”仕事を通じて人はどう成長するのか”
この問に対して、経営者として人並みに試行錯誤してきた。
結論をいうと、”教育”はもう存在しない。ただし、育つ人は機会を通じて育つ。
だから、マネジメントとしてできることは事業が成長して機会を配ることと、機会を通じて”学ぶ人”を見極めることだけだった。要するに事業と採用ということになる。
成長の経路として、機会から学ぶ、そして人から学ぶという2つがあるが、後者が閉ざされつつあることが背景にあるのではないか。
現代ではマネジメントが人との関与に適切に恐怖しなくてはいけない。
いわゆる”指導的な”アプローチは、受け取り手が「ハラスメントだ」と主張したら、そこで関係が終了する。
またSNSを通じて何らかの発言が切り取られ、外部からの攻撃にさらされるというリスクも有る。
こういった環境に置かれるなかで、マネジメントが”指導的な”アプローチを選択するインセンティブはほとんど0になった。
その結果、ある人から徒弟制度的に学ぶという機会は消滅しつつあると思う。
人が受ける影響経路として最も大きいのは「尊敬する他人」だと思うが、「尊敬する他人が自分の為を思って指導する」という機会はゼロになったということだ。
これが冒頭の、機会から学ぶ人だけが育つ、という結論につながる。
人から学ぶという経路・機会があるとしたら、学び手が能動的に働きかけ、それに合意が生まれたときだけ。ほとんどの人には、もう待っていても存在しないものだ。
この数年、業務時間の中ではかなり多くの時間を1on1に割いてきた。
当然ながら成長が早い人と、そうでない人というのは (私の主観的には) 存在する。
成長が早い人、というのは「機会を食べ尽くすぞ」という態度の他に、「こちらに対して具体的に質問を投げ続ける」という能力が優れている。
これは人から学ぶという経路を復活させようとする能動的な態度に見える。
質問に対して、回答しないマネジメントはいない。質問を通じて、相手の経験や知識を拾い出すという行為はめちゃくちゃ時間効率がいい。
こういった事実を知り、どう使うか。
自分自身も学びを止めないために意識をすべきだと思った。