高校生の私の夢日記①

ゆきえ
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2002年、高校生の私が書いた夢日記が出てきたので、供養にそのまま掲載します。

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 こんな夢を見た。ある晩、愛犬をつれて家を出た。あゝ今宵は満月だ。自分と犬とは誰も居ない大通りを歩く。犬には首輪は付いておらず紐もない。御前、首輪はどうしたのだ。と犬に聞くと犬は唯、くうん と鳴いて先を歩いてゆく。

 犬と自分は町外れの神社の長い石段をとことこと登っていく。虫の音さえない。社の前に着くと、白い、和服のようなものを着た人々が薄暗く光る提灯を提げて白い木で作られた何艘もの小船に乗り込んでいく。気がつけば船は空を浮いて居て、私は船の中に居た。

 鼻筋のすっとした、面長の女が私の後ろに座り櫂をこいでいる。私は女に自分の犬は何処かと尋ねた。女は獣はこの船に乗ってはいけない約束なのだと言った。町の灯りが遥か下に見える。船首には提灯がぼんやり光っている。女は黙って櫂をこいでいる。私は犬のことばかりが気懸りだった。空には星がなく唯、満月があるだけだった。