サルベージ

詫び寂び
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しこたま寝たら顔が腫れた。いつもにまして広大な余白に申し訳程度の目眉鼻口がついていて笑える。輪郭も腫れている。腫れているというか膨らんでいる。

昔は今よりずっと顔が丸かった。あの頃を思わせるぱつんとした頬と、首との境目がぼやけたえらの辺りを見ながら、かつてこの自分を好きだと言ってくれた人がいたことを思い出した。丸い顔、迫力のない顔立ち、筋肉質な足などを、第六感でもあるのかと疑いたくなるほど的確に、私が地中深くに埋めたコンプレックスを掘りだして掬いあげて好きになってくれた人だった。褒めるのではなく好きだという言い方をするのが印象的で、他人に心から慈しまれるという経験を、その人と関わる中で沢山積ませてもらった。

わけあって物理的にも心理的にも疎遠になり、現在その人は遠く離れた場所で暮らしている。おそらく私が一生足を踏み入れることがないであろう場所で、私がうまく聞き取れず理解することができない言語で、今このときも誰かを救っているのかもしれないと思うと、また救われる気持ちになる。