOBI, Hikakin, 令和ロマン。
何かを消費するだけの立場で、時代変化に追従する必要がないのであれば、現代を嘆き、過去に拘っても良いと思う。
けれど、何かを生み出す側に立つのなら、少しでもその立場に関わるのなら、現代におもしろさを見いださなきゃいけないし、今の時代の流れを乗りこなす気概がなければ、良いものをは作れない。
自分も今の時代を嘆き出したら ”老い” の始まりだと思い、時代に取り残されないよう、今をおもしろがって生きていきたい。
見方を変えれば、現代に求められることの輪郭が現れ始めたと捉えることができ、時代に適応しやすくなったとも言える。
「たまたま時代が自分に合っていた」よりも、「時代に自分を合わせにいった」というような、変化のベクトルを自分に向ける方にカッコよさを感じる。
そう冬休みでバクマンを読み直し、高木秋人のネタづくりを見て思った。