映画「鬼太郎 誕生ゲゲゲの謎」を観てきた。
もともと水木作品大好きで、悪魔くん、鬼太郎どちらも大好きです。
この映画、いい意味で本当に全年齢向けなのかちょっと分からなくなるくらい大人向けだった。でも、子どもが観てももちろん楽しめる…いや、でも子どもが観るにはちょっと色んな説明が必要そうな感じ…ネタバレになるから詳しくは書けないけど、子どもが観るにはかなりえげつない話もあったからな…
全体を通して、たくさんの暗喩が散りばめられていたように思う。伏線も。
なるべくネタバレしないように感想書くって難し〜。けどがんばってみよう。パンフとか何も見てないので的外れな感想考察だったらごめんなさい。
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ゲゲゲの鬼太郎のアニメ6期の前日譚として描かれた今回の作品。
あらすじ
鬼太郎がどうやって産まれたのかがわかるよ
TRICKに出てきそうな因習のある村にそれぞれの思惑で鬼太郎父と水木が足を踏み入れるよ
わぁ、かなりヤバイ村だね!
この映画にはいくつかの愛の形が存在していて、「相棒への愛」「夫婦の愛」「子への愛」など。対して、「他人はおろか家族さえ、それらは利用するもの」「歪んだ自己愛」など、見るに耐えないものが存在する。光と影のように対になるような構成だったように思います。素晴らしかった。
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相棒への愛
この映画完全にバディものでした(これを聞いて観に行こうと思った。バディものはいいぞ…)。バディものが好きな人は確実に好きな映画だと思う。
あと、鬼太郎の父ってご存知目玉の親父じゃないですか。それが昔は目玉の親父じゃないんですよ。すらっとした8頭身の青年。濁さずに書くとなんか……………大変エロかったです。色気がすごい。
そんな鬼太郎の親父であるゲゲ郎とバディを組むのが水木という名の青年。彼はただの人間なので、妖怪バトルの瘴気に当てられまくります。でも人間としては色々な意味でめちゃつよなので、あのヤバイ村でもなんとかゲゲ郎と行動して、敵と渡り合えたんだなって。多分、映画を観た人はみんな水木のファンになります。
そんな2人がいかにしてバディになるのか、大変ワクワクして観ました。ただ、もちろんただのサワヤカバディものとはいかず、設定や話のえげつなさがすごい。かなり救いのないお話ではある。人間の業の深さよ。でも2人の相棒っぷりに救われるんで、なんとか観れるんじゃないですかね。
夫婦の愛
鬼太郎の父と母である2人の関係性がとても良かった。ゲゲ郎が、自分の妻はどんな人であるか語るシーンがある。いかに自分にプラスな影響を与えてくれたか、どんなに愛に溢れた人なのかを嬉しそうに語る。また、多分ゲゲ郎は初めからあの「目玉の親父」の陽キャな感じではなかったようで。自分の妻からいい影響をたくさん受けて今の親父になったんだな…。でないと、人間である水木とバディにはならないよね。
子どもへの愛
言うまでもなく、鬼太郎への愛ですよね。これは、母親はもちろん、ゲゲ郎と水木、2人の父親の愛も。鬼太郎には父親が2人いるので、3人からたくさんの愛を受けて産まれてきている。まあ、産まれ方は墓場から這い出すっていう感じなんだけれども。鬼太郎の誕生、そのものがこの物語の最大の救いとなっている。
他人はおろか家族さえ、それらは利用するもの
水木とゲゲ郎たちがさまざまな愛情を人に向ける一方、物語としてはどんどんおぞましい方向に加速していく。そんな中で2人に成す術はあるのか。こんなクソみたいな世界や人間を守る意味はあるのか。そんなものに2人は対峙していく。
歪んだ自己愛
自分を愛することは大切なことだが、それがあまりにも利己的で、他者がどうなっても自分さえよければいい、みたいな人たちの極みがあの家族なんだな…。犠牲の連鎖。そしてその歪んだ自己愛の犠牲になってしまった者たちがどんな行動に出るか。どんな目に遭うか。本当に邪悪すぎて。ゲゲゲの鬼太郎が子ども向けの作品ではあるものの、この映画に関しては自分なら子どもには見せないかも。それくらい子どもが耐え難い、辛い目に遭います。また、ゲゲ郎達幽霊族はすごく優しいので、それ故にゲス野郎である人間サイドからつけ込まれてしまい、そして…。この辺りについて深く考え始めると本当に辛くなる…。
水木のトラウマ
水木≒水木しげる だとは思う。水木しげる先生の戦争体験が、映画では、水木のトラウマとして何度もフラッシュバックする。これがまた本当に辛い。水木の行動原理がこれで分かる。
バトルもあるよ
鬼太郎お馴染みの技を、父であるゲゲ郎も使うんです。髪の毛とか、リモコン下駄とか。バトルシーン、大変よいです。
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色々書きましたが、大変良い作品でした。2回目見にいきたい。2時間あっという間だった!
ネタバレせずに感想書くってやっぱり難しいのでこの辺にしておこうかな。