経済には波の概念と構造の概念がある。
一定の周期で景気が上下する波。
人口動態など、その際の経済活動に帰結をもたらす構造。
この考えは経営のフレームワークとしても類似性がある。
スタートアップの経営セオリーは経営の「波」に着目すること。
時流のなかで生まれる「上りのエスカレーター」に乗ることで、非連続な成長を期待する。
投資家の論点は「今張るべき上りエスカレーターはなにか?」であり、それを手掛ける企業に投資をする。
成功の高さは、この波の高さと周期に依存する。
波動を読み、よい波を選択し続ける。これが経営の「波」の性質。
一方で、波は振動である。
波のある時点を切り取っても、経営の結果にはブレが出る。
通常100の高さが出る波が来ている時に、ある経営者は90を出し、ある経営者は120を出す。
この高低を左右するのが経営の「構造」である。
どういった人材が社内にいるか
どういったリソースの貼り方をするか
どういった事業の切り出し方をするか
など、波の上でどういったダンスをするのか。これが経営の「構造」の性質。
「波」の選択というのは、ほぼ再現性がない。
よい「波」を捕まえ続けられるのか。再現性がない。
経営の結果は、利益の大きさや成長率だろう。
経営の結果に対してより支配的なのは「波」である。
「波」を選んだ後に、その波で最高を得られるかどうか、は「構造」である。
経営の評価は、経営の結果で決まる。
つまり、選んだ「波」で、評価の上限・下限が決まる。
振動の中で比較的高いスコアを取れることが「構造」の部分になる。
経営者の評価は、「良い波をなんども選べること」「波に応じた良い構造を作り変えられること」の往復でできあがる。
波の選択は刹那だが、構造の構築は時間がかかる。
そのため、どうしても構造に力を注いでしまいやすい。
経営の結果に対してより支配的なのは「波」である。
「波」を選ぶのは未来予測と意志、「構造」を作り変えるのは胆力。
この往復で、経営者としての能力を磨いていく。