3/17
日曜日の朝。体重測定の日。入院してからもじわじわと減り続けていて、不安と焦りがある。朝食はご飯かパンを選べるので、わたしはいつもパンにしている。でもこの日はよっぽどの理由がなければみんなパンだったようで、トースターで焼くチンの音がよく聞こえた。(そもそも病院でトースターが使えることにびっくり!)きょうは1日のほとんどを本を読むことに費やした。厚めの本を7冊持ってきたけれど、すでにもう5冊目まで読み終えてしまった。恋人がまた面会にきてくれて、デイルームでおしゃべり。30分があっという間。会えてとてもうれしかった。
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3/18
明け方近くの地震で目が覚めた。家が近いとはいえ、いまは家族と離れているから、このタイミングで震災が起きたら…とすこし不安になる。誰もいなかったから、きょうの読書はソファがあるデイルームですることにした。自分のベッドも日当たりが良くて居心地はいいけれど、座ったり横になっているとどうしても尾てい骨が痛むので、ちょっと気分転換。最後に美容院に行ってからずいぶんと時間が経ってだいぶ伸びてきたこともあって、日中は髪を結っている。たぶんちゃんとした呼び方が別にあるのだろうけど、わたしはシュリンプヘアと呼んでいる。(串団子のような玉をつくった形で、それがまるでエビみたいに反っているから)会う看護師さんひとりひとりが褒めてくれるので、いつも照れくさくて顔が熱くなってしまう。
ほとんど寝たきりの動かない生活をしていると、自分の身体から筋肉が落ちていくのがよくわかる。座ったときのふとももの外側もたゆんとしていて、皮という感じ。人体っておもしろいなとおもった。
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3/19
いつもより少し早めに起きる。デイルームで同室のおばあさんとすこしおしゃべりをしながら朝のニュースを観ていた。ポッドキャストを聴きながらうたた寝をしていたら、看護師さんから面会の案内が。父だった。きょうはそんな予定はないはずなのにと驚いていたら、前回母と来てくれたときに差し入れてくれたお菓子屋さんの焼き菓子をおいしいと言っていたことを思いだして、また買ってきてくれたのだった。びっくりとうれしい気持ちが交互にやってくる。仲が良くないというわけではまったくないのだけれど、父とふたりきりで話すという時間はすこし珍しくて、妙にくすぐったいようなぎこちなさが胸の内にあった。
数日前から両手の甲に湿疹のようなものが。痛みもかゆみもないけれど、気になってしまう。すこし様子を見てみようということになった。栄養が足りていないせいかもしれない。