あたらしい太陽

ito
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引っ越しをしていつのまにかひと月が経っていた。部屋はまだまだ片付かないどころか、荷解きも終わっていない。

というのも、前の家を退去するときにいままで長らく使ってきたものたちのほとんどを処分したので、収納するための家具や本棚を新しく購入しないことにはなにも始まらなかったりする。いろいろなホームページでたくさんのものを見比べながらうんうん悩んでいるうちに、気がつけば1月になっていた。

大晦日は新居近くの立派な神社で除夜の鐘を聴いて、元旦は人手がすごいだろうからとすこし日をずらしてから初詣のために参拝をした。いつもよりもたくさんの祈り。

震災が起きてから、たくさんのことを考えている。その日は伯父一家がおおきな揺れのあった地域を元旦旅行(毎年の恒例なのだそうだ)として訪ねていたので、とにかく心配でたまらなかった。幸い誰にも怪我はなかったものの、道路の状態がひどく船も動かなくなってしまったために、帰る足がなくなってしまったらしい。東京にいたわたしたちでさえ不安を感じるような揺れだったのだから、該当地域で災害に見舞われたひとたちの恐怖を想像すると、ほんとうに言葉にならない気持ちになる。

もうすぐ亡くなって2年になる、わたしたちの家族だったいぬに顔つきがとてもよく似ている子。YouTubeを通してときどき暮らしを見守っていたその子と飼い主さんたちが被災したと知ったのは、数日が経ってからのことだった。

遠く離れたこの場所から自分ができることはなんだろう。なにかできることがあるのかな。多くの人たちが受けた甚大な被害をニュースで目の当たりにしてからずっと考えていて、信頼できる機関と、そのワンちゃんの飼い主さん家族のそれぞれに寄付をした。これはほんのささやかなものかもしれないけれど、自然災害は誰にとっても決して人ごとではないからこそ、せめてわたしにできることをしたいとおもう。きちんと見つめて、向き合っていきたいとおもう。

災害に見舞われた方々に、すこしでも早くおだやかな生活とこころが戻りますように。どうか。