2021/11/1

屋根裏
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この日、私の好きなアイドルグループが解散した。配信でラストライブを見終えた私は涙を流していた。

私は昔からアイドル好きだったわけではない。どちらかといえば少々苦手だったくらいだ。それは何故か衣装をはだけさせていたからだ。別に目のやり場に困るとかではないのだがとにかく昔の私には彼らがひどくチャラチャラした存在に見えていた。あと年齢的なものもあったのかもしれない。あの頃はそんな流行りには乗らんぞという謎の意識がありクラスで女子らが何君がすきなどといっているのをフーンと眺めていたものである。

それからしばらくして十分に大人といえる年齢になった頃、何故かは分からないがアイドルにはまった。彼の何が私をそんなにひきつけたのかはわからない。ただとてつもない引力を感じて私は彼と彼の所属するアイドルグループが出演する映像作品を見漁った。映像だけでなく音楽をヘビロテしカラオケでも必ず歌い雑誌も買いまくった。

それでも何故かライブへは行ったことがなかった。というのも当時は電話をリダイヤルしまくるやり方でライブのチケットを購入していたわけだがことごとくハズれていたからだ。結局彼らのライブパフォーマンスはDVDなどでしか見たことがなかった。

そんなこんなで私も実生活が忙しくなり段々と彼らを追わなくなったある日、彼らが解散するというニュースが流れた。それを見たとき私は「ああ、このときがついに来たのか」とだけ感じていた。彼らも年齢があがってきていたから。驚くほど動揺しなかったがそれでも少しは寂しさのようなものが胸に刺さっていた。

結局私は配信で彼らのラストライブを観た。彼らの最後のステージは輝いていて昔から変わらぬキレのあるかっこいいダンスでファンらを魅了していた。大人らしくも往年のキラキラした感じを散りばめながらライブは終わりを迎えた。

気づけば私は目を潤ませてその場から動けなくなっていた。しかし寂しさはそれでもあまり感じない。彼らはファンが寂しくならないように最大限のお土産をいろいろなかたちで残していっていた。

そのアイドルグループは解散はしたものの年長組グループはそのまま継続し今もアイドルとしてライブを行っている。年少組はバラバラになりつつもそれぞれ芸能界で活躍中だ。

本当に解散したのか?というぐらいに彼らもファンも変わりない。

それが彼らの築きあげてきたものなんだろう。

ありがとうV6

@yaneura
一次創作小説を書いている。 お茶が好き