美学

yamotty
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公開:2025/6/26

決して譲れないぜ この美学

誰にも媚びず 己を磨く

言わずとしれたRHYMESTER 「B-BOYイズム」のパンチラインである。

未だにこの言葉を大事に胸の奥に抱えながら生きている。

ただ社会を見渡すと、真逆とも取れる行動規範を、堂々と、まるでそれが王道であるかのように進む人たちも多く、ときに気持ちがグラグラとすることも増えた。

代表例は、ビジネスYouTuberであり、また政治家 (を目指す人達) の行動規範の変化である。自分の目に映る彼らの行動ロジックを書いてみる。

彼らのゴール関数は「自分が持てる影響力の大きさ」となっている。影響力を早く・大きく作ることで、自分たちの活動のスケールアップが狙える。だから影響力をいかに効率的に獲得するかという視点で動いている。

活動の主軸は「可視化できる影響力の獲得」にフォーカスされる。「再生数」「再生からのコンバージョン率」「フォロワー数」などの指標を効率的に獲得することを目指し、これらの指標をストックできるプラットフォームに資源を投下する。必然、SNSやYouTubeとなる。

プラットフォームで数字が伸ばせるコンテンツはほぼほぼ決まっている。それは視聴者の感情にささくれをつくると良い。怒りや、恐怖や、悲しみを想起させるものほど、感情を早く動かし、数字に強くなる。自分の観測範囲では、笑いを想起するコンテンツは、怒りには勝てていない。

なので、プラットフォームには数字を狙ったささくれコンテンツが溢れるようになる。石丸伸二氏は、氏の政治的発言よりも議会やマスコミを罵倒している動画が圧倒的に回る。某入れ墨だらけの喧嘩企画は、視聴者の恐怖と好奇心をを誘い、動画が回る。

こうしたコンテンツでプラットフォームをハックして生まれた影響力を使うと、ビジネスも票集めも極めて効率的に可能なことが自明となってしまった。入れ墨だらけの若者に喧嘩をさせるプロデューサーは、その影響力を使って美容ジェルをD2Cで売る。ビジネスも政治も、いずれの世界も「勝てば官軍」であり、己の美学よりも勝つことが称賛される世界だから、自然な話である。

私の話に戻ると、こんなコンテンツを世の中にばら撒きたくないと思っている。私に見えない側面を加算しても、きっとマイナスが大きい。子供に誇れる世界になっているとは言えない。お陰で、子供に渡すYouTubeアカウントは禁止事項ばかりだ。

自分の美学はなんだろうか。ビジネスや政治で結果を出す、ということだけがゴールなら、何でもやるのが美学になるだろう。でも自分に問うてみるとそれは許容できない。自分の弱みでもあると思う。

譲れない美学とは、自分や家族に誇れることをしていたい、というのが稚拙な言語化だろうか。明らかなのは、結果よりも大事にしたいことがありすぎる。

なぜそう思うのか。もう少し深く考える余地がありそうだ。

@yamotty
しずかなyamotty。 プロファイル→ yamotty.me