Marpをつくっている人が考えていること

Yuki Hattori
·

私は、Marp (Markdown Presentation Ecosystem) というオープンソースプロジェクトのメンテナーです。

作り始めたのが2015年12月なので、もうかれこれ8年近くやってることになります。こうして考えると、長いなぁ。

このOSSをメンテしながら考えていることを、思いついたときに書き散らしていきます。

Marpで大事にしていること

身も蓋もないですが、長生き。

有象無象のMarkdown to presentationのツールがある中で、5年以上継続的にメンテナンスされているものって、意外と多くないんですよね。

事実、デスクトップアプリだった初期のMarpも、一度破綻しかけたので、その反省も込めています。

そこで、機能を増やすことではなく、機能を厳選するということを強く意識しています。

一度足したら、簡単に引けないですし、ずっと面倒を見ないといけないですからね。

(事実、厳選された現状ですら、入れたことを後悔している機能もチラホラ…)

GitHub Discussions を見ると分かるかもしれませんが、何かやりたいことがあっても、大抵はHTML/CSSや、プラグインの範疇で実現できることが多いので、その取捨選択は、ユーザーや開発者の皆さんにお任せしています。

ただ、利便性とのトレードオフですので、メンテナーの立場だと、そのバランス感覚を保つために難儀することも多くあります。多分ここが一番難しい。

なぜMarpをメンテナンスするのだろう?

なぜ自分はMarpをお世話するのだろう?どこにモチベーションがあるのか?

時々、自問自答します。

でも何度考えても答えは単純で、「皆さんが使ってくれてるから」でしょうね。

私が観測できるユーザーさんは、

  • プロジェクトにコントリビュートしてくれる方

  • 記事にしてくれる方

  • ソーシャルメディアで言及してくれる方

などなどいらっしゃいますが、それはユーザー全体のほんの一握り。

「観測できないけど、使ってくれているユーザーさん」も、相当数いらっしゃいます。

そんな方々が背景にいるということを考えれば考えるほど、Marpのためにチャカチャカと動く原動力が沸いてくるというものです。ふしぎ。

Marpで食べていけるか?

時たま、そんな夢を見ることもあります。

でもまぁ、無理でしょうね~。

Markdownでプレゼンを作るニーズって、世間一般から見たら、かなりニッチなニーズだと思うのですよ。

しかも、「無いと仕事にならない」というレベルでもない。

世の中には、すでにもっと便利なパワポやGoogleスライドがありますから。

「営利で価値を提供する」という選択自体は可能だと思いますが、様々な過去の事例をみても、長続きしないだろうと見ているので、Marpでそれをやる気は更々ありません。

自分のペースで進められる、オープンソース+少額スポンサー、ぐらいが、1番身の丈に合ってるかな?と思います。