年末も近づいてきたので、内省をしている。今年は内省をする時間が多かった。
自分の内省を突き詰めると、最近は権限移譲の振り返りになる。
”権限委譲”は、フレーミングがとても良ろしくない。
本質は”責任の移譲”である。
移譲される側から見たときに、権限は”できること・やっていいこと”を指す。
ただ移譲する側から見たとき、責務が先にあり、それを実行する権限という構造になる。
移譲した責任が満たさなければ、その移譲は (極論すると) 失敗となる。失敗のツケは、いつか、誰かが、返さないといけない。
自分は社長なので、どんな失敗のツケも、自分が継続する限りにおいては返却するチャンスがある。その事実が、いつかなんとかしてやるという”長期的な気楽さ” をもたらす。
しかし、これを移譲するとなると、話が180度変わってしまう。
失敗した時には、移譲した人を (極論すると) クビにして自分でツケを返すくらいの覚悟が必要になる。気楽さはどこかへ飛んでいく。(極論ですよ)
加えて、後から取り返しがつかない責任はどれだけ有能な人に対しても移譲がしにくい。
世の中には2つの事業しかない。”後から取り返しが付かない問題” が、少ない事業と、多い事業。
前者は平たく言うといっぱい失敗できる・させてあげられる。つまり、成長機会を配りやすい。
私が今営んでいる事業はざっくりわけると後者で、失敗を許容しにくい構造になっている。
※現場で進む意思決定が多いが、後戻りのできない意思決定もしれっとたくさん混ざってて、そこに経営判断を介入させないといけないことも結構ある、という感じ。
内省すると、だいたい自分がミスっているのは同じパターンである。
それは ”後戻りできない意思決定なのに、むやみに移譲してしまっている” というパターンだ。
これが起きる理由はただ一つ、自分の事業の解像度が低いこと。その移譲のあとに何が起きるのか、想定できていない。
解像度が低いから、一般論を鵜呑みにし、自己との区別ができていない。
こんな状態では、本質的に許容できる失敗の量は増えていかない。
イノベーションの発生確率を左右するパラメータは失敗の数だ。
失敗が多く生み出せる環境を作りたければ、実は”責任移譲”の巧拙は重要な要素の一つなのではないか、という仮説にいきつく。
私の失敗例から、責任移譲がうまくなるには2つとても大事なことがある。事業への圧倒的な解像度と、失敗許容をできる保守的な体制の2つだ。
※3つ目の”後戻りできない意思決定が多い事業を選ぶ”もあるのだが、これは選べないこともあるのでカット。
2023年の私はどちらもそこそこやっているつもりだったが、2024年の感想は ”クソ未熟” だった。
保守的、という言葉をイノベーションと一緒に使うことになるとは思わなかったが、私の中では今は繋がっている。