高校生の私の書いていた過去のブログから。
=====
2002年11月02日(土) 旅人の季節。
「さて諸君、今日は十一月の二日目である。
季節はますます冬に近づき、銀杏や椛やらも散っていくのである。
従って、我々は旅に出ねばならぬ。
足の速いものは、もう列車に乗り、出発している。
我々は急がねばならぬ。
しかし急ぎ過ぎてもならぬ。
聡明な諸君、君達が知っての通り、もう冬は間近なのである。
つまり、偉大なる森のまっくろ殿下や沼の音楽家たちも、
もうすぐ夢路に着こうとしているのだ。
そのときが来る前に、我々は『 』を捕獲、収集、
並びに、然るべき方法で保存せねばならないのである。
諸君、これは我々に課せられた重大な使命である。
我々がこの使命を果たさぬ限り、銀杏は木枯らしのなか惨めな思いをし、
まっくろ殿下は雪のなか、鳴き叫ばなければならないのである。
そんなわけで、我々は旅に出ねばならぬ。
我々は急がねばならぬ。
しかし急ぎ過ぎてもならぬ。
我々の使命をまっとうに遂行するため
諸君は列車に乗り、旅に出るのである。
なお、持ち物はトランク一杯分のコンペイ糖が最も活用的である」
=====
2002年12月27日(金) Magic Lanthorne
「失われない記憶装置なんて存在するのだろうか」
「『悲しいかな、人生とは記憶である』?」
「そうそう、どこかの企業が目指してるらしいけど」
「『記憶粉』や『全記憶再生装置』でもあれば別だけど」
「やっぱり在り得ないか」
「失われなければ、得ることも出来ないし」
「でも『忘却は罪』だよ」
「忘れられることは幸せだよ」
「過ぎ去ったものを懐かしく思うのは
それを忘れることが怖いからじゃあないのかい?」
「そうかもしれないけど、過ぎ去って失いかけてるものだから、
だから、愛しく、切なく、懐かしむんじゃない」
「失わないことには、この気持ちは味わえないってことか」
「そう、この心地好い痛みを味わえるなら忘却もあながち悪くないさ」
「甘美な忘却剤は手放せないってこと」
「お酒と同じようにね」