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ito
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3/13

前日に、工事の都合で13・14日の2日間は一定の時間シャワールームが使えないのだと聞いた。だから争奪戦ですよ、と笑う看護師さん。この病棟では朝ごはんの際に掲示されるタイムシートに、それぞれ希望する時間に名前を書いてシャワーの予約をする。わたしはだいたい夕方ごろにいつもシャワーを浴びているので、枠が減ることにすこしハラハラしていたけれど、今日も無事に予約を取ることができた。朝の早い時間や夕方はなかなか人気のある時間帯なのだ。シャワーを終えて髪を乾かそうとしたところで、突然の火事のアナウンス。どうやらその工事の影響で火災報知器が誤作動してしまったみたい。他の患者さんや看護師さんたちもすこしワタワタとしていて、この日はなんとなく賑やかな1日だった。夜は補食を買うためにセブンイレブンへ。夜間の院内を歩くのははじめてだったから、なんだか悪いことをしているような、特別なことをしているような気がして胸がさわさわ。

3/14

朝の検温で微熱がでた。37.4℃。きょうの日勤は前回の入院時にいろいろな説明をしてくれた看護師さんが担当になる。とても気さくで朗らかで、お父さん気質のような人。すきな食べものの話をした。宮崎では鶏をたたきにしていただくらしく、話を聞いているうちにどんどん興味が湧いた。いつか食べてみたい。隣のベッドからは、理学療法士さんが患者のおばあさんにLINEでのメッセージの送り方を教える声が聞こえてきて、微笑ましい。こうした人と人のつながりを目にしたり瞬間に触れるたびに、わたしはなぜだかどうしようもなく泣きたい気持ちになる。

3/15

朝の太陽がやわらかくていい天気。相変わらず尾てい骨が痛む。床ずれにならないよう、摩擦防止のシートを貼ってもらったけれど、あまり効果は出ず……。きょうの日勤も前日と同じ看護師さんで、きのうの補食でコンビニのカヌレを食べたことを話したらそこから手づくりパンの話へ。江古田にあるお店のハードパンがとてもおいしいらしい。午後には転倒の危険度がいくつあるかの3段階アセスメントを受ける。わたしの場合は血圧が低く筋力がないこともあって、危険度は2となった。いずれにしても移動の際には無理をせず看護師さんに頼ってね、とのことだった。いまさらながらはじめてポッドキャストを使ってみて、その心地よさに感動。さっそく平野紗季子さんと、クリス智子さん&土井善晴さんの番組をフォローした。

3/16

きょうの日勤は受け持ちの看護師さん。自分の胸のなかにしまっていたものをすこしだけこぼしてみた。そうすることで、ああわたしはこう感じていたんだなと気持ちを確かめられたような気がする。今度は先生に向けて思いを明けられるようにしたい。午後には家族と恋人がそれぞれ会いにきてくれた。まだ入院して1週間なのに、なんだかとてもひさしぶりな気がして気持ちも自然と高まる。家族は近所のおいしいお菓子屋さんのビスコッティと押麦のクッキー、恋人はホワイトデーだったからと箱入りのベルギーチョコレートをくれた。お菓子でいっぱい、まるでひとりパーティーのよう。とてもとてもうれしかった。