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ito
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4/4

とっぷりとした悲しい気持ちに浸かっているような時間だった。こういう日もある。泣きながらワッフルを食べた。

4/5

薬が効きはじめてきたのか、身体が栄養を求めている声が強くきこえるようになってきた。弾けたように、もらったチョコレートをたくさん食べて動揺してしまう。そのうちに自分が制御できなくなってしまうんじゃないかと不安な気持ちをそのまま話してみたら、それを一緒に考えて乗り越えていくために私たち看護師がいて、もし自覚のないままにコントロールができてなさそうだったらちゃんとそう伝えるし、だからといって怒ったりもしないから、遠慮なく話してほしいと言ってもらえた。ものが入った自分の身体を強迫的に触ってしまうけれど、気持ちを打ち明けられたことはよかった。

4/6

悲しみに折り合いをつける方法を探している。家族が焼き菓子を持って会いにきてくれた。土曜日だからかな、病棟もこころなしか穏やかな空気が広がっていたような気する。はやく点滴をしなくても大丈夫なようになりたい。

4/7

測定の日。点滴から受け取る栄養のおかげなのか、木曜日から1キロ増えていて、入院してからほぼ1ヶ月で1.5キロ増したことになる。治療が軌道に乗りはじめていることに安心するのと同時に、恐怖している自分もいる。最初のころと比べて感じる身体の厚みにたまらなく首を振るいたい。窓の外から賑やかなお囃子や神輿を担ぐ人たちの声が聴こえてくる。春のおまつりっていいな。外の空気が恋しいし、じわりじわりと家に帰りたい気持ちがでてきている。桜が見たかったな。いまが正念場なのかもしれない。