先週の日曜日、長男が初ヒットを打った。
昨年(4年生)の11月、クラスの友人から頼み込まれて始めた少年野球。
僕 (コーチや支援) と、次男も同じチームに吸い込まれ、今では3人で毎週末グランドで過ごしている。
特に長男の熱中の仕方は昔の自分 (バスケだったけど) にそっくり。その後、プールを辞め、水泳を辞め、塾を辞めた。
野球以外を削ぎ落としながら、毎日が野球で塗られていっている。
そんな息子が初めてジュニアチーム (5年主体) でスタメンで試合に出る機会を得た。
4番・ショート。
少年野球はピッチャーとキャッチャーが8割。
2年生からチームに居るエースの二人がそこに配置され、次に重要なショートを任された。
そして巡ってきた第1打席。2ストライクまで追い込まれながらも、ボールを選び、そして快音を響かせた。
レフト前に流した、立派なヒットだった。
前の回で大量失点し、沈んでいたチームは湧き、そして1塁ベースの上で満面の笑みの長男がいた。
震えた。
「この子にもこういう瞬間が訪れた」
言葉に表すことができない歓喜が自分の中で湧き起こった。
僕自身の人生も半分はスポーツで形成されてきた。
はじめてコートに立ったとき。フィールドに出たとき。
はじめてシュートを決めたとき。
はじめて人をタックルをしたとき。
はじめてインターセプトしたとき。
興奮した感情、それをそのまま表現したガッツポーズ、その瞬間の周りの光景。いまでも全てを鮮やかに覚えている。そして思い出すと体が熱くなる。
忘れっぽい自分でも、くっきりとした記憶がある。たまにあの瞬間の感情を取り出して、力をもらっている。
そんな瞬間がこの子にもできたんじゃないか、人生の拠り所ができたんじゃないか、という歓喜。そして息子がいま一塁ベースの上で感じている感情が、ありありと伝わってきて、震えた。
長男はその夜、なかなか寝付けなかった。興奮で体が火照り、ずっとハイだった。
彼のこれからが、ますます野球で塗られる。またも始まりの日になった。
グランドで、子供が目の前で変わっていく感動に、僕の週末も塗りつぶされ始めている。