ずっと読んでみたかったけど絶盤でなかなか入手できなかった『ライブ・アット 騒 (GAYA) ─ 阿部薫、鈴木いづみ、フリージャズメンとの日々 ─ 』という本を購入してようやく読むことができました。
この本を読んでみたいと思ったきっかけは、かつて70年代に近藤等則さんとフリージャズの演奏を行なっていた音楽家の土取利行さんが数年前Twitterで『1974年の冬に長野県の伊那市で信州大学の学生に招聘されてフリージャズのコンサートをおこなった』とツイートされていたのを読んだことでした。
今から50年前、伊那でフリージャズが演奏されていたなんて!このとき、自分は赤ん坊だったけど、すぐ近くの伊那市で近藤等則さんや梅津和時さんが演奏されていたとは。
私は20代のころ静岡に住んでいて、当時流行っていたオルタナティブ・ロックの影響でフリージャズを少しかじったようなアマチュアバンドをやっていたことがあったのですが、2000年に伊那に帰郷したのを機に、ここは何もない田舎だから…と、好きだった音楽からしばらく足が遠のいていました。
土取利行さんのツイートの続きには、この本の著者の騒恵美子さんが、1970年ごろにたまたま訪れた長野県伊那市で近藤等則さんや梅津和時さんらのグループのフリージャズの演奏に遭遇して衝撃を受け、もっとフリージャズを聴きたい一心で東京に帰ってから騒(GAYA)というライブハウスを開店することになった経緯が書かれていました。
この本には、騒恵美子さんが訪れた1970年頃の伊那市の様子が書かれており、当時は伊那の街はダム建設の特需で飲み屋街が繁栄しており、信大の学生もいたことでジャズ喫茶が多くあってジャズの演奏も盛んに行われていたそうです。
近藤等則さんらが演奏していたようなフリージャズは過激なジャンルであったので、当時の東京では演奏させてもらえる場所がなく、アヴァンギャルドな音楽を志すミュージシャンは伊那などに来て演奏をよくしていたとのこと。
私が伊那市で高校に通っていたのは1980年代の終わり頃で、その当時はもう伊那の街中にジャズ喫茶はなかったような記憶があります。
そして今年、近藤等則さんや梅津和時さんや土取利行さんが伊那でフリージャズを演奏してから50年経った2024年に、また伊那で即興演奏のイベントが開催されるとのことです。

(facebookの投稿より転載しました。)